炭素ナノケージの研究
名大伊丹健一郎さんグループの研究である。炭素が筒状に連なった「カーボンナノチューブ」と球状の「フラーレン」、平面に広げた「グラフェン」の3種類とは違う種類かな。電子回路に応用し、より小さな電子機器の開発を目指すという。
吸収スペクトルのデータは見ていないがπ系が拡張するとやはり波長極大λmaxは長波長へらしい。
2015年のアメリカ化学会賞(Arthur C. Cope Scholar Award)を受賞
過去の日本人受賞者(敬称略:括弧内は受賞当時の所属):
正宗悟(MIT, 1987)、岸義人(ハーバード大, 1988)、福山透(ライス大, 1993)、尾島巌(ニューヨーク州立大, 1994)、野依良治(名古屋大, 1996)、柴崎正勝(東京大, 2002)、小林修(東京大, 2006)、山本嘉則(東北大, 2007)、林民生(京都大, 2008)、中村栄一(東京大, 2010)、丸岡啓二(京都大, 2011)、藤田誠(東京大, 2013)
3種のカーボンナノケージ
我々が2012年に報告したカーボンナノケージは、ベンゼン環のみからなる初めてのカゴ状化合物であり、歪み・対称性・内部空間が作る新たな性質に興味がもたれている。
今回我々は、3種類の大きさのカーボンナノケージの作り分けに成功し、それらを系統的に調べることによって、構造と光物性のサイズ依存性を明らかにした。サイズが大きくなるほど吸収波長が長波長シフトするのに対し、蛍光発光波長が短波長シフトするという特異な現象を観測した。
また、最も小さなカーボンナノケージの単結晶X線構造解析に成功し、ケージの空隙が一次元チャネルを形成していることを見出した。
kuba.co.jp/syoseki/PDF/3076.pdf