江戸時代の国学者平田篤胤が15~16歳の仙童「寅吉」から聞きし物語である。寅吉は果たして山人の仙境を見たのか?まずは寅吉の「学問とは何か」に答える様から、その真実を考えて見ましょう。
中々の事を言っていますよ!早稲dの大槻教授真っ青ですね!
「金持ちが一所に金を集むる故に、貧乏人が多くなる。」という寅吉の指摘は一握りのユダヤ財閥が99%の財力を握り、貧乏人を多くしている現状のようですね。
不思議な能力は20歳ころには消えるのが常ですが、寅吉もそうであったようです。20代後半には霊性はすべて消えうせ、普通の人生(風呂屋の主人)で終わったという。
【天狗小僧寅吉の出現は文政3年秋の末で、篤胤45歳のころである。寅吉は神仙界を訪れ、そこに住むものたちから呪術の修行を受けて、帰ってきたという。
この異界からの少年の出現は当時の江戸市中を賑わせた。発端は江戸の豪商で随筆家でもある山崎美成のもとに少年が寄食したことにある。
弟子達の噂が篤胤の耳に入り、予てから異界・幽冥の世界に傾倒していた篤胤は、山崎の家を訪問する。以後この天狗少年を篤胤は養子として迎え入れ文政12年まで足掛け9年間面倒をみて世話をしている。
篤胤は、天狗小僧を通じて異界・幽冥の世界の有様を聞き出した。1822年(文政5年)にはその聞書きをまとめた『仙境異聞』を出版している。】
ameblo.jp/ka144
篤胤は、天狗小僧を通じて異界・幽冥の世界の有様を聞き出した。1822年(文政5年)にはその聞書きをまとめた『仙境異聞』を出版している。】
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平田篤胤
『仙境異聞』(下)仙童寅吉物語 二之巻 終
『仙境異聞』完 geocities.jp/sybrma/332senkyouibun.ge.2nomaki.
『仙境異聞』(下)仙童寅吉物語 二之巻 終
『仙境異聞』完 geocities.jp/sybrma/332senkyouibun.ge.2nomaki.
寅吉云はく、
「すべて学問といふものは、魔道に引込まるゝ事にてまづは宜からぬ事なり。其の故は学問するほど善き事は無かれども、真の道理の至極まで学び至る人はなく、大概は生学問をして、書物を沢山に知りて居る事を鼻にかけて、書物を知らぬ人を見下し、
(1)神はなき物じやの、
(2)仙人天狗はなき物じやの、
(3)怪しき事はないの、
(4)然やうの道理はない事じや
など云ひて我意を張るが、これみな生学問の高慢にて心狹き故なり。
書物に記して有る事にも、直に見ては違ひて居る事はいくらもあり。
一体高慢なる人は心狹くて、遂には悪魔天狗に引込まれて責めさへなまるゝ人なり。
彼方にて聞きたる咄なるが、何とか云ふ大鳥が己れほど大きなる物は有るまじと思ひて出かけ、飛び草臥(くたび)れたる故に、下に見ゆる穴に入りて羽を休めたれば、其の穴がくしやみを為て、何奴なれば我が鼻に入りて休むぞと云はれて、胆を潰したと云ふことなり。
人ほど貴き物は無けれど、我より下の物を見れば段々卑しく劣れるが有りて、幾百段あるか知れず。
顕微鏡にて見ても知るべし。蠅は小さき物ぞと思ふに、蠅に羽虫がたかりて有り。然れば其の羽虫にまた羽虫のたかりあるかも知らず。
其の如く、上にもまた段々に幾百段か、尊き勝れたる物の有るべく、此の天地も何も、何とか申す神の腹内なるかも知れず。
其の故は人の腹内にも色々な虫のあるを以ても知るべし。
然れば高慢と云ふものは、大空が何処に止まると云ふ事までを知りて、自由にする程の器量が無くては云へぬ事なり。
凡て慢心高ぶりほど宜からぬ事はなし。魔道に引き入れらるゝ縁なればなり。
それ故に顔の美しき人、また諸芸の達人、金もち長者なども慢心おごりの心ある故に、多くは魔道に入る。
坊主は大かた賤しき者より出でて、位高くなり人に敬はるゝ故に、みな高ぶりの心ありて大抵は魔道に入るなり。
殊に金持ちのあるが上にも慾を深く金を集めて、世の為に遣ふ事をせざるは、神の悪み給ふ事と聞きたり。
金持ちが一所に金を集むる故に、貧乏人が多くなる。
世人が各々某々に暑からず寒からず、食ふて着て住まるゝ程に用意して、欲を深くせぬと世が平らかに行くなり。
金持ちが金をしたゝかに集めて、此は我が物ぞと心得て居れども、能く思へば自分の物とては何もなく、悉く天下様の物なり。
金銀も天下様より、通用なさるゝ世の宝、その外、食物も着物も天下様の地に出で来たる物なり。
家も天下様の地にあり。其の身さへに天下様の地に生まれて天下様の御人なれば、我が身とは云はれず。
金銀や何かを沢山に持ちても、死ぬときに持ちては行かれず。然るに此の事の弁へなく、めつたに欲を深くして物持ち金持ちとなりたがる人は、死しても其の心うせず、人の物を集めて欲しがる鬼物となるとぞ。此れやがて魔道に入りたるなり」