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啓新高3年の投票率42・31%と低調 参院選・本紙アンケート
2016年7月14日 中日新聞
選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられた参院選の後、本紙は啓新高校(福井市)の三年生三百人にアンケートをした。
選挙権を得た七十八人の投票率は42・31%で、県内全世代の投票率56・50%を14・19ポイント下回った。
ただ、政治に関心がある生徒の割合は、四月下旬に実施した前回アンケートと比べると増えた。
若者の低投票率がなお課題となる中、主権者教育などで知識や関心をどう高め、投票に結び付けるか。今後も模索が続きそうだ。
◆「政治に関心」生徒は増加
投票に行った生徒は三十三人、行かなかったのは四十五人だった。総務省が一部の市区町村を抽出した調査によると、十八、十九歳の投票率は45・45%で、十八歳に限ると51・17%だった。
投票先を選んだ基準は「主張内容」(25・0%)が最多。続いて「親や友人の意見」が「政党」(ともに21・9%)と並んだ。初めての選挙に戸惑いがあったためか、周囲の意見も踏まえて決めた生徒も目立った。
一方、投票に行かなかった理由は「関心がないから」が28・9%、「面倒だから」が8・9%だった。「その他」(53・3%)には「時間がなかった」「用事があった」などの回答が挙がった。
一方、十七歳の生徒も含めた全体では、政治に関心が「ない」との回答が63・9%で「ある」を大きく上回ったが、前回アンケートで74・4%が「ない」と答えたのと比べると、関心がある生徒の比率は10・5ポイント上昇した。
模擬投票など学校側の取り組みや、十八歳選挙権がメディアで注目されたことなどが関心や期待の広がりにつながったとみられる。
政治に「期待している」と答えた生徒も33・0%となお少数派ながら、前回よりは6・3ポイント増えた。
政治で最も重視してほしいテーマを尋ねると、前回と同様に「雇用・経済」「子育て・教育」が上位に並び、将来身近になりそうな問題への関心が高かった。
アンケートは十二日に実施。同校の普通、調理、情報商業、ファッションデザインの四学科の三年生が対象で、二百七十八人から回答を得た。
(参院選取材班)
◆有権者の自覚、芽生え
「投票に行ったことで政治への関心が強まった」
「投票に行ったことで政治への関心が強まった」
「十八歳になったら投票したいと思った」。
啓新高校の三年生を対象にした本紙のアンケートからは、参院選を機に有権者としての自覚が芽生えつつある姿が浮かんだ。当選した政治家には幅広い期待や注文が寄せられた。
ある男子生徒(18)は「自分が投票した人が当選し、選挙に参加した実感が出た」と振り返った。投票できなかった女子生徒(17)も「同級生が選挙に行ったという話を聞き、政治は(自分に)関係ないという気持ちがなくなった」と選挙を身近に感じた様子だ。一方、「特に変わらない」との声も目立った。
政治家には若者向けの政策を求める意見が相次いだ。「進学したくても高額なお金がかかる」と別の女子生徒(17)は悩みを明かす。奨学金があっても借金となるため気軽に利用できない。「将来のことは楽しみというより不安。この社会をどうにかして」と訴えた。
政治資金をめぐる不祥事が世間を騒がせただけに「政治資金の不正利用をやめてほしい」と注文する男子生徒(18)もいた。
同校で十八歳選挙権の指導を担当する宇野雅之教諭(33)は、生徒の意識について「同級生が投票したり、話題にしたりして政治を身近に感じた分、関心が高まったのでは」と指摘。「選挙があるから政治を考えるのではなく、普段の問題意識を投票で表せるよう、日ごろから考えさせる学習が大事になる」と話す。
(平野誠也)