皮膚もなかなか複雑な化学現象である。フィラグリン(Filaggrin)という表皮蛋白質が注目されているらしい。
the-scientist.com/?articles.view/articleNo/29383/title/The-Allergy-Gene/
The Allergy Gene
By W. H. Irwin McLean The Allergy Gene How a mutation in a skin protein revealed a link between eczema and asthma. Greg Betza It was a tense Friday afternoon in October 2005. Four of us in the lab had been working furiously that week in the fear that our results would be scooped at any moment. (It was an unfounded worry, but we had no way of knowing that at the time.) We had recently found the first mutation in a gene associated with a relatively common skin dise
December 1, 2010
| jcs.biologists.org/content/122/9/1285/F4.expansion
<アレルギー> 皮膚の弱さが原因? 英で研究報告
毎日 12月18日(木)9時56分配信 headlines.yahoo.co.jp
◇ 保湿不足で抗原侵入
異物の侵入を防ぎ、刺激や乾燥から体を守る皮膚のバリアー。
その弱さが、さまざまなアレルギーの病気の発端になるという説が注目されている。アレルギーは免疫が過剰に反応して起こるが、皮膚のバリアーを高めて予防につなげようという研究も進む。
◇ 表皮たんぱく質重要
皮膚のバリアーが着目されるきっかけになったのは、2006年の英国での研究だ。
皮膚の表面(表皮)にある角質層の主要なたんぱく質「フィラグリン(Filaggrin)」にかかわる遺伝子に変異があると、アトピー性皮膚炎を発症しやすくなると報告した。
フィラグリンは分解されると天然の保湿成分として働き、皮膚のバリアーの形成や水分を保つのに重要な役割を果たすとされる。
名古屋大の秋山真志教授(皮膚科学)によると、この遺伝子に変異があると、フィラグリンをつくる量が半減またはなくなってバリアー機能が弱まり、アレルギーを起こす抗原が体内に入りやすくなると考えられる。
秋山教授らが日本人で調べたところ、アトピー性皮膚炎の人の27%に変異があった。ただし、変異があっても発症しない人もおり、
「気候や生活習慣なども影響する。ほかにも皮膚のバリアーにかかわる遺伝子があるかもしれない」
と説明する。
慶応大の天谷雅行教授(皮膚科学)らは、死んだ細胞の積み重なりとされてきた角質層を詳しく調べた。すると、水分保持層などの3層で構成され、バリアーの機能を発揮していた。
3層を通過した抗原を、免疫反応をつかさどる活性化した「ランゲルハンス細胞」が突起を伸ばして取り込む様子を可視化することに成功。過剰な免疫反応であるアレルギーが、皮膚経由で起きる仕組みの一端を解明した。
だが、炎症やかゆみがなぜ起こるのかは解明されていない。
kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000328
気象庁のデータでは、ここ100年で都市部の湿度は15%ほど減少し、皮膚の水分が失われやすくなっている。天谷教授は
「皮膚にとっては厳しい環境だ。洗いすぎも角質層のバリアーを失わせるので、体をごしごし洗う必要はない」
と助言する。
◇乳児期の湿疹原因か
英国では、ピーナツアレルギーの子は、ピーナツ由来のオイルを塗る頻度が高かったという報告がある。
食品を食べなくても、皮膚から微量に取り込まれることで、食物アレルギーを発症する可能性がある。
「バリアー機能を高めれば、アレルギーの発症を抑えられるのではないか」
国立成育医療研究センターなどのチームはこうした仮説をもとに、生後間もない乳児に毎日、保湿用の乳液を約8カ月間塗ってもらい、アトピー性皮膚炎の発症の有無を調べた。
その結果、スキンケアをしていない乳児に比べて、発症率が3割少なくなり、バリアーを高めることが発症予防につながることを示した。
また、湿疹や皮膚炎のある乳児は、卵アレルギーを起こす可能性を示すIgE抗体の値が高かった。
子どもの場合、成長とともに、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ぜんそく、鼻炎と進む傾向があるため、「アレルギーマーチ」と呼ばれる。
同センター研究所の松本健治・免疫アレルギー研究部長は
「乳児期に湿疹があると、さまざまな抗原が入りやすくなって、アレルギーマーチを引き起こすと考えている。湿疹を放置せずに早く治療することが食物アレルギーやぜんそく、花粉症などの発症予防につながる可能性がある」
と推測。同センターを中心に臨床研究に取り組む計画だ。
【下桐実雅子】