医学系の大学のデーター捏造事件は西高東低である。有名なのは阪大関係の事件である。結果を急ぎすぎのためである。また大学の研究者は会議などで忙しいので実験は院生や会社関係者にまかせてしまう傾向が最近多い。
今回はバルサルタン(Valsartan)という降圧剤に関する京都府立医大研究者と薬会社のデーター捏造事件です。資金提供と不正はセット。学会もからむ有名な事件です。
まずの構造を見ましょう。実に奇妙ですね。特に複素環の部分。
arzneistoffe.net/Valsartan
合成経路 2010年のノーベル化学賞を受賞した「クロスカップリング反応」
.バルサルタンは,1996年にドイツで発売されて以来,スイス,イギリス,アメリカ,フランスをはじめ80カ国以上で使用されており,日本においては,2000年9月に承認され,同年11月より発売されている(jstage.jst.go.jp/article/fpj/120/5/120_5_353/_pdf)。
Five angiotensin-II receptor antagonists (II)
(herkules.oulu.fi/isbn9514259009/html/i412843)
(herkules.oulu.fi/isbn9514259009/html/i412843)
次にアンジオテンシンII受容体拮抗薬とは何かをWikiで勉強しましょう。
アンジオテンシンII受容体拮抗薬 Angiotensin II receptor antagonist
Angiotensin II receptor antagonists, also known as angiotensin receptor blockers (ARBs), AT1-receptor antagonists or sartans, are a group of pharmaceuticals which modulate the renin-angiotensin-aldosterone system. Their main uses are in the treatment of hypertension (high blood pressure), diabetic nephropathy (kidney damage due to diabetes) and congestive heart failure.
昇圧物質アンジオテンシンII(以下、「AII」と略す)と拮抗し、AIIがAII受容体に結合することをブロックすることにより血圧の降下作用を示す薬物である。AII拮抗薬、ARB、AIIAなどともいう。
本系統の薬剤はカルシウム拮抗薬と並び、世界的に処方されている高血圧症の治療薬であるが、1970年代に本薬剤の基本骨格を創製したのは、日本の武田薬品工業である。
現在、日本国内で発売されているのは、ロサルタン(商品名:ニューロタン®)、バルサルタン(商品名:ディオバン®)、カンデサルタン・シレキセチル(商品名:ブロプレス®)、テルミサルタン(商品名:ミカルディス®)、オルメサルタン メドキソミル(商品名:オルメテック®)、イルベサルタン(商品名 アバプロ®/イルベタン®)などがある。
AIIはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系と呼ばれる生体メカニズムの中で産生されるホルモン様物質でアンジオテンシンIが活性化された物質である。AIIの働きとして下記のような働きがある。
1. 細胞質内にCa2+を流入させることにより血管を収縮させ血圧を上昇させる。
2. 副腎皮質球状層のアルドステロン合成を促進し、分泌させる。
2. 副腎皮質球状層のアルドステロン合成を促進し、分泌させる。
3. 視床下部に作用して口渇感とADH(抗利尿ホルモン;antidiuretic hormone)放出を促す。
4. 近位尿細管でNa+の再吸収を促進させる。
5. レニン分泌を抑制する。
4. 近位尿細管でNa+の再吸収を促進させる。
5. レニン分泌を抑制する。
降圧剤の論文データに人為的操作 大学「結論に誤りの可能性」
2013年7月11日 20時23分 東京新聞
製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が販売する降圧剤ディオバン(一般名・バルサルタン)を使って京都府立医大の松原弘明元教授が実施した臨床研究について、データに問題がなかったかを検証している府立医大は11日、調査結果を公表し、論文に使われたとされる解析用データに、人為的な操作が見られたと発表した。
臨床研究にはノ社の社員(当時)が関与。
日本人の高血圧患者約3千人のデータから、ディオバンがほかの降圧剤より脳卒中や狭心症を減らせると結論づけたが、府立医大は調査の結果、
「結論には誤りがあった可能性が高い」
とした。
(共同)
バルサルタン ディオバン錠20mg
(interq.or.jp/ox/dwm/se/se21/se2149041)
血圧を上げる「アンジオテンシンⅡ」という体内物質をおさえる作用があります。これにより、体の血管が広がり、また水分や電解質が調整されて血圧が下がります。心臓や腎臓の負担を軽くする効果も期待できます。
おもに高血圧症の治療に使用されています。病状にもよりますが、心臓病(心不全など)や腎臓病(腎硬化症、糖尿病性腎症など)にも有効と考えられます。
血圧を適切にたもつことは、将来起こるかもしれない脳卒中や心臓病、腎臓病を防ぐことにつながります。
特徴 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と呼ばれる新しいタイプの降圧薬です。略称をARBといいます。作用的には、従来のACE阻害薬に近いです。
高血圧の治療に、この系統が処方されることが増えてきました。国内で3番目のARBとなります。
ACE阻害薬に多くみられる“咳”の副作用がほとんどありません。その他の副作用も比較的少なく、長期維持療法に適します。持続性があるので1日1回の服用で済むのも利点です。
情報1
1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-3402
情報1
1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-3402
松原氏の研究をあらゆる角度からバックアップしていたのが、販売元のノ社だ。大学に記録が残っている '08年以降で、ノ社は京都府立医大に1億440万円の奨学寄付金を提供していた。
「他の製薬会社だって資金提供している。ノバルティスだけが責められるのはおかしい」
という意見もありますが、そんな意見の方がよっぽどおかしい理屈です。
今回の場合、資金提供そのものが批判されているのではなく、その資金提供による見返りとしての不正が疑われているから責められているんです。
資金提供と不正はセットです。
ですから捏造があれば、ノバルティスじゃない別の製薬会社であっても責められます。同じことです。
さらに言えば、ノバルティスはノバルティス社員のバルサルタン研究関与 上司の支援・後押しなどで書いたように、社員を潜入させていました。