新聞の報道では肝心の化合物がでてこない。daily-tohokuがCDK9の働きを弱める「FIT039」という化合物ときちんと報道している。文系の新聞記者では対応できない時代になってきた。
薬物耐性という困難な課題が解決できれば良いが。
薬剤耐性ウイルス抑える化合物 京大チームが開発.
daily-tohoku.co.jp
薬が効かない耐性ウイルスの増殖を抑えられる化合物を京都大の萩原正敏教授(分子生物学)のチームが開発し、米科学誌電子版に9日発表した。
皮膚にただれなどの症状が出るヘルペスウイルスで有効なことを確認。薬剤耐性を獲得したウイルスに効く薬の開発につなげられるよう臨床研究に入りたいとしている。
チームは、ウイルスが人の体内に侵入し増殖する際に、人やマウスなどの哺乳類が持つ細胞内の酵素「CDK9」を利用することに注目。
CDK9の働きを弱める「FIT039」という化合物を作り、薬剤耐性ヘルペスウイルスに感染したマウスに塗ると、皮膚のただれが改善した。ウイルスが増殖できなくなったと考えられる。萩原教授は
「人や動物の側に作用するので、ウイルスが変化して耐性を獲得しても、効果が期待できる」
と話す。
耐性ができていないとみられるウイルスでも有効性があり、結膜炎や肺炎を起こすヒトアデノウイルスに感染した人の細胞で増殖を抑えられた。
エイズや、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスでも有効性を示す可能性がある。インフルエンザなど、どんなウイルスに効くのか今後研究を進める。
CDK9はDNAからタンパク質を作る過程に関わるが、細胞内には同様の働きをする酵素が他にあるため、チームは機能を阻害しても悪影響はないとみている。
耐性ウイルス抑える物質開発 京大、ヘルペスで有効性
2014年07月09日 13時00分 京都新聞
新しいメカニズムで作用する抗ウイルス薬の候補物質を、京都大医学研究科の萩原正敏教授らのグループが開発した。皮膚にただれなどの症状を起こし、従来の薬が効かないヒトの耐性ヘルペスウイルスに対しマウスの実験で有効性を確認した。米学会誌で9日発表した。
ウイルスは、感染相手(宿主)の細胞に寄生してタンパク質を合成し、増殖する。
従来の抗ウイルス薬は、ウイルスの特定のタンパク質を標的にしてその機能を抑える仕組みだが、ウイルスがタンパク質の構造を変化させて耐性を獲得し、薬が効かなくなるのが問題だった。
グループは、ウイルスの増殖に必要な感染相手のタンパク質の働きをなくす手法を考え、遺伝子の合成を制御するタンパク質CDK9の働きをなくす化合物を開発した。
ヒトの薬剤耐性ヘルペスウイルスに感染したマウスに、この化合物を塗ると症状が改善した。
CDK9が働かなくなったことで、ウイルスが増殖できなくなったとみている。また、他のタンパク質が機能を代替するために大きな副作用はないという。
今回見つけた化合物は、風邪などを引き起こすアデノウイルス、子宮頸がんの原因となるパピローマウイルス、エイズウイルスなどに効果が期待できるという。萩原教授は
「飲み薬としても使える。来年度には京大病院で臨床研究を始めたい」
と話している。
jci.org/articles/view/73805