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「腸間膜」は臓器だった!

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あまり恩恵に気がつかない我々であるが大事な臓器群を吊り下げている腸間膜で (腸管を腹腔後壁に連絡)ある。感謝の一言である。血管,リンパ管,神経の腸管への通路でもあるという。
 
腸間膜のある消化管は胃、十二指腸以外の小腸(空腸、回腸)、大腸の一部(虫垂、横行結腸、S状結腸)で小腸の壁にあるのが小腸間膜、結腸の壁にあるのが結腸間膜である。
 
十二指腸、上行結腸や下行結腸は、後腹壁にくっついているので、腸間膜がない。
 
こないだ西洋医学で発見された人体の新臓器「腸間膜」、東洋医学は前から知っていたことが判明!
 
2017.03.04    tocana.jp/
 
 人体の解剖学は、医学の基本ともいえる分野であるものの、その起源ははっきりとしていないとされている。
 
ただ、少なくとも紀元前3500年ごろの古代エジプト時代には記述が残されており、おそらくそれ以前から死者の身体を切り開き、中がどうなっているかを知ろうとする行為は繰り返されてきたと推測するのは、ごく自然な流れであろう。

■「腸間膜」Mesenteryは臓器だった!
 
 この古代の解剖学から、中世のヨーロッパの解剖学を経て、1858年にイギリスで出版された『グレイの解剖学』は、出版から1世紀以上もたつ現在でも、もっとも権威ある解剖学のテキストのひとつとして医学生らに利用されている書物であるが、昨年末、この本さえも改訂させる驚愕の新発見がされたというのである。
 
 医学の部外者からしてみれば、これだけ医療が進んだ現代においては、すでに解剖学的には、脳の機能マップなどを除き、ほぼ調べ尽くされていると勝手に思い込んでしまっているふしもあるかもしれないが、アイルランドのリムリック大学病院の研究チームによって、いままで他の臓器とは分離した単なる器官に過ぎないと考えられていた「腸間膜」は、実は他の臓器と連続した構造となっており、消化器系の臓器のひとつとして機能していると発表されたのである。

「Daily Mail」の記事より
 
 イギリスの「Daily Mail」紙や科学系オンラインジャーナルの「Live Science」などにもレポートされているその事実を見てみよう。
 
 イメージ 1腸間膜自体は、もちろんその存在は知られており、『グレイの解剖学』はおろか中世の解剖学書にさえも器官としての記載があり、単に小腸と大腸を腹腔内の所定の位置にとどめておく部分として考えられていた。
 
2重の膜のような構造をしている腸間膜は、ある意味腹腔内でのアンカーの役割であり、各臓器が姿勢や運動によって位置がずれてしまうのを防ぐだけの働きをする独立器官で、その他の働きはないと思われていたが、今回の研究によって腸間膜が独立した器官ではなく、他の臓器と一体となった器官であることがわかったのである。

 ■解剖学的認識が100年ぶりに改められる
 
 最初にこの事実を発見したJ・カルヴァン・コフィ教授は、次のように言っている。
 
イメージ 2「解剖学的に100年以上も誤った認識でこの器官をとらえていた。この器官は断続的な存在として複雑な形態をしているわけではなく、連続した一つの構造を持つ臓器である」。
 
 現時点では、この腸間膜の詳しい働きなどは判明していないが、さらなる調査と研究によってその働きは解明されていくと思われ、このことにより腹部疾患の原因究明や治療を飛躍的に高める可能性もあるという。
 
 今さらながらの発見と言うべきなのか、人体の神秘の奥深さを知らしめる発見なのかは判断しかねるが、まだまだ未知なモノが人体にあったということはまさに驚きである。

(文=高夏五道)

■コフィー教授の“発見”は東洋医学の後追いだった
 
 さて、今回の発見についてトカナがさらなる独自調査を進めていたところ、驚くべき事実に突き当たった。なんと東洋医学の分野において、すでに腸間膜は「三焦」というれっきとした働きを持つ臓器として認識されていたというのだ。
 
 そこでトカナは、東洋医学やアーユルヴェーダに詳しいハタイクリニック(東京都目黒区)院長の西脇俊二先生に、腸間膜が他の臓器と連続した構造であるというコフィー教授らの発見について訊いてみた。
 
 「内臓や臓器を包み込み、全身に行きわたる働きを持つ『三焦』は、形がないが機能があるスロータス、いわば経路のことを指します。アーユルヴェーダでいう風と火と水のエネルギーなど、さまざまなものが通るのが経路。コフィー教授らの発見に先立ち、すでにアーユルヴェーダや東洋医学では『三焦』の存在が知れわたっています」
(西脇先生)
 
 西脇先生によると、アーユルヴェーダは5000年前、東洋医学は3~4000年前に完成しており、西洋医学はそれを後追いしているのだという。では、なぜ西洋医学の発達は両者に比べて遅れてしまったのだろう。
 
「アーユルヴェーダや東洋医学は、身体を一つの統合体として捉えています。一方、西洋医学は、パーツに分けてしまうのが特徴です。例えば、西洋医学では神経内科や精神科と、診療の分類を細かく分けていますね。
 
ところが人体というのは、バラバラのパーツの寄せ集めではないのです。
 
身体を統合体として捉えているアーユルヴェーダや東洋医学だからこそ、『三焦』の存在は早くから認識されていたのです」(西脇先生)

■「体全体を整える」東洋医学の有効性
 
 さらに西脇先生は、風邪の治療にも西洋医学よりも東洋医学の処方が役に立つことを説明する。
 
「西洋医学では、発熱したら解熱剤を、咳が出たら咳止めの薬を処方しますが、漢方では『体全体を整える』という考え方から、風邪の初期には葛根湯の働きでいったん熱を上げて、免疫力を高める治療を施します。発熱したら今度は別の漢方薬、咳や痰が残ったら別の漢方薬……と、風邪のステージによって漢方の処方を変えることで治療するのです」
 
 ちなみに、現在全国で猛威を振るっているインフルエンザに対しても、「体全体を整える」という観点から、西脇先生はまず湿度管理をしっかり行うことが重要だと説く。
 
「湿度を50%前後にキープすることが望ましいです。30%以下なら、風邪の罹患率も上がりますね」
 
 そして西脇先生は、コフィー教授らの発見について「世界を驚かすニュースではない」と言い切った。
 
今回のケースは、人体に「ひとつとして無駄な物はない」という東洋医学の見地から、東洋医学に軍配が上がった事例といえるだろう。
 
(後半取材/文=夏目かをる)
 
 apsubiology.org/anatomy/2020/2020_Exam_Reviews/Exam_3/CH23_Peritoneal_Cavity_and_Mesenteries
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