とても良いことですね。一生座って仕事をするようなことは控えるべきです。私も化学を卒業して育種事業に興味をもって取り組んでいます。
ビーカー実験と異なり、年1回に実験ですから大変です。地・日の神、風・雨の神などを感じられる瞬間が幸せです。ゲーテも文学から転向して地質や植物研究で過ごしたようです。
IT、自然エネルギーを活用して面白い農業を展開して欲しい。寒冷地でできるミカン、柿、椿とか1年中緑の葉をつける樹木とか面白いものを創出してほしい。
東大、早慶の文系学生も続々参戦! 農業就活「アグリク」が盛り上がり始めた理由
(ダイヤモンドオンライン 2014年03月20日掲載) 2014年3月20日(木)配信
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学生向け就職説明会も佳境を迎えていた2月下旬。“あるビジネス”をテーマにしたリクルートイベントが東京・霞ヶ関で開催された。それが「アグリク」だ。
「アグリク」とは、農業ビジネスの業界研究と合同説明会が行われるイベントのこと。全国から有名トップ農業法人が訪れ、農業ビジネスに関心を寄せる学生に対してリクルート活動を行った。同イベントを主催したコネクト・アグリフード・ラインズの熊本伊織社長はこう語る。
「今回は学生の申込者数が150名を越えました。申込者数が2ケタだった前回、前々回(昨年6月、9月)と比較しても増加しています。とても盛り上がりました」
農業関連の就活イベントと聞くと、農業大学や農学部の学生が参加者の中心ではないか、と思ったかもしれない。
しかし今回のイベントで驚くのは、東京大学や早稲田大学、慶応義塾大学といった官公庁や大手企業を目指すことの多い上位校の文系学生が数多く参加していた点だ。
しかも、参加した学生の多くは実家が農家ではなく、親は「都会のサラリーマン」という人も少なくない。
ほんの数年前まで、新卒の就職活動で「農業」を意識することはほとんどなかったにもかかわらず、なぜ今、都会の文系学生までが「農業」を志すようになったのだろうか。
■総合商社、大手小売りが続々参入同時に非農家出身の若者が農業界へ
2009年に企業の農地借入を原則自由化する「改正農地法」が施工されたことを追い風に、近年、大手企業の農業進出が本格化している。
例えば、総合商社では豊田通商が宮城県栗原市で地元農家と国内最大規模のパプリカ栽培を行っており、今月13日には三井物産が山梨の農業生産法人と共同で国内最大級のトマト生産工場を建設すると発表した。また、大手小売りチェーンでは、セブン&アイとイオンがそれぞれ子会社として農業法人を立ち上げ、生産した商品を自社グループの店舗で販売を行っている。
そんな大手企業の参入で、新たに農業に携わる人の属性も変わりつつある。農林水産省が新規就農者の動向を調べた調査によると、新規就農者の多くは自営農業就農者(農家子弟であって、自家農業に就職する者)であるものの、近年は雇用就農者(農業法人等で雇用される)が増加傾向であり、しかもそのうち非農家出身者の割合が79.3%に上っている。さらに年齢は39歳以下が62.7%と若者の参入が進んでいることがわかる(平成24年度新規就農者調査)。
これまでであれば農業とは無縁だったと思われる若者が就農しやすくなったように思われるが、農業法人の経営者たちは課題を抱えていた。
前出の「アグリク」を主催し、農業コンサルティングを様々な企業に行っている熊本さんは、先進的な取り組むも行う農業法人の経営者たちからこんな切実な声を寄せられていた。
「農作業ができる人材だけでなく、幹部候補になってくれる若い社員がほしい」
とはいえ、都市圏の若者にとって農業ビジネスは遠い存在だった。そこで、熊本さんや同社のメンバーは、暗中模索しながら手始めに食や農業に関心のある学生団体にアプローチをしてみる。すると、数多くの学生が農業ビジネスへ強い関心を寄せたという。
ベンチャー志向の学生が
農業を目指す理由
農業を目指す理由
コネクト・アグリフード・ラインズの熊本伊織社長の業界研究セミナーに熱心に耳を傾ける学生たち。参加学生のなかには、女子学生も多く見られた
「農業に関心を持ったきっかけは、2泊3日で参加した長野での農業体験ですね。僕の実家は農家ではありませんが、この体験で生産者に支えられて自分は生きていると実感できて、農業ビジネスを意識するようになりました」
こう話すのは、駒澤大学3年生の鎌田航平さん(@kamakow)。学業の傍ら学生団体Essensにも所属し、食に関するフリーペーパーを制作している。鎌田さんによると、農業ビジネスに関心のある周囲の友人には、食料系や農業系の学部の人ももちろんいるが、どちらかというと文学部や社会学部の学生の方が多いそうだ。
そんな鎌田さんが農業法人以外に関心を持っているのは、新しい取り組みで食品業界に新風を巻き起こしている、食関係のIT企業やPR会社。面白いのは、「『食』には様々な可能性がある」と語るところだ。
「今の時代、『食』はどんなモノやサービスともコラボレーションできる。だから、いろんなスキルやキャリアを築いて自分なりの武器を身につけてから『農業』のマーケットに貢献したい」
(鎌田さん)
実は、こうしたベンチャー志向こそ、今の農業法人が求めている能力の1つだ。
平成24年度の農業総生産額は8兆5251億円。ピーク時(昭和59年度)の11兆7171億円から約3億も減少している。その一方、農業就業人口は昭和35年の1454万人をピークに減少し始め、昭和60年には543万人、そして平成25年には239万人へと、こちらも減少の一途をたどっている。
ただし、昭和59~60年当時と現在の売上と農業就業人口を比較すると、就業人口は55%近く減少しているにもかかわらず、総生産額は30%程度の売上減に留まっている。
この点から、農業をする人材が減ったからといって農業が立ち行かなくなるわけではなく、作業の効率化や新しいビジネスモデルの創出によって、まだまだ農業界を盛り上げ、儲かる業界にできる可能性はあるとも考えられる。
学生の面接をする熊本社長。
「ベンチャー志向を持った学生も農業ビジネスには向いている」
という 事実、先進的な農業法人では、ITを活用した農業経営で長年の経験や勘だけに頼りきらないシステムを構築したり、または農産物の生産のみならず直売所やレストランを運営、あるいはグローバル展開も視野に活動している。
熊本さんはこうした農業ビジネスの変化を受けて、
「もともと農業や食品業界に関心のある就活生だけでなく、商社やコンサル、ITを視野に入れている人にもぜひ農業法人を就職先の候補にしてほしい。職種で言うと営業志望の人もいい。社長直下で幹部候補として活躍できる可能性もあるので、ベンチャー志向の人にもおすすめだ」
と語る。
「職業」として農業を当たり前に
農水省も慶大・早大などへアプローチ
農水省も慶大・早大などへアプローチ
こうした企業や学生の動きを受け、農水省も支援を始めている。
以前から新規就農支援を行ってきた農水省だが、実はこれまで農業系以外の大学等への新卒者を対象としたアプローチはほとんど行っていなかった。ただし、同省が掲げる新規就農者2万人という目標のため、
「“職業”として農業を根付かせるためには、新卒者を対象にしなければいけない」
と、新卒者の就職先のひとつに「農業法人」を加えるための取り組みを平成25年度から試験的に行ってきた。農水省経営局就農・女性課の勝又多喜子さんは、こう語る。
「商社や食品メーカーといった人気業界と並ぶように、新卒学生の農業法人への就職を当たり前にしたい」
それを実現するべく、農水省では様々な大学のキャリアセンターにアプローチを行った。その中には、社会起業家などを多く輩出する慶應義塾大学SFCキャンパスや早稲田大学ボランティアセンター、体を動かすことに長けている体育系大学、食品関連の学部のある大学などがある。
実際に農業法人に就職して「農業サラリーマン、ウーマン」として働いている先輩の講演会も学生向けに行った。手応えは徐々にではあるが確実にある。
今年度は取り組みが試験的であったため関東圏を中心にしていたが、平成26年度は全国的なものに広げ、職業としての農業を知ってもらう活動を継続していく予定だ。
農作業をするだけじゃない
“攻める人材”がほしい
“攻める人材”がほしい
現在、日本の人口は1億2700万人。2040年には1億700万人程度と約2000万人も減少する見込みで、しかも20%が75歳以上と高齢化が著しく進むことから日本の“胃袋”総量は激減していくことは間違いない。また、同時に農業就業人口も減少していくだろう。
しかし農業は、これからITの活用や大規模化で効率化が一層進むことで、その就業人口減を補いながら、一方で新たな“胃袋”を狙うため、ただ農作物を作るだけでなく、海外マーケットも見据えた高付加価値な商品開発も行う必要性が高い。だからこそ、求められるのは、これまでのような“守りの農業”ではなく、販売や企画も含めた“攻める農業”ができる人材だ。
「農業法人も(新卒で採用する人材に)最初は農業の知識はいらないと言っています。これから必要なのは、モノとして農産物を売るのではなく、それも含めたサービスとして企画提案できる人。こうした新しいビジネスモデルを作りたいと思っている人、目指す人を求めています。その前提として、何でも吸収できる“素直”な人、営業もするなら多くの人が一緒に働きたいと思える人でしょうか」
(熊本さん)
大学就職課における農業法人への就職支援は今のところ、大学によってまちまちだ。しかし、企業と学生のお互いへの関心は高まるばかり。これから「農業」が就職先として皆が憧れ、当たり前になる日は、そう遠くないのではないか。
(ダイヤモンド・オンライン 林恭子)