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鎮痛剤の過剰摂取による死亡

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薬に頼る日米国民の問題点が浮き彫りにされています。国家財政の負担も急増です。80年代のアメリカポップスの興隆も薬物依存の可能性も捨てきれないかもしれません。分子の怖さを知らないロックミュージシャンには困りものです。医者自身も分子のことは殆ど知らない。ただ処方して患者の反応を見ているだけである。
 
問題のバイコディン(Vicodin)の構造
 
Vicodin HP Description  (drugs.com/pro/vicodin-hp)
 
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Hydrocodone bitartrate and acetaminophen is supplied in tablet form for oral administration.
 
Hydrocodone bitartrate is an opioid analgesic and antitussive and occurs as fine, white crystals or as a crystalline powder. It is affected by light. The chemical name is 4,5α-epoxy-3-methoxy-17-methylmorphinan-6-one tartrate (1:1) hydrate (2:5). It has the following structural formula:
 
 
モルヒネと構造は似ています。下記記事は面白い。

(home.r02.itscom.net/ktym/aldehyde/box11/column-118)
 
この構造の違いは面白いことにただ一箇所、青字で書かれている所だけ、なのですが...... 化学的にはコデインの水酸基「HO-」の水素(H)がメチル基「CH3-」に変わったものでして(その20参照)、コデインはメチルモルヒネともいえます。
 
 
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これは発見から約50年後の1881年に、グリモーという人物によってモルヒネからコデインを合成した時に初めて判明しました。
 
#ただし、具体的な「化学構造」は1950年代にモルヒネの構造が判明するまでは分かりませんが。
 
 さて、このコデインという物。実は我々の生活に身近に存在している、と言うのを御存じでしょうか? 「知らない」かも知れませんが、ある程度の人生を歩んだことのある方ならば一度はお世話になったことがあるかと思います。
 
 では、このコデインは「危険か?」と言うとそうでもないです。ま、一応モルヒネと同じような薬理作用はあるのですが、その作用は極めて弱いことが知られています。
 
例えば鎮痛作用を比較すると、モルヒネの約10分の1程度しかありません。また慢性中毒も低いことが知られています。このため、一応法の規制対象ですが100倍散は規制対象から外れています。ただ、言うまでもなく大量に用いては死に至りますが........

 では、このコデインは何故風邪薬に入っているかと言いますと、実は鎮咳作用が強いものでして、いわゆる「咳止め」の役割を果たします。実際にコデインは咳止めとして処方されることが多くあり、用いられる機会は多いと言えるでしょう。

 化学的には両者の構造の差は「わずか」な物に入るのですが、それでもここまで「作用が異る」と言うのは(大げさでなく)極めて驚愕に値する事項になります。
 
もっとも、これは他の薬物でも等しく言えるのですが........(管理人が扱っていた農薬でもそういうのがありましたし)

 尚、コデインは天然ではモルヒネの前駆物質でして、上記のメチル基が外れることでモルヒネを生みます。しかし、実験室での合成ではモルヒネからコデインを作ります。
 
この逆(つまり、モルヒネからコデインを作る)はなかなか難しい(学生さんなら分かるかな?)のですが........ つまり? そこらの市販薬から「モルヒネ作ってみよう!」と言うのは無駄、って事です。

 まぁ、こういった、「自然と実験室での合成の差違」が出てくることも化学屋さんにとっては面白い対象となったりします。
 
 ま、他にも様々なアヘンアルカロイドが存在し、中には生活の中で活躍している物もあるのですが、取りあえずスペースの問題もありますのでコデインを「代表」という事で話を終えましょう。

オキシコンチン(Oxycontin)とバイコディン(Vicodin)のわずかな違いを皆様お分かりですか?
 
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The American Journal of Cardiology
Volume 101, Issue 10, Supplement, 22 May 2008, Pages S43–S49
Oxidative Stress and Heart Disease
 
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鎮痛剤の過剰摂取による死亡、女性で大幅増 米国
 
2013年07月03日 16:58 発信地:ワシントンD.C./米国【7月3日 AFP】
 
米国で、処方箋のいる鎮痛剤の過剰摂取で死亡する女性の数が、1999年から2010年で5倍に激増したと、米疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)が2日、発表した。
 
 CDCの報告書「バイタルサインズ(Vital Signs)」によると、2010年にバイコディン(Vicodin)オキシコンチン(Oxycontin)などの薬の過剰摂取によって死亡した女性の数は6631人。
 
これはヘロインとコカインによる死者数の4倍に当たるという。これらの鎮痛剤の過剰摂取による女性の死者数は1999年では1287人。1999~2010年の合計は4万8000人近くに上った。
 
 処方箋のいる鎮痛剤の過剰摂取による年間の死者数は女性よりも男性が多い。だが、1999年から2010年の増加率では、女性の方が大幅に高く、男性では265%の増加だったのに対し女性は400%の増加だった。
 
 CDCによると、処方箋のいる鎮痛剤に対しては男性よりも女性にその危険性が高い可能性がある。女性の方が慢性的な痛みに悩まされることが多いことと、薬に依存するようになる速度が男性よりも速い可能性が原因として考えられるという。
 
 CDCのトム・フリーデン(Thomas Frieden)所長は、処方箋のいる強力な鎮痛剤は、深刻ながんの痛みの緩和などの特別な場合に使用すべきだとし、
 
「それ以外の多くの状況では、リスクが有益性を大幅に上回っている」
 
と述べた。(c)AFP
 
By Scott Thill
 
かつてのロックシンガーたちは、ヘロインのような強い麻薬とアルコールなどの弱い麻薬を同時に服用して命を落とした(ジャニス・ジョプリンや、ロックバンド『ドアーズ』のボーカルだったジム・モリソン、パンクロッカーのシド・ヴィシャスなどがそうだ)。
 
だが21世紀には、医師から処方される薬が、こうしたドラッグの摂取と同じくらい人気を集めているようだ。そして、処方薬も同様に中毒性があって命取りらしい。
 
6月25日(米国時間)に死去したエンターテイナーのマイケル・ジャクソン氏(50歳)を例にとろう。警察当局者がABC Newsに語ったところでは、ジャクソン氏は、鎮痛薬の『オキシコンチン(Oxycontin)』と『デメロール(Demerol)』毎日服用していた。ジャクソン氏はデメロールを注射されてから1時間後に死亡した。
 
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[デメロールは、モルヒネのような効果を持つ麻薬性鎮痛剤メペリジンの商品名。オキシコンチンは、アヘンに含まれる成分のテバインから合成される、アルカロイド系鎮痛剤の一種オキシコドンの商品名]
 
ジャクソン氏のプロデューサーの1人によると、同氏は20年前から薬物中毒だったという。[リンク先によると、デメロールの中毒で、1997年にはデメロールについての歌『Morphine』も作っているという]
 
処方箋の必要な鎮痛薬や睡眠薬の中毒になると、死に至ることがあり、こうした事例は増えている。米麻薬取締局(DEA)によると、処方薬関連の死亡例は2001〜2005年に114%も増加したという。
 
 マイケルの才能と麻酔薬・抗不安薬
  http://blogs.yahoo.co.jp/blogchemistry/4743849.html
 再訪: プロポフォールの鎮静作用
  http://blogs.yahoo.co.jp/blogchemistry/10283659.html
 
この数字には、『ダークナイト』などの出演作がある映画スター、ヒース・レジャー(Heath Ledger)氏の有名な死亡事故(日本語版記事)は含まれていない。Ledger氏は昨年、オキシコドン、ヒドロコドン、ジアゼパム、テマゼパム、アルプラゾラム、ドキシラミンを摂取後に死亡したが、これらの成分が含まれた薬剤を併用すると死に至る。
 
また、ロックバンド『Hawthorne Heights』のギタリストだったCasey Calvert氏の死亡例も含まれていない。Calvert氏は2007年に、シタロプラム(商品名『Celexa(セレクサ)』)とクロナゼパム(商品名『ランドセン』『リボトリール』)、それとおそらく『Vicodin(バイコディン)』の併用による中毒で死亡した。
 
ロックバンド『エアロスミス』のボーカル、Steven Tyler(スティーヴン・タイラー)氏は、ギタリストのJoe Perry氏と気晴らしのために[ヘロインやコカインなどの]麻薬を乱用し、「Toxic Twins(中毒の双子)」の異名を取った人物だが、そのTyler氏も、処方薬は危険すぎると述べている。
 
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Tyler氏は昨年、音楽ゲーム『ギターヒーロー エアロスミス』の宣伝のためのインタビューで、睡眠薬中毒の治療のために自分の意志で更生施設に入院したことを明らかにした。
 
「中毒になっていた。そんな自分が好きになれなかった」
 
と説明している。
 
[足の手術のあとに鎮痛剤と睡眠薬を処方され、その中毒になったという]
 
[米国では、青少年が処方薬の中毒になるケースが増えていることが問題になっており、米国政府はキャンペーンも行なっている。鎮痛剤の処方は、1995年から2005年で3倍に増えているという]

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