新素材セルロースナノファイバー実用化支援 京都市産技研
2015年06月24日 09時58分 京都新聞
京都市産業技術研究所(下京区)は、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の実用化に向けた支援事業を始めた。
京都や滋賀など近畿各地の素材メーカーを対象に専門スタッフを派遣して技術指導にあたるほか、材料調達先や販売先とのマッチングも支援し、新規参入を促す。
支援事業は、経済産業省から新分野進出支援事業(地域イノベーション創出促進事業)の採択を受けた。
CNFは、植物繊維をナノメートル(ナノは10億分の1)レベルまで微細化した素材。
鋼鉄に比べ重さは5分の1だが、強度は5倍以上ある。熱を加えても変形しにくく、高機能の補強用材料として世界的に注目を集めている。
近畿にはプラスチックや不織布、ゴムなどの素材加工で独自の技術やノウハウを持つ中堅・中小企業が集積していることから、実用化を加速させる。
市産技研が取り組んできたCNFの先端研究の実績を生かし、京都大や東京大の研究者と連携して新素材の開発や製品化を支援する。
マッチング支援の対象は、原材料メーカーをはじめ、製品の供給先として有力な自動車や家電、建材のメーカーなどで、流通体制構築を後押しする。グローバル展開を見据え、海外企業の動向などを情報提供する。
市産技研は
「CNFの研究開発で培った知見や有用性を地元企業に伝え、今後の成長が期待されている市場への参入を促したい」
としている。