2016年4月に急死した米人気歌手のプリンスさんの死因が、オピオイド系鎮痛剤の過剰摂取という。最強の痛み止めである。
『オピオイド受容体』が脳や脊髄のみならず、末梢神経にも存在するからだ。
オピオイド系鎮痛薬は、
コデインリン酸、
モルヒネ硫酸塩水和物、
モルヒネ塩酸塩、
オキシコドン塩酸塩水和物、
複方オキシコドン、
フェンタニル
等が市販。労働市場への影響をFRB長官までも心配へ!
コデインリン酸
for-guests.com/codeine-4874/
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米国の労働力損なう鎮痛剤… オピオイド中毒が深刻化 死亡率上昇は「極めて異例」
2017.7.22 06:14 SankeiBiz
米国の働き盛り世代を中心に広がるオピオイド系鎮痛剤の中毒は、米金融政策当局も無視できないほどに影響が拡大している。
複数の地区連銀はオピオイド中毒が雇用を阻害する要因になっていると報告。
イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会公聴会でこの問題に言及するなど、米国の労働市場をむしばむ危機となっている。
陽性反応が半数
ペンシルベニア州ジョンズタウンで工場を経営するビル・ポラチェク氏は、機械工と溶接士の採用候補者を100人に絞ったところ、犯罪歴がある、あるいは薬物検査で陽性反応が出た候補者が半数を占めたと明かす。
「適性のある人材が来てくれない」
と同氏は嘆いた。
オピオイド中毒の問題がアメリカ社会で深刻化するにつれ、雇用主が抱える人材難の問題も拡大している。
イエレン議長は先週の上院公聴会で、この問題について時間を割いた。
イエレン議長は上院証言でオピオイド中毒について問われ、
「働き盛り世代で労働参加率が低下していることと関係があると考えている。
問題はコミュニティーをむしばみ、雇用の機会が低下している労働者に特に影響している。
これが偶然なのか、長期的な経済への弊害なのかは分からない」
と語った。
FRBが通常なら管轄外の薬物中毒問題を気にする理由は2つ。
一つは、働き盛り世代の労働参加率が歴史的に低い現状を理解する上で重要だということ。
もう一つは、この数年にコミュニティーと労働力動向への関心を高めているFRBとしては、オピオイド危機は全米の人的資源を損なう悲痛な現実であるということだ。
米薬物乱用・精神衛生管理庁によると、2015年時点の推定で26歳以上の成人270万人が鎮痛剤を乱用していた。
これとは別に現在では23万6000人がヘロインを使っている。
また、失業者のうちオピオイド乱用者の割合は10%程度と、米国人労働者に占める乱用者の割合を大きく上回ることが分かった。
死亡率上昇「異例」
イエレン氏はまた、
「死亡率は上昇しており、これは極めて異例なことだ。この一因にオピオイドの過剰摂取があることは、極めて深刻で痛ましい問題だ」
との見解も示した。
オピオイド中毒をめぐる調査では、地区連銀は主導的な役割こそ果たしていないものの、次第にその影響について注目し始めている。
今月公表された地区連銀経済報告(ベージュブック)で、セントルイス連銀は
「経験あるいは適性のある従業員を見つけるのは難しいとルイビルやメンフィスの製造業関係者は話している。薬物検査をクリアできない候補者すらいる」
と報告した。
また、ボストン連銀は昨年9月に米北東部ニューイングランド地方経済の失望感とオピオイド使用の関連性についての調査を発表した。
クリーブランド連銀は、先月主催したイベントでオピオイドをテーマにしたパネルディスカッションを開催。
同連銀のアドバイザーを務めるカイル・フィー氏は
「われわれが管轄する地域はオピオイド中毒問題の震源地だ」
と発言。同連銀の別の関係者は
「オピオイド中毒の問題はこのパネルディスカッションにとどまらず、イベント全体を通じて議論された」
と話した。
実業界からもオピオイドが経済をリスクにさらしていると懸念の声が上がっている。
米銀JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は先週のアナリスト向け会議で、米企業のビジネスが妨げられているとして米政府に対するさまざまな不満を吐露したが、その中でオピオイド中毒にも言及。
「年間3万5000人もの死者が出ている」
と当局の無策を批判した。フィラデルフィア連銀の管轄地域でも、中毒が採用活動の障壁になっていると企業経営者が訴えている。
(ブルームバーグ Jeanna Smialek)
米国で蔓延する「オピオイド系鎮痛剤の中毒」
米国では、慢性痛の治療に使われるオピオイド系の鎮痛剤が乱用されており、中毒状態になっている者は190万人。死亡者は1999年から2014年までで16万5,000人に上るとされる。
TEXT BY NICK STOCKTON
TRANSLATION BY TAKU SATO, HIROKO GOHARA/GALILEO
TRANSLATION BY TAKU SATO, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED (US)
wired.jp/2016/04/23
オピオイド系と呼ばれる鎮痛剤には驚くほどの常習性がある。米国では鎮痛剤の使用および乱用が蔓延状態であり、米国政府の試算によれば、2013年にはおよそ190万人の米国人がこうした鎮痛剤の依存症だったという。
そこでアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2016年3月中旬、医師が鎮痛剤の処方を管理するための新しいガイドライン(PDF)を公開した。
オピオイド系鎮痛剤に関しては以前から、「薬物治療」と「薬物中毒」の境界が曖昧だ。そして規制当局は、両者のバランスを取ろうとして苦労してきた。
オピオイド系鎮痛剤はもともと、植物のケシ(Opium poppy)からつくられた。ケシの実から採集されるアヘン(Opium)が、古来から麻薬として使われていたのだ。紀元前3400年ころの古代シュメール人たちもケシを栽培しており、「喜びをもたらす植物」と呼ばれていた。
20世紀はじめの米国では、アヘン中毒が問題になっていた。1908年にはセオドア・ルーズベルト大統領がアヘン中毒に対処する「アヘン・コミッショナー」を初めて任命したが、当時の米国では400人にひとりがアヘン中毒であり、そのうち2/3は女性だったという。
1914年のアヘン規制法により、上流階級の白人女性でアヘン中毒になる人数は減少したが、非合法の利用は減ることはなかった。その後も政府は規制の努力を続け、1924年、1951年、1970年にも、(ほかの麻薬も含めた)規制法が成立した。
しかしその一方で、製薬会社はアヘンからさまざまな鎮痛剤(オピオイド系鎮痛剤)を開発していった。1804年にはモルヒネ、1832年にはコデインが作成され、1874年には、モルヒネからヘロインもつくられた(最初は鎮咳薬として販売されたが、注射器投与により強力な麻薬作用が生じることが判明し、厳しく規制されることになった)。
その後、アヘンに含まれるアルカロイドからオキシコドンが合成されたほか、ヴァイコディン(コデインから合成されたヒドロコドンとアセトアミノフェンを配合したもの)やパーコセット(オキシコドン・アセトアミノフェン・パラセタモールを複合的に配合したもの)などの各種オピオイド系鎮痛剤がつくられていった(米国では処方薬として購入できるオピオイド系鎮痛剤が、日本では違法薬剤であることも多い。
たとえばオキシコドンは2015年6月、トヨタ自動車の女性常務役員が麻薬取締法違反容疑で逮捕された原因となった)。
オピオイド (Opioid)
Wiki情報
ケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指し、鎮痛、陶酔作用があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こす。
このようなアルカロイド(オピエート)やその半合成化合物には、モルヒネ、ヘロイン、コデイン、オキシコドンなどが含まれ、また合成オピオイドには
フェンタニル、
メサドン、
ペチジン
メサドン、
ペチジン
などがある。
構造5
ecosci.jp/chem8/fit02
ecosci.jp/chem8/fit02
これらは本来的な意味で麻薬(narcotic)である。
オピオイドとは「オピウム(アヘン)類縁物質」という意味であり、これらが結合するオピオイド受容体に結合する物質(元来、生体内にもある)として命名された。
内因性のオピオイドにはエンドルフィン、エンケファリンなどがある。
オピオイド薬の使用には、オピオイド依存症(英語版)や、離脱症状、また過剰摂取による死亡の危険性がある。アメリカでは、薬物中毒死の43%までも、オピオイド医薬品の過剰摂取で占めており、2014年にもアメリカ神経学会は頭痛、腰痛、線維筋痛症などの慢性疼痛状態では、オピオイドの使用は危険性の方がはるかに上回るという声明を行っている。
下記の構造式に関してはkegg.jpに感謝