<健康茶> 効果あり過ぎも 下剤並み成分に注意を
毎日1月23日(木)19時52分配信 headlines.yahoo.co.jp
「おなかがスッキリする」という健康茶を飲んでみたら、効果があり過ぎる--。国民生活センターは23日、便秘やダイエットに効くとされる健康茶の中に、医薬品の下剤並みの作用がある成分が含まれているとして、飲み過ぎへの注意を呼び掛けた。
健康茶で下痢や腹痛を起こしたとの事例は、2008年4月から昨年末までに、全国の消費生活センターに21件あった。
国民生活センターによると、これらの健康茶には、原材料に「キャンドルブッシュ」というマメ科の植物が使われている。
キャンドルブッシュは茎や花に下剤成分「センノシド」が含まれているが、薬事法上の医薬品ではなく、食品に使うことが可能。同センターによると、最近は健康食品としてキャンドルブッシュ入りのティーバッグなどが、大手ドラッグストアやインターネットで販売されているという。
同センターがキャンドルブッシュ入りのティーバッグ15銘柄について、商品の説明通りに茶を抽出して成分を調べた結果、カップ1杯(150~250ミリリットル)で2~10ミリグラムのセンノシドを検出。
医薬品の下剤の最低服用量1回分に含まれるセンノシドの量も調べたところ12ミリグラムあり、ティーバッグの銘柄によっては、下剤に匹敵する量のセンノシドが含まれていると分かった。
同センターは
「人によっては激しい下痢を起こす。キャンドルブッシュの有無を表示で確認してほしい」
と呼び掛けている。別名の「ゴールデンキャンドル」「ハネセンナ」、学名の「カッシア・アラタ」と表示されていることもあり、注意が必要だという。
【大迫麻記子】
ダイオウ(大黄)の瀉下作用は優れたDDSによるものである
www2.odn.ne.jp/had26900/constituents/metab_sennoside
ダイオウの基原は日本薬局方ではタデ科Rheum palmatum、R. tangusticum、R. officinale、R. coreanumまたはそれらの種間雑種の根茎とされている。
ダイオウは薬用に適さない種(ショクヨウダイオウR. rhaponticumやカラダイオウR. undulatumなどのハーブ系ダイオウ)が混じることがしばしばあり品質管理上の問題点であったが、近年、R. palmatumとR. coreanumの種間雑種(信州大黄)がわが国で創出され、生薬市場で錦紋大黄と称される良品に匹敵あるいはそれ以上の品質であることがわかり、北海道などで栽培、供給されるようになった。
ダイオウの薬効成分はセンノシドA(Sennoside A)などのジアンスロン誘導体であるが、真の薬効成分ではない。
経口投与でセンノシドは胃、小腸では吸収されずに大腸まで移行し、そこで腸内細菌(ビフィズス菌やペプトストレプトコッカス菌など)による代謝をうけて生成したレインアンスロン(Rheinanthrone)が大腸壁を刺激して蠕動運動を活発にして瀉下効果をもたらすとされている(図)。
このため抗生物質や正露丸のような腸内細菌を減少させるような薬物を投与した場合、ダイオウの瀉下効果は期待できないことになり、”薬の飲み合わせ”に十分注意する必要がある。
レインアンスロンがダイオウの真の薬効成分でありセンノシドはその前駆体であるプロドラッグということになるが、今のところレインアンスロンを直接瀉下薬として用いることはなさそうである。
一つには適当量のレインアンスロンを大腸まで輸送しなければならないというドラッグデリバリー(drug delivery;薬物輸送)上の問題がある。
レインアンスロンには激しい嘔吐を起こすという副作用があるので大腸壁に適度な刺激を与える程度の用量を継続的に輸送するというのは容易ではないのである。
この点、生薬製剤として投与した場合、有効成分センノシドは配糖体(糖が結合したもの)なので消化管に吸収されず確実に大腸まで輸送され、そこで徐々に代謝されて瀉下効果を起こすのでよほどの大用量を投与しない限り副作用が顕在化することは少ないのである。
すなわち、ダイオウはほぼ理想的な薬物輸送系(DDS; drug delivery system)をもっているといえる。もう一つは薬効成分の製造コストであり、このため現在でも精製センノシド製剤(プルゼニド錠剤など)を使うに留まり、依然として生薬製剤が主流である。
プルゼニドなどのセンノシド製剤は重篤な便秘に対して用いられるべきであり、通常の瀉下薬としては安価な生薬製剤で十分である。ダイオウは他にラタンニン(Rhatannin)と称されるタンニンが含まれている。
ダイオウ末に渋味があるのはこのためである。したがって、大量投与の場合、副成分タンニンの収斂作用により止瀉作用、便秘作用が現れることがある。
このため、重篤な便秘、たとえば末期ガン患者が除痛のためモルヒネの大量投与をうけて起きる便秘などにはダイオウを用いるのは避けるべきである。この場合は同じ有効成分を含む生薬センナあるいはセンノシド製剤(プルゼニド錠剤など)が適している。