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イギリスの若者たちは「損だらけ」?

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給料が上がらないのは日・米・欧どこでも同じ。イギリスの若者よ、日本にこないか!
 
7/12 イエレンFRG議長の米下院の金融サービス委員会での発言
 
  「自分の知る限りでは、FRBは地方債や学生ローン関連債務を購入することを検討していない」
 
USAの各州も大変な財政状況なのである。これら2つの債務購入に手を出せばFRBは天文学的な債務状況となる。
 
大学も就職も住宅も「損だらけ」のイギリスの若者たち

2017年07月14日(金)17時00分   newsweekjapan.jp   コリン・ジョイス
 
 <イギリスの若者が大学卒業時に抱える借金は平均735万円。それなのに仕事の給料は上がらず、住宅価格はうなぎのぼり、と損ばかり>
 
イギリス生活では、借金は大きな現実の一つだ。
 
個人的な問題というだけでなく社会的・政治的な問題で、さらには世代間の問題でもある。
 
6月の総選挙でジェレミー・コービン率いる労働党が(彼らが思うところの)「成功」できたのも、学生の借金問題への対応を公約に掲げたのが大きな理由だったことは間違いない。
 
僕の考えではこれは、守る必要がないだけに、簡単に約束できるものだったと思う。どうせ労働党が選挙に勝利して政権を奪取することはあり得なかったからだ。
 
だが、労働党の選挙公約が若者たちの心をつかんだことは疑いようもない。今の若者たちは借金問題にひどく悩まされているからだ。
 
イギリスでは今や若者の約半数が大学に進学する。卒業時にはだいたい5万ポンド(約735万円)の債務を抱えているのが一般的だ。
 
授業料は通常、年9000ポンド(約132万円)かかり(多くの課程が3年制)、あとは生活費も必要になる。
 
かつては金銭的に苦しい学生のために生活費補助制度があったが、廃止された。
 
news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20160608-00058475/
イメージ 1
 
 
学生ローンはほかの借金とはいくつかの点で異なる。
 
最も重要なのは、必ずしも返済しなくてもいいことだ。これまで何年にもわたって学生ローン制度は変更されているが、現制度では年間所得が2万1000ポンド(約308万円)に到達して初めて返済(給与からの引き落とし)が開始されることになっている。
 
その金額を超えた分の総収入の9%を支払うようになるのだ(これを「卒業税」と呼ぶ者もいる)。
 
だが30年以上経過すると債務残高は帳消しになる。だから多くの人は全額返済することはないし、中には一切返済しない人もいる。
 
しかしそれ以外の点では学生ローンはかなり懲罰的だ。
 
利息はRPI(小売物価指数)に連動していて、最大で「RPIプラス3%」。
 
だから、年度開始の今年9月からは、卒業生の中には6.1%もの利息を設定される人もいる。
 
多くの卒業生は、利息分の支払いだけで年間3000ポンド(約44万円)ほどになってしまう。
 
近年の卒業生のほとんどは、数年の間はそれを下回る利息しか返済できないから、元金は減らずに借金が増える一方になる。
 
比較のために例を挙げると、この利率は社会人の僕がローンを組む場合よりもはるかに高い
 
「個人融資」の場合、金利はわずか3.3%だし、住宅所有者が自宅を担保に借金をする場合(リモーゲージ)はもっと低い。
 
もちろん、
 
エンジニアリングや
医療、
会計、
金融
 
などの仕事に就いた大卒者たちは、さほど苦労せずに学生ローンを返済できる。
 
彼らが取得した学位は明らかに、教育にかかったコストを上回るほど、生涯収入をつり上げるのに貢献してくれる。
 

働く限り続く借金返済

だが大学で教育を受ける人々の数が大幅に拡大したにも関わらず、高給の仕事の数はそれに見合うほど増えていない。
 
多くの大卒者たちは、普通に義務教育を修了しただけの高卒者たちがしていたような仕事をしている。
 
だが今や雇用主たちは、新規採用には大卒者を望むと条件をつけている。
 
言い換えれば何百万人という若者が、18歳で借金ゼロで就職するのではなく、21歳から5万ポンドの借金を抱えて働き始めているのだ

英財政学研究所(IFS)は、大卒者の4分の3は学生ローンを全額返済することはないだろうと推定している。
 
そう聞くと彼らが借金の一部を「返済逃れ」しているように聞こえるかもしれないが、別の見方をすれば、多くの大卒者が50代になってもまだ大学費用の返済を終わらせられずに続けているということになる。
 
興味深いのは、この年齢は以前の世代だったら一般的には住宅ローンの返済を終えている年齢だということだ。
 
かつて50代は金銭的な「ゴールライン」のようなものだった。
 
18歳で働き始め、しばらく貯金して20代半ばで25年ローンを組んで最初の家を買う、というのが普通だったのだ。
 
大学に進学した者も(98年までは)学費が無料で、ほんの数千ポンド、生活費のために借金したくらいだった。就職の見通しはとても明るかった。
 
今の若者にとって、これらは全てかなわぬ夢だ。
 
住宅価格は歴史的水準にあり、とてつもなく高い。
 
初めて家を購入する人の平均年齢は40歳近くに上昇している。
 
若者は学生ローンの返済と住宅購入のための頭金の貯金を同時に行わなければならない。
 
将来的には、学生ローンと住宅ローンを同時に返済していくことになる――それすら、順調にいけば、の話だが。

彼らはまさに、どうしようもない状態に陥っている。
 
働ける間はずっと借金を返済し続け、同時にどうにかして老後のための貯金もしておくべきだと警告されているのだ!
 
僕はラッキーだった世代とアンラッキーな世代の、ある種「中間」にいる世代だ。
 
僕の時代、大学授業料は無料だったが、景気後退の時期に卒業したため、僕は仕事を求めて国外に出た。
 
つまり、イギリスで住宅が今より安価だった時代を逃してしまった(住宅価格は2000年頃に高騰を始め、その後ほぼ絶え間なく高騰し続けてどんどん手の届かない価格になっている)。全体としてみれば、もちろん僕は、今の若者よりはるかに幸運だ。
 
総選挙のキャンペーン中、あるコメンテーターが、総選挙は「世論という流れにカップを浸してくみ上げる」チャンスだと書いていた。初めて耳にした表現で、記憶に残る言葉だった。
 
政府がくみ上げた世論はきっと、若者の憤りに満ちた苦い味がしたことだろう。
 

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