モータのための大学、プログラム専門の大学、純粋数学専門大学、化学大学、物理大学、宇宙ロケット大学など実学分野の大学が必要なのではないか。
数多くある高専をその目的に転用しても良いのではないか。
今の大学では東大も含め殆どが緊急課題解決には不向きである。
アングル:世界に挑む即戦力育成 日本電産・永守氏が目指す型破り大学改革
[京都 7日 ロイター]
日本電産(6594.T)を一代で世界のトップ企業に育てた永守重信会長が、日本の大学改革に情熱を注いでいる。
日本電産(6594.T)を一代で世界のトップ企業に育てた永守重信会長が、日本の大学改革に情熱を注いでいる。
今年3月に京都学園大学の理事長に就任。2020年には工学部を新設し、不足するモーター技術者の育成に乗り出す。
偏差値偏重より実学重視の教育を徹底し、
「これまでとはまったく違う大学を作る」。
永守流の大学経営はまだ緒に就いたばかりだが、同氏は東大、京大をにらみ、早くも世界ランク入りに照準を当てている。
永守会長がモーター専門の工学部を新設するのは、モーターの技術者不足が深刻になっているためだ。
ロイターとのインタビューで同氏は、
クルマの電動化、
ロボット活用の広がり、
省エネ家電の普及、
物流革命
というモーター需要の拡大を招く「4つの大波」が押し寄せているにもかかわらず、現状は
「モーターの学問を教える大学がほとんどない」
と不満をあらわにした。
モーターは近い将来、鉄、半導体に続く「産業のコメ」になると語る同氏は、技術者不足は経営の足かせになりかねないと危機感を強めている。
だが
「今年も500人近く新入社員採用したが、モーターの技術者はゼロ」。
現在は社内にカレッジをつくって新入社員を育成しているが、今後は大学でも即戦力となる技術者を養成、拡大する需要に対応する。
永守氏を突き動かしているもうひとつの懸念は、現在の大学受験で、ブランドや偏差値至上主義がまん延している実態だ。
自身の夢を追求し結果を出してきた同会長には、やりたいことより知名度やブランドを優先する大学選びが
「社会に出ても、すぐに辞める」
若者を生み出している原因と映る。
「ブランド主義と偏差値偏重教育が、日本の若者を駄目にした最大の要因だ」
永守会長は現在の教育にノーを突きつける。
<まずは世界199位以内に>
日本電産はこれまで6000人以上の大学・大学院卒の学生を採用してきたが、永守会長は学歴と入社後の実績は
「まったく関係ない」
と言い切る。
だからこそ、京都学園大学の理事長も二つ返事で引き受けた。
同大学は2019年4月に「京都先端科学大学」に校名を変更する。
「偏差値は関係ない。まずは世界ランキングで199位以内となる大学をつくる」
と意気込む。
英国の高等教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が公表する世界の大学ランキング(2018年版)では、200位以内に入っている日本の大学は東京大学(46位)と京都大学(74位)のみで、その次は大阪大学と東北大学が201─250位となっている。
つまり199位以内に入れば、日本では東大、京大に次ぐ3番目に高い評価を得られるというわけだ。
このランキングは教員1人当たりの学生数や論文の被引用件数、留学生比率などから算出するため、偏差値は関係ない。
「この話を入学式でしたら、新入生や親は身を乗り出して聞いていた。10─20年後に(振り返ったら)素晴らしい大学を卒業したということになると言ったら、喜んでいた。そういう夢のある話をしないといけない」。
もちろん、夢を実現するために、カリキュラムも大幅にてこ入れする。そのひとつが英語学習だ。
「卒業しても英語はできない、経営学部を出てもバランスシートも読めない、そんな学生を卒業させてどうするのか」。
カリキュラムの4分の1を英語学習にあて、読み書きよりも、実践的な英会話力の習得に力を入れる。日本電産のネットワークも生かし、世界各国で就業体験ができるプログラムの導入も検討する。
「最低、英語能力テストTOEIC650点の人しか卒業させない」。
大学の世界では「実学」教育に対する抵抗感も根強いが、永守会長は
「いまは50%以上が大学に行く時代。専門教育をやって、即戦力の人材を育成することが一番大事だ」
と意に介さない。
「いずれビジネススクール(経営大学院)もつくる」
と意欲を示した。
大学改革は教員の強化も欠かせない。新設予定の工学部では
「半分程度は企業出身者の教員を集めようと思っている」
という。ただ、そこに立ちはだかるのが文部科学省だ。
「文科省は教員資格はドクター(博士号)が必要とか、いっぱい言ってくるが、ドクターなんて関係ない。いまは誰でもとれる。これがまた改革の弊害になっていて、それを打破しないといけない」
永守会長は語気を強めた。