アオブダイの流通は自粛というのに??
写真をみただけで食べたくないほどの危険を感じますね。派手な出で立ちは危険ですよ!と告げているわけです。パリトキシン (palytoxin) で急性腎不全。
Wikiによるとフグ毒のテトロドトキシンの作用と反対でナトリウムチャネルに対し何らかの形で作用して、細胞膜のナトリウムイオン透過性を増すらしい(rstb.royalsocietypublishing.org/content/364/1514/229)。
physiologyonline.physiology.org/content/19/6/377 E1State E2State
パリトキシンはNa-K ポンプに作用してNaイオンをスカスカに通す開口チャネルにしてしまう。その結果あらゆる細胞の膜イオン勾配,膜電位が消失する。たしかにTTXより恐ろしい(twitter.com/akirasakurai/status/262604944807428096)。
心筋や平滑筋、神経細胞などの興奮性細胞では、パリトキシンはNa+の膜透過性を上昇させ、その結果二次的に電位依存性Ca2+チャネルを活性化して細胞内Ca2+濃度を増加させる(gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/gakui/cgi-bin/gazo.cgi?no=113571)。
mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_03
www2.hawaii.edu/~bemorton/Neuroscience/Neurochemistry/PalyStruct
tsuriyoubi.jp/essay/0060/03によると、魚類でフグ毒をのぞくと、死亡者のでるような中毒はアオブダイ中毒しかないという。
海産動物の毒としてはマイトトキシンに次ぐ強さを持っている。半数致死量でいうと、テトロドトキシン(フグ毒)のおよそ67倍も強いとも。
食中毒を起こしたアオブダイの採集地。
•長崎県福江島
•高知
•徳島県牟岐
•三重県長島
•徳島県宍喰
•三重県三木浦
•高知県室戸
•高知県宿毛
•宮崎県門川
•長崎県久賀島
•三重県熊野
•鹿児島県佐多岬
•高知
•徳島県牟岐
•三重県長島
•徳島県宍喰
•三重県三木浦
•高知県室戸
•高知県宿毛
•宮崎県門川
•長崎県久賀島
•三重県熊野
•鹿児島県佐多岬
腎臓障害
パリトキシンにより、横紋筋融解症が起こる。骨格筋が融解したり壊死を起こすのである。このために筋肉の成分が血中に流れだしてしまう。このときに筋肉中に含まれるミオグロビンという色素が流れだし、これが尿にはいる。
激しいスポーツをして、筋肉を損傷させた場合も横紋筋融解症が起こり、いわゆる「血のおしっこ」がでてくる。これと同じ状態が起こる。尿は血の色というより、黒っぽい褐色になり、ミオグロビン尿症と呼ばれる。
このミオグロビンにより急性腎不全を起こしたり、呼吸筋が壊死を起こして呼吸困難を起こしたりして、場合によっては死亡する。
アオブダイで食中毒死、宮崎 70代女性、煮付けを食べ
2015年2月18日 22時12分 東京新聞
宮崎県は18日、県内の70代女性がアオブダイの煮付けを食べ、肝臓に含まれる有毒物質パリトキシン (palytoxin) による食中毒で死亡したと発表した。
県はアオブダイの入手経路などを調べている。
県によると、女性は16日午後6時ごろ、自宅でアオブダイを煮付けにして1人で食べた。
午後9時ごろに体調が悪くなり、17日午後8時ごろ病院に入院。18日午後3時半ごろ、女性が亡くなったとの報告が病院から県にあった。
血液検査などで、パリトキシン中毒の症状である腎不全などを起こしていたことが分かった。
パリトキシンは、アオブダイやハコフグの肝臓などに含まれ、呼吸困難などの症状が現れる。
(共同)
wako-chem.co.jp/siyaku/product/life/Marintoxin/index
@vet_kokusi
TTX(フグ、バイ貝、ヒョウモンダコ、スベスベ)とサキシトシン&ゴニオトキシン(牡蠣、アサリ、ホタテ、ムール貝)はNaチャネル阻害によって毒性を示す。それに対してシガトキシン(パラフエダイ、ドクカマスなど)はNaチャネルの持続的開口によって毒性を示す。開閉が逆なので注意。
パリトキシンの岸義人
パリトキシンはナトリウムポンプに結合してそこに穴を開けるため、NaとKのイオンバランスが保てなくなる。
Na+/K+-pump ligands modulate gating of palytoxin-induced ion channels
日常は気にもかけないGateのIon homeostasisが重要なのですね。
advan.physiology.org/content/28/4/143