化学肥料なし、農薬なしでは様々な創意・工夫が必要である。化学の知識を駆使して有機栽培茶にチャレンジしていくことが重要である。
茶農家の有機転換 島田市が支援
2017年3月30日 中日新聞
◆来月から奨励金
有機栽培の茶畑を見守る田村善之社長(左)=島田市内で
島田市は、農薬や化学肥料を使わない有機栽培に転換した茶農家を支援する独自の奨励金制度を四月から始める。
国内消費が低迷する中、輸出を促す取り組みで、市や県によると県内初の制度。
農林水産省の有機農産物の規格「有機JAS」の認証を受けるには、最初の収穫まで少なくとも三年間、農薬などを使わずに栽培を続ける必要がある。
市によると、認証を得るまでのこのブランクが、農家にとって有機に踏み切る上での障壁となっていた。
奨励金制度は、市内在住の農家が対象で、認証取得までの三年間、年間で畑十アール当たり四万円を補助。収益が落ちる苦しい時期を助けることで有機転換を促す。
静岡県がまとめた県内茶業の現状「お茶白書」(二〇一六年版)によれば、国内で急須に入れて飲むリーフ茶の需要は低迷する一方で、海外での健康志向の高まりや日本食レストランの増加を背景に、日本茶全体の輸出は一〇~一五年の五年間で、二千二百三十二トンから四千百二十七トンへと二倍近くに増加。
有機転換は、国によって、さまざまな農薬基準をクリアする輸出促進策になるとして、市が検討してきた。
一七年度一般会計予算に関連経費四十万円を盛り込んでおり、今後補助の要項など細部を検討し、四月中旬には制度を開始する。
有機転換を目指す若手農家にとっては弾みになる。
島田市内の三十歳代の農家五人で設立した会社「マッチャオーガニックジャパン」は、市内の耕作放棄された茶畑二・五ヘクタールを引き取り、抹茶の原料となるてん茶の有機栽培に取り組み、来年の認証取得を目指している。
田村善之社長(39)は
「健康、安心への関心に応えるところに、これからのニーズが広がっている」
と話す。今後、市の奨励金制度を利用する考えだ。
(古池康司)