メトホルミンMetforminが糖新生抑制作用などによって糖尿病に効能をもつことは開発当初から知られていたという。メトホルミンを含むビグアナイド系薬の直接の標的としてはミトコンドリアの呼吸鎖複合体Iが知られ、その活性阻害により、結果的に細胞内のAMP/ATP比を増加させて細胞内のエネルギーバランスを変化させる??
nature
Metformin has beneficial effects on worm metabolism, largely through actions on bacteria that serve as the worm's diet and that, as a consequence, become residents in the worm's intestine.
Improved metabolism in mice by metformin are not limited to direct effects in the mouse. Eating a high-fat diet (HFD) results in obesity and shifts the population of gut flora, which is largely normalized upon metformin treatment.
These actions may operate in humans in which metformin is known to improve the metabolic status and normalize blood sugars without causing weight gain.
Gastrointestinal effects of metformin may reflect direct actions (dotted line) on the human gut microbiome.
Treatments for obesity and type 2 diabetes (T2D) could target gut flora, possibly through fecal transplants; however, given unknowns of fecal transplantations, oral administration of probiotics and drugs that shift microbiome populations might be a more viable option.
Katie Vicari
副作用
アルコールはNAD+を消費し、枯渇させる。メトホルミンも呼吸鎖複合体Iを阻害し、NAD+の供給を阻害する。結果として相加的にNAD+が枯渇し、クエン酸回路が反応できなくなる。Wikipedia
アルコールはNAD+を消費し、枯渇させる。メトホルミンも呼吸鎖複合体Iを阻害し、NAD+の供給を阻害する。結果として相加的にNAD+が枯渇し、クエン酸回路が反応できなくなる。Wikipedia
不老長寿? 1日80円の「糖尿病治療薬」で寿命が20年延び、健康なら120歳は確実!?
2015.12.19 healthpress.jp
集中力が続かなくなった。体調が悪い日が増えた。小さな字が読みにくくなってきた……。日々のふとしたことで老化を実感し、「あぁ、若い頃の体に戻りたい」と思ったことはないだろうか。もちろん一旦進んだ時計の針を巻き戻すことは非現実的だ。
しかし、
「これから進む老化を、少なくとも20年は遅らせることができます。健康なら120歳までは確実でしょう」
と言われたら、あなたはどうするだろうか?
実はそんな夢のような不老長寿の特効薬が、近い将来に誕生するかもしれない。
それも最新の医療技術を投入し、膨大なお金をかけて開発される新薬ではなく、60年近くの間、世界でもっとも多く処方されてきた、1日当たりわずか80円の糖尿病治療薬によってである。
糖尿病患者のほうが健康な人より長生きできる
このほど米食品医薬品局(FDA)が、世界で始めて「老化を防ぎ寿命を延ばす効果がある」とされる「メトホルミン」の臨床試験を承認。
そんな衝撃的なニュースが英紙「デイリー・テレグラフ」を始めとする欧米メディアで報じられたのは12月1日のことだ。
メトホルミンは、もともと糖尿病患者やその予備軍に投与されていた基礎治療・予防薬で、1959年にフランスで承認されて以来、世界各国で広く用いられてきた。この臨床試験では、現在、投薬を受けるボランティアとして、認知症やがん、心臓病を患っているか、そのリスクがある70~80歳の男女3000人の募集を開始。試験のための資金集めも進められている。
以前からメトホルミンは、寿命を延ばす効果があるのではないかと指摘されてきた。
今回の臨床試験に参加するイギリス・カーディフ大学の研究者がメトホルミンを回虫に投与したところ、加齢が遅れ寿命が延びる効果が確認されている。また、マウスへの投与実験でも、寿命が40%も延び、骨も丈夫になることがわかった。
人に対しても、18万人以上の大規模調査が実施された。その結果、治療薬としてメトホルミンを定期的に服用してきた糖尿病患者は、ほかの薬を飲んでいた患者に比べて平均で8年も長生きだったことが明らかになった。
そして驚くべきことに、糖尿病に罹っていない人と比べても、メトホルミンを定期的に服用することで同等以上に寿命を延ばす効果があることがわかったという。通常は糖尿病患者のほうが非糖尿病患者より平均寿命が短いにもかかわらず、である。
また、メトホルミンを服用していた糖尿病患者の中に、がんに罹る例が少ないという観察研究も多く発表されており、同剤のがん抑制の効果も注目されている。
その原因を分析したところ、メトホルミンには生物の細胞を頑丈にし、寿命を延ばすとされる物質を細胞内で増やす効果があることが判明。
従来の生命学研究では、ポリフェノールの一種である「resveratrol レスベラトール」が、いわゆる「長寿遺伝子」のスイッチを入れると言われているが、それと同じような作用がメトホルミンにあるかもしれないというのだ。
老化によるすべての病気を抑制できる?
今回、米食品医薬品局(FDA)が、はじめて老化を「薬によって改善できるもの」として臨床試験を認めたのは、確かに画期的なことだ。
メトホルミンは、数十年にわたって広く用いられてきた糖尿病予防・治療薬であり、臨床例も数多くある。副作用やリスクについて、ある程度判明していることも評価される理由だろう。
研究者らは、メトホルミンの投薬により人間の老化を20年ほど遅らせる効果があると見ており、
「100歳の人は寿命が120歳まで延び、70歳の人は50歳の若さと健康を手に入れられる」
と主張する。さらにマウスで寿命が40%延びた効果が人間で再現された場合には、人間の寿命は50%延びる可能性もあると考えられている。
カリフォルニア州の研究所で老化を研究するゴードン・リスゴー教授は、
「老化の速度を落とせれば、老化に伴って発生するすべての病気、がんやアルツハイマー病、パーキンソン病などの発症や進行を抑えることができる。すべてのがんを克服しても、平均寿命は3年ほど延びるだけだが、老化を遅らせることができれば、人類にはるかに大きな恩恵をもたらすだろう」
と訴えている。
アンチエイジング研究の新たな道を切り開き、人類の不老長寿という夢に一歩近づくこの臨床試験。数年後に出てくる結果が非常に楽しみだ。
しかし、たとえ本当に平均寿命が20年延びたとしても、人は決して「死」を避けられない。病に冒される日が遅くなったとしても、その後の「老い」と「死」は、どのような形でやってくるのか。
長すぎる老後は、日本のような少子高齢化社会を招くだけで、国民全員の幸せにつながるのか――。疑問は尽きない。
不老長寿の恩恵を「持てる人」だけのものにしないためには、多くの難しい課題を解決する必要があるだろう。
(文=編集部)