「別府-島原地溝」のテクトニクス
hp1039.jishin.go.jp/danso/Oita8/2-1-1
「別府-島原地溝」は、重力の低異常帯であり、全体的に基盤岩の深度が1~4㎞と深く(駒沢・鎌田,1985など)、さらにその中にいくつかの重力基盤の局所的凹部が認定できる。今回の調査地域のほぼ中央には「猪牟田カルデラ」(Kamata,1989)として知られている凹部が存在する。
このような「地溝」の形成について、多田(1984・1985)は、過去1世紀の測地学的観測データをもとに、別府-島原地溝付近は、南北方向の引張応力場にあるとし、沖縄トラフの延長部と考えた。
一方、同じデータの再解析により、Hatanaka and Shimazaki(1987)は、地溝の北部が全体として右横ずれの動きをしていることを示した。
また、楠本ほか(1996)は、独自のシミュレーションにより、個々の地溝の形成機構を論じている。
これらの結果をもとに、フィリピン海プレートの斜め沈み込みによる中央構造線の右横ずれ運動によって「別府-島原地溝」の形成が論じられている(Ito and Takemura,1993;鎌田,1992;佃,1992,1993など).
九州の地震活動と地下構造
sevo.kyushu-u.ac.jp
地殻内の地震活動は別府から雲仙に至る別府ー島原地溝帯に沿って活発です。
その震源メカニズムはおよそ南ー北方向伸張する軸をもち、この地域で起こる地震が南北に引っ張られて生じていることを示しています。
また別府~島原地溝帯の西端にある雲仙地溝は年間約1.4㎝ずづ南北に伸びていることが地殻変動データから分かっています。
九州東方の日向灘から九州内陸の深部にかけては、フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震が見られます。
フィリピン海プレートは、九重、阿蘇、霧島、桜島などの火山列下では100−150㎞の深さに達しています。