京都のクマゼミ、今夏は激減 市街の緑地減少原因か
2015年08月21日 10時20分 京都新聞
夏の風物詩、朝から大合唱するクマゼミが、今年は京都市内で激減したことが、京都産業大付属高の生物部(下京区)の調査で分かった。同部は「緑が減っていることが原因ではないか」とみている。
調査は、鴨川の葵橋西詰(上京区)にあるアキニレの木を定点観測の場所とし、クマゼミとアブラゼミの抜け殻を毎朝回収する方式。
同部前身の京都成安高生物部が1997年に始めて以降、19年間、毎夏途切れることなく続けてきた。
今年のクマゼミの観察は、7月11日から羽化終了の8月9日まで行った。抜け殻は昨年の半分にあたる292個。最少だった283個(2007年)に次いで少なかった。アブラゼミは163個で、極端な変化は見られなかった。
初回調査から指導をする米澤信道顧問によると、市街地と山間部両方に見られるアブラゼミに対し、クマゼミは市街地や人里のみに生息する。
米澤さんは
「マンションや駐車場が増えたり、街路樹が伐採されたりするなど、京都市内の緑地環境の変化が影響しているとみられる」
と指摘する。
生物部の調査で、クマゼミの一生は6年と判明しており、観測を始めた年から通算すると今年のセミは「ひ孫世代」にあたるという。
部長で2年の浜田恵衣さん(17)は
「調査した最初の年は1400個だったので、激減して驚いた。今後も観察を続け、ひ孫世代の傾向をつかみたい」
と話している。