京の土産、八橋が苦手なKidsがアロマとか香辛料に最近凝っている。どういう風の吹き回しであろうか?と訝っている。
特にシナモンシュガーが太らないと言ってコーヒーや紅茶に入れている。パンにバターを塗りシナモンシュガーをふりかけて食べたり。成分のことは分かっているのかな?こちらからは聞かれない限り言わない主義である。
成分の一つ桂皮アルデヒドcinnamaldehydがある。桂皮酸には固体中の光2量化などの反応でお世話になっている。ベンゼン環から単結合一つおいた2重結合に注目。
* シナモン成分 jafra.gr.jp/cinnamon
シンナムアルデヒド(80%)、
オイゲノール(10%)、
トランス桂皮酸(5~10%)、
フェノール酸(4~10%)、
タンニン、カテキン、オリゴメリックアントシアニジン、モノテルペン類
上の成分分子の構造を見る限り、いくら聖なる香りのシナモンといえどもやはり摂取量には注意が必要であろう。この点だけはKidsに注意を促したい。
Wikiによると桂皮酸エステルには様々な香りがあるのですね。
ケイ皮酸メチル Methyl cinnamate
いわゆるマツタケ臭、バルサム臭を持ち、香料、食品添加物などに利用される。水には溶けず、エタノールに溶ける。マツタケ、バジル、イチゴなどに含まれる。
ケイ皮酸エチルEthyl cinnamate
融点 6-10 ℃、沸点 271 ℃ の液体である。いわゆるシナモン臭といわれる果実臭、バルサム臭を持ち、香料、食品添加物などに利用される。水には溶けず、エタノールに溶ける。
ケイ皮酸n-ブチル n-butyl cinnamate
臭い?
無水ケイ皮酸 cinnamic anhydride
3,4-ジヒドロキシケイ皮酸
コーヒー酸あるいはカフェ酸 (Caffeic acid) という慣用名がある。
キナ酸と 3,4-ジヒドロキシケイ皮酸とのエステルはクロロゲン酸と呼ばれる。
3,4-ジヒドロキシケイ皮酸もクロロゲン酸も植物の成長制御に関与する物質である。
その他エステルとして植物界に広く分布し、その一部はタンニンとして知られる。生合成的にはケイヒ酸の酸化により生じる。
まあ古代からシナモンは霊験あらたかなる聖なるスパイスとして人類に愛されてきたわけであるが、毒性や副作用にも注意が必要であろう。
この霊妙な香りの正体が桂皮酸アナログとは古代人に知る由もない。
ODORS OF CHEMICAL COMPOUNDS
Samples of the compounds listed in the table will be circulated during lecture. Smell each sample and record a brief description of your impression of its odor in the "Smells like" column. At the end of lecture, the name of the odor of each compound will be revealed. Record the name in the last column and compare it to your impressions.
シナモンの香りをめぐる化学の小さな旅
2015-4-6 8:48 管理者: Mashi
シナモン(学名:Cinnamomum verum)は、熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹の名称であり、またその樹皮から作られる香辛料の名称でもあります。
シナモン(学名:Cinnamomum verum)は、熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹の名称であり、またその樹皮から作られる香辛料の名称でもあります。
ニッキとも呼ばれることもあり、生薬として用いられるときには桂皮(ケイヒ)と呼ばれます。正倉院宝物の中にもシナモンが残されていて、桂心という名称で登録されていたのは、前回のコラムにも書きました。
特徴的な芳香成分はシンナムアルデヒド、オイゲノール、サフロールなどで、スパイスの王様とも呼ばれています。
様々な和菓子(たとえば京都の八橋)や洋菓子の香り付け、さらに色々な食材にも広く使われています。
今回は、このシナモンの香りの元である桂皮酸誘導体について、化学の小さな旅に出てみたいと思います。
シナモンの香りの成分であるシンナムアルデヒド(桂皮アルデヒド)は、示性式 C6H5CH=CHCHO と表されるフェニルプロパノイド系芳香成分です(図参照)。
シナモンの香りの成分であるシンナムアルデヒド(桂皮アルデヒド)は、示性式 C6H5CH=CHCHO と表されるフェニルプロパノイド系芳香成分です(図参照)。
植物には芳香環(炭素数6個、C6)に炭素数3個(C3)が結合したC6-C3骨格を有するものが多く見られ、これらをフェニルプロパノイド系と総称します。
そう今日はC6-C3をめぐる小さな旅です。
シンナムアルデヒドを含むケイヒ油は、日本薬局方にも収載されている精油で、鎮静、解熱作用があります。また、帝京大学医真菌研究センタ-では、抗菌・抗真菌活性を研究しており、このホ-ムペ-ジのトピックスにも、「シンナムアルデヒドはカンジダの細胞構造を破壊します」という記事が電顕写真と共に掲載されています。
桂皮酸(ケイ皮酸)は、C6H5CH=CHCOOH と表されるフェニルプロパノイド系の芳香族不飽和カルボン酸で、植物に広く存在します。シンナムアルデヒドの酸化によってもできますが、天然に存在するケイ桂皮酸は、アミノ酸のフェニルアラニンが酵素により脱アミノ化されることによって生成します。
香りは、樹脂臭、バルサム臭であり、テレビン油・ワニス・ペンキ溶剤などの原料や香油として使われています。
桂皮酸メチル(メチルシンナメート)は、桂皮酸とメタノ-ルのエステルであり、甘い果実、マツタケ、バルサム様の香りがするため、香料や食品添加物などに広く利用されています。マツタケの香りは、マツタケオールと桂皮酸メチルが主成分ですが、マツタケオールはきのこ一般に含まれており、桂皮酸メチルが独特な香りの決め手になっています。
桂皮酸エチル(エチルシンナメート)は、やはりエステルであり、果実様、バルサム様の良い香りがします。ドリアンの主要な芳香成分でもあります。香料、食品添加物、果実フレーバーなどに広く利用されています。
ジヒドロキシ桂皮酸は、桂皮酸に水酸基が二つ付加された構造をしていますが、コーヒー酸あるいはカフェ酸という慣用名でも呼ばれています。
コーヒー、ワイン、ハーブなど多くの食品に含まれており、フルーツでは、特に熟した果実の皮の部分に多く含まれています。
ジヒドロキシ桂皮酸はコーヒー豆の中では糖とエステル結合をして、クロロゲン酸として存在していますが、豆をローストすることにより糖が外れ、ジヒドロキシ桂皮酸が遊離し、コーヒーの深い芳香として漂います。
C6-C3骨格のフェニルプロパノイド系の桂皮酸を中心にして、わずかな構造の違いが、香りの違いや生理活性の違いとして現れてくるのを紹介した化学の小さな旅でした。実はこの桂皮酸は、さらに色々な代謝産物を生み出す、大きな旅に出て行くこともできます。機会があればまたいつか。(by Mashi)