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論文作成 謎深まる STAP問題

論文作成 謎深まる STAP問題 理研が会見
 
2014年12月19日 夕刊    東京新聞
 
 理化学研究所は十九日、小保方晴子氏(31)が参加した検証実験でもSTAP細胞を作れなかったと発表し、夢の万能細胞は存在しなかったと結論付けた。
 
会見に小保方氏は姿を見せず、退職も決定。論文に掲載された写真やデータがどう作成されたかなど、真相解明への影響を懸念する声も上がっている。 
 
 これから焦点となるのは、存在しないSTAP細胞の論文がどのように出来上がったかということだ。
 
 STAP細胞と呼んでいたものは何だったのか。そこから作ったというキメラマウスはどう生まれたのか。多くの疑問が湧く。
 
 今年初めに論文疑惑が浮上した時から、理研は疑惑解明に積極的とはいえなかった。四月には、論文の画像二点を捏造や改ざんと認定したが、論文撤回を勧告するだけで不正が起きた経緯までは踏み込まなかった。
 
 論文が撤回された後も新しい疑惑が浮かんだ。公開されたSTAP細胞の遺伝子配列を分析した研究者から、配列の特徴が胚性幹細胞(ES細胞)と似ており、論文の方法で作ったとは考えにくいなどの指摘が出てきた。
 
 それでも疑惑解明の動きが鈍く、日本学術会議は七月に「研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない」と強い調子で問題点を明らかにするよう促した。
 
また文部科学省は八月に
 
「研究機関は不正行為に対して厳しい姿勢で臨む必要がある」
 
とする来年度からの新しい不正対応ガイドラインを定めた。
 
 理研は九月になってようやく外部有識者でつくる調査委員会を設けて新しい疑惑の検証を始めた。残されている試料を分析し、遺伝子配列がどうなっているかなどを調べている。
 
 疑問をきちんと突き詰めれば論文の出来上がった経緯が明らかになるはずだ。全くの虚構なのか、細胞の取り違いなどがきっかけなのか。小保方氏はどう説明するのか。理研は一月末までに調査結果を発表する。
 
 この結果を基に関係者の処分が決められる。重い場合は懲戒解雇などもあり得る状況だ。
 
 だが理研は、結果が出る前に小保方氏の退職を認めた
 
懲戒の回避ではないかという質問に理研は
 
「小保方氏は退職金のない雇用契約なので、払う払わないは関係ない。調査にも支障ないと聞いている」
 
と説明。退職しても懲戒委員会は開いて、どんな処分が相当だったかを公表するとした。
 
 しかし、理研を離れることで小保方氏の言い分を聞く機会が減り、再発防止に必要な教訓を十分に引き出せないまま終わらないか懸念が残る。
 
 (永井理)
 

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