インスタント以外のコーヒーは心臓の動悸が激しくなり、飲めない。毎日、早朝にガブガブ飲んでいる前立腺ガン初期の同僚は平気であるらしい。
さてカフェインは小さな分子であるが中々、機能性のある分子である。アデニンと似ているといえば似ているがケト部位がないので似ていないとも言える。
パーキンソン治療薬istradefyllineには2つのケト部位がある。
theophyllineもカフェイン類似構造ですがなかなか代謝経路は手間取るのですね。
それにしても驚くのはこんな簡単なカフェイン分子を捉えるのに、アデノシン受容体間で信じられない位の数の相互作用の多さよ!単なる想像ではないでしょう。
* アデノシン (Adenosine) はアデニンとリボースからなるヌクレオシドの一つでアデニンと リボースは β-N9-グリコシド結合。
カフェインの薬剤に与える影響
kanri.nkdesk.com/touyaku/touyaku9.2.php
カフェインはアデノシンの構造類似体として、アデノシン受容体(A1、A2A、A2B、A3)のうち、A1とA2A受容体に作用して、アデノシン拮抗作用(競合阻害による)を示す。またホスホジエステラーゼ阻害作用(テオドールと同作用)もある。
journal.frontiersin.org/Journal/10.3389/fendo.2012.00113/full
FIGURE 2. Adenosine receptor signaling. Adenosine mediates its action via four G-protein coupled receptors, A1, A2A, A2B, and A3 that are coupled primarily to the activation and inhibition of cAMP. There is also evidence to suggest that accumulated cAMP is linked to the modulation of ion-channel activity (reprinted from herbalzym.com).
FIGURE 1.Adenosine synthesis and metabolic pathwaysinside and outside of a cell. Within the cell ATP and adenosine are continually recycled depending on energy requirements via a series of dephosphorylation and phosphorylation steps mediated by enzymes such as cytosolic 5′-nucleotidase (cyto-5′NT), adenosine kinase (AK), and AMP kinase (AMPK).
Under physiological conditions the rate limiting enzyme is AK. Adenosine can also be generated from the hydrolysis of S-adenosyl-homocysteine (SAH). In response to high metabolic activity ATP and adenosine is extruded to the outside of the cell via facilitated diffusion and secondary active transport. Under such conditions there is further degradation of ATP to adenosine where it can activate adenosine receptors. Excess adenosine is irreversibly deamidated to inosine by the enzyme adenosine deaminase (ADA). Modified with permission from Blackburn (2003).
A1 Adenosine Receptor
jbc.org/content/274/6/3617/F1.expansion
jbc.org/content/274/6/3617/F1.expansion
Figure 1: Structure of A2AR bound to its endogenous agonist, adenosine. The receptor is in rainbow colouration (N-terminus blue, C-terminus red) and adenosine is shown as a space-filling model. The extracellular surface of the receptor is at the top of the diagram.
Figure 2: Receptor-ligand interactions for human A2AR bound to a) ZM241385 and b) adenosine. The interactions between the receptor and adenosine (c) are shown as red dashed lines (predicted hydrogen bonds), blue dashed lines (polar interactions) and blue rays (van der Waals interactions).
アデノシンは、心臓のA1受容体を介し、
徐脈作用や
房室伝導抑制作用、
心収縮力抑制作用
を発現する。
冠血管や末梢血管ではA2受容体を介し、血管拡張作用を発現する。
一方、腎臓においてアデノシンはA1受容体を介して、
一方、腎臓においてアデノシンはA1受容体を介して、
輸入細動脈および
メサンギウム細胞の収縮、
レニン分泌および
エリスロポエチン産生の低下、
尿細管における水およびナトリウムの再吸収の亢進
を引き起こす。
また、A2受容体を介して
輸出細動脈の拡張、
レニン分泌および
エリスロポエチン産生の増加
を引き起こす。
アデノシンA2A受容体は、大脳基底核回路内の線条体-淡蒼球経路(間接経路)に特異的に発現している。
アデノシンA2A受容体は、大脳基底核回路内の線条体-淡蒼球経路(間接経路)に特異的に発現している。
カフェインが血管拡張(腎臓)と血管収縮(脳)という作用を同時に示すことのできる理由は、相反する挙動(AC↓とAC↑)を示すA1とA2Aに同時に作用し、かつ、それら受容体の分布密度が臓器により異なるために起こると考えられる。
また、ホスホジエステラーゼを阻害することでACを上昇させて気管支平滑筋を拡張するとともに、アデノシンに拮抗することで脳内ドパミンの作用を高めて覚醒や交感神経興奮作用を示す。(ドパミンとアデノシンはシーソーの関係。AchとDA、5HTとDAと同じく互いに拮抗する)
まとめると以下
•心拍の上昇・・・A1
•利尿作用(腎血流量の増加)・・・A1
•頭痛の改善(脳血管収縮)・・・A2A
•覚醒(ドパミン作用)・・・A2A
•気管支拡張作用・・・PDE阻害
•利尿作用(腎血流量の増加)・・・A1
•頭痛の改善(脳血管収縮)・・・A2A
•覚醒(ドパミン作用)・・・A2A
•気管支拡張作用・・・PDE阻害
選択的アデノシンA2A拮抗薬としてパーキンソン病に適応を持つノウリアスト(イストラデフィリン)がある。
istradefyllineの構造式 database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061371.pdf
*****
medical.radionikkei.jp/suzuken/final/130711html/index
花の舎病院 院長
近藤 智善
アデノシンはアデノシン3リン酸の加水分解産物ですが、体内に広く分布していて、細胞表面上の受容体と結合し、様々な生体反応を調節しています。
4種類知られているアデノシン受容体のうちA2a受容体は脳内では、線条体、淡蒼球など大脳基底核の間接経路を構成するGABA/エンケファリンを含む中型有棘ニューロンに特異的に発現しています。
大脳基底核回路は、大脳皮質から線条体に投射するグルタミン酸作動性神経の投射を受け、線条体、淡蒼球外節、視床下核を経て淡蒼球/黒質網様部に投射する間接経路と、線条体から直接、淡蒼球内節/黒質網様部に投射する直接経路によって調節されています。
大脳基底核回路は黒質緻密部から投射するドパミンニューロンによって調節されており、パーキンソン病はそのドパミン欠乏によって大脳基底核回路の変調を生じた状態ということができます。
間接経路を構成するGABA/エンケファリン含有の中型有棘ニューロンにはドパミンが結合すると抑制がかかるD2受容体が発現していますので、ドパミンが作用すると、このニューロンは抑制されます。
パーキンソン病では、ドパミンが欠乏していますので、このニューロンは抑制がとれた状態となっており、その中型有棘ニューロンの投射先である淡蒼球外節ではGABAの遊離が促進された状態となります。
A2a受容体は、線条体内では、この中型有棘ニューロンの興奮性を調節し、その投射先である淡蒼球外節ではGABAの遊離を調節していまして、A2a受容体遮断薬であるイストラデフィリンが作用しますと結果として淡蒼球外節における中型有棘ニューロンからのGABA遊離は減少します。
つまりドパミン欠乏の結果、間接経路の中型有棘ニューロンが過剰興奮となっているパーキンソン病では、イストラデフィリン投与によって、その投射先・淡蒼球外節での過剰なGABA放出が正されることになるわけです。
動物を用いたパーキンソンモデルの薬理実験では、イストラデフィリンによる淡蒼球でのGABAの遊離抑制やイストラデフィリンの用量に依存した自発的な運動量の増加や運動不全スコアの改善が観察されています。またジスキネジアモデルではL-DOPAによって生じたジスキネジアの増強は認められていません。
*****
ドパミンは中型有棘細胞GABAニューロンを抑制するが、アセチルコリンやアデノシンはGABAニューロンを活性化して視床を抑制し、パーキンソン病(錐体外路障害)を引き起こす。
すなわち、抗コリン薬やアデノシン拮抗薬はパーキンソン病の治療薬となり得る。
気管支拡張作用を示すPDE阻害剤-テオドール(テオフィリン)にはアデノシンA1受容体拮抗作用があると言われ、アデノシンによるけいれんの抑制作用を抑制し、けいれんを誘発させる機序が知られている。(小児薬の調剤)
theophylline
(jack3d.org/history-of-jack3d-versions)
(jack3d.org/history-of-jack3d-versions)
アデノシン拮抗作用があるのでパーキンソン病の治療薬になりうるのではという検討がなされたことがあったらしいが、治験での有効性は示されず。
ドパミン神経系はもちろん中枢に存在するため、A1ではなく中枢に多いA2Aに特異的に拮抗するノウリアストが効果を示し、テオドールが効果がなかったのであろう。
theophylline(2)
theddb.weebly.com/3/post/2010/5/oncogenic-retroviruses-and-theophylline
theddb.weebly.com/3/post/2010/5/oncogenic-retroviruses-and-theophylline
theophyllineの代謝経路
plaza.rakuten.co.jp/drkameyama/diary/200711270000/
plaza.rakuten.co.jp/drkameyama/diary/200711270000/