50代の若い工場長も大変ですね。HSiCl3の取り扱いが危険なことは現場でも良く分かっていたはず。正月休み明けなので作業員も気が抜けているケースが多いのであろう。亡くなったのは下請けの若者か( 同社社員3人を含む25~48歳の男性5人が死亡)?5人即死とはなんとも悲しい。
Wacker
昔、知り合いの若者も工場に行きたくないと母親に言っていたが、叱られて渋々出社して、ガスに火をつけたところ大爆発で飛ばされて大変な目にあった。母は病院に駆けつけ、息子の顔に白い布がかけてあるのを見て、腰が抜けて、その場に倒れたという!ラッキーなことに顔に少々焼けどと全身打撲で難無きを得た。それほど爆発事件は怖いものである。
私は個人的には爆発事件はないが、水素ボンベに亀裂が入た事件や先輩の過塩素酸塩爆発事件、院生の金属ナトリウム爆発やTHFやエーテル蒸留での爆発事件に遭遇している。
シリコンの生産過程では爆発しやすい水素ガスを使用するほか、主原料のトリクロロシランは水に触れると大量の水素が発生。まずはWikiで勉強しましょう。
トリクロロシラン (trichlorosilane) は、ケイ素、塩素、水素から成る無機化合物で、示性式は HSiCl3と表される。
高温で熱分解を起こして単体ケイ素に変わる性質から、半導体工業において高純度ケイ素の主原料として利用される。
水と触れると速やかに分解してシリコーンのポリマーおよび塩化水素となる。
反応性が高く入手が容易であることから、有機ケイ素化合物の原料ともされる。
シリコンプラントで爆発5人死亡 四日市の三菱マテリアル
2014.1.9 16:20 Sankei
三菱マテリアル四日市工場では、「イレブン・ナイン」と呼ばれる高純度の多結晶シリコンなどを製造している。
9日午後2時10分ごろ、三重県四日市市三田町の三菱マテリアル四日市工場で爆発があった。県警などによると、この爆発で17人が病院に運ばれ、うち5人が死亡した。県警で死傷者や被害状況の確認を急いでいる。
半導体や太陽光向け、世界最高品質「イレブンナイン」
四日市市消防本部には午後2時7分に爆発発生の連絡があり、消防車13台と救急車6台が出動した。建物の炎上はなく、同21分に鎮火した。
三菱マテリアルによると、同工場では半導体用の高純度多結晶シリコンや太陽光パネルなどを製造している。
同工場によると、爆発があったのはシリコンの純度を高めるプラントで、熱交換器を解体するメンテナンス工事を行っていた。この作業中に水素ガスらしきものが漏れ、爆発したとみられるという。
同工場はJR四日市駅から東南に約4キロ離れた臨海部にある。近くの建設会社「石原エンジニアリングパートナーズ」の丸山陽二事務管理部長(56)は
「『ボーン』という音がして、会社の屋上に上がると工場から白い煙が上がっているのが見えた。死傷者が出ていると聞き驚いている。四日市でこんな事故は記憶にない」
と話した。
◇
「無許可」操業停止の過去
四日市工場で製造されている多結晶シリコンは“イレブン・ナイン”と呼ばれ、99.999999999%という9が11個並ぶ高純度。
1000億分の1に相当する世界最高レベルを誇り、半導体や太陽電池の基板に使われる。世界の主要メーカーの一つが三菱マテリアルで、高い品質を武器に電子材料事業部門の戦略商品となっている。
同工場では平成22年4月、シリコン原料となる液化ガス「トリクロロシラン」を無許可で高圧ガス状態で使っていたことが発覚。高圧ガス保安法に違反したとして、三菱マテリアルは三重県から指導を受け、二つのプラントの操業を同年9月まで停止していた。
この際、同社は配管やポンプを同法対応の強度のものに交換したほか、外部から専門家を招き、法令順守のチェック機能を強化。同県はこれらの措置を詳しく検査し、操業再開の許可を出した。
「尊い命失いおわび」工場長が謝罪
2014.1.9 23:20 産経
会見で謝罪をする三菱マテリアル四日市工場の猿渡暢也工場長(右)と遠藤俊秀副工場長=9日午後、三重県四日市市(松永渉平撮影)
「尊い命が失われたことにおわび申し上げます」
5人が死亡、12人がけがを負った三菱マテリアル四日市工場の爆発事故で、猿渡暢也工場長(56)は9日夜、敷地内の事務室で記者会見し、深々と頭を下げた。
午後7時半ごろ始まった記者会見。
50人を超える報道陣が集まった会見場に、猿渡工場長と遠藤俊秀副工場長(54)が険しい表情でうつむきながら現れた。猿渡工場長は、亡くなった5人について
「安全に家族のもとに帰ってもらうのが工場長としての使命。二度とこのような事故が起きないよう、やるしかない」
と言葉を詰まらせながら話した。
事故が予期できたかとの質問に、猿渡工場長は少し考えた後に
「予期していたものだが、十分に対応してきた」
と強調。さらに
「この作業工程で十分だという認識だった」
と繰り返した。原因については
「水素による爆発だと考えている。発火原因は今後調査する」
と述べるにとどめた。
pref.hiroshima.lg.jp
四日市で工場爆発、5人死亡…熱交換器の解体中
2014年1月9日21時06分 読売
9日午後2時5分頃、三重県四日市市三田町、大手非鉄金属メーカー「三菱マテリアル」(本社・東京都千代田区)四日市工場で爆発が起き、同社や下請け業者の作業員5人が死亡し、1人が重傷、11人が軽傷を負った。
県警などによると、爆発は金属製の水冷熱交換器(長さ4メートル、直径90センチ、重さ4・8トン)を解体して洗浄する作業中に発生。
火災は起きておらず、周囲で作業をしていた作業員らが爆風で飛ばされ、死傷したとみられる。県警は業務上過失致死傷容疑で捜査し、10日に現場検証を行う。
同工場によると、熱交換器は円筒形で、危険物施設に指定されている「第6精水素精製設備」から取り外され、横にした状態で、屋外にクレーンで固定されていた。
当時、同社と下請けの「南部組」(四日市市)の十数人が作業にあたり、午前中に熱交換器の両端についている蓋の片側を外し、もう片側を外した直後に爆発したという。
四日市工場爆発:「ドーン」一瞬の惨状 近隣住民「怖い」
毎日 2014年01月09日 21時27分(最終更新 01月09日 22時57分)
爆発した現場周辺を撮影する三菱マテリアル四日市工場の社員ら=三重県四日市市で2014年1月9日午後5時18分、兵藤公治撮影
9日午後2時5分ごろ、三重県四日市市三田町の石油化学製造「三菱マテリアル」四日市工場で爆発があった。同社社員ら男性作業員5人が死亡。他に男性12人がけがをして、うち1人はやけどなどで重傷。三重県警は業務上過失致死傷容疑で捜査する。
爆発音とともに一瞬にして現場は惨状と化し、作業員5人の命が奪われ、12人が重軽傷を負った。四日市コンビナートの一角、三重県四日市市の三菱マテリアル四日市工場で9日に発生した爆発事故。半導体基板の原料となる「多結晶シリコン」などを製造している最先端の工場で何が起こったのか。安全管理に落ち度はなかったのか。本格的な原因究明が始まった。
熱交換器を洗浄中だった作業現場。爆風のすさまじさを物語るかのように、巨大な円筒形の熱交換器が倒れて横たわっていた。
工場すぐ南を流れる鈴鹿川を挟み、約1キロ離れた同市塩浜に住む女性(73)は事故当時、家でテレビを見ていたところ、家全体が揺れ、「バリッ」という音で飛び起きた。「一瞬地震かと思った。足が不自由なので、逃げ遅れるのではないかと思い、怖かった」と肩をすくめた。
工場の近くを歩いていた別の男性(62)は「ドーン」という地鳴りのような爆音が2秒ほど続き、「何が起きたのか」と驚き、知り合いと共に堤防に駆け上がった。「工場が建ち並んでいるので、こういう事故がいつか起こるのではと思っていた。住宅の方へも影響が及ぶのではないかと思うと怖い。亡くなった方が気の毒だ」と話した。
同社は同日午後7時半から工場で記者会見を開き、猿渡暢也工場長は「5人の尊い人命を失う結果を招き、誠に申し訳なく、謹んでおわび申し上げます」と陳謝した。
【三上剛輝】