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中国産牛肉・豚肉を食べただけでドーピング違反

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1980年代にクレンブテロールおよびその塩酸塩に成長促進作用があり、また食肉の赤身を増やす効果があることが分かり、畜産業界で、飼料に混ぜることが行われた”というWikiの指摘。
 
クレンブテロール
 
(clenbuterol)
 
イメージ 1呼吸障害の際に充血除去剤や気管支拡張剤として処方される薬物。クレンブテロールは喘息のような慢性呼吸障害を持つヒトに対して呼吸を楽にする目的で使用される。クレンブテロールは一般に塩酸クレンブテロールの形で使用される。
 
 

中国産牛肉・豚肉を食べただけでドーピング違反になるなんて…「筋肉増強剤で汚染」と米NFLが注意喚起
 
2016.5.14 01:00更新     産経
 
米プロフットボール、NFLが今月、中国産とメキシコ産の食肉を食べないよう、選手らに注意を呼びかける通知を出した。
 
両国で生産されている食肉に、NFLが使用を禁止している筋肉増強剤「クレンブテロール」が含まれている恐れが確認されたためだ。実はこの問題、少なくとも2010年の時点で、公になっていた。今回のNFLの措置は、未だに両国で対策が講じられていないことを物語っている。(北京 川越一)
 
 クレンブテロールはもともと気管支喘息などを治療する薬品だ。同時に、筋肉を残したまま体脂肪を減らす効果があることも知られている。中国の畜産業者はこの効果を悪用。
 
中国では「痩肉精」と呼ぶクレンブテロールを豚や牛に与えて、赤身の多い食肉を生産している業者が少なくないという。
 
 クレンブテロールは大量摂取した場合、健康被害をもたらすとされる。頻脈、動悸、頭痛、めまい、神経過敏、嘔吐、低カリウム血症及び白血球増加症などの症状が報告されている。
 
加熱調理しても影響は残ることから、欧米諸国はもとより、中国、メキシコでも食用家畜にクレンブテロールを与えることは禁止されているのだが…。
 
NFLはNFL選手会との共同声明の中で、
 
「中国とメキシコで生産された食肉の中には、運動能力向上効果があるとしてNFLが使用を禁止しているクレンブテロールに汚染されているものがある、という証拠がある」
 
と断定。その上で、
 
これらの国を訪れている間、大量の食肉を摂取した場合、ドーピング検査でクレンブテロールの陽性反応が出るかもしれない
 
と警告している。
 
     ◇
 
イメージ 2 クレンブテロールを含む食肉の摂取が原因とみられるドーピング検査での陽性反応は、過去にも度々発生している。2010年、卓球の中国オープンに出場したドイツ代表、ドミトリ・オフチャロフ選手は尿検査でクレンブテロールに陽性反応を示し、2年間の出場停止処分を科された。
 
 しかし、身に覚えのないオフチャロフ選手は
 
中国で食べた食事が原因だ
 
と主張した。その後、頭髪からクレンブテロールが検出されなかったことから長期間の使用が否定された。同行したコーチからもクレンブテロールが検出された。中国での食事が原因である可能性が高まり、処分が解除された。
 
また2011年にはメキシコで、サッカーの同国代表5人が、クレンブテロールの陽性反応が出たため、ゴールドカップへの出場を禁止された。
 
その後、メキシコで同年開催されたU17(17歳以下)ワールドカップ(W杯)で、参加選手の大多数からクレンブテロールが検出されたこともあり、合宿中に食べた食肉が原因とする5人の主張が認められた。
 
     ◇
 
 2011年11月、カナダ・モントリオールで開かれた世界反ドーピング機関(WADA)の理事会で、中国とメキシコの「汚染食肉」の事例が報告された。
 
 WADAのデビッド・ハウマン事務総長は
 
「われわれはいくつかの国で汚染された食肉を食べるリスクがあることを示す十分な証拠を集めた」
 
と強調。WADAは選手らに対し、中国やメキシコで大会に参加する際は
 
「大会の主催団体や国際競技連盟が指定するレストランやカフェテリアでのみ食事を摂ること」
 
「指定場所以外では必ず大人数で食事を摂ること」
 
などを呼びかけた。

中国は理事会で報告される以前から、国内で流通する食肉にクレンブテロールが含まれている可能性を認識していた。2011年7月、上海で世界水泳が開催された際には、上海市政府が選手らが安心して食事ができるレストランやホテルのリストを作成しているのだ。
 
それらの“安全”なレストランなどは、市当局による食材や調理方法のチェックをクリアしたとの触れ込みだった。監視対象は食材の納入業者にまで及んだという。
 
 中国メディアによると、当時、北京で流通している牛肉、豚肉、羊肉の52%から興奮剤が検出されたとの情報もあった。深刻な状況に、中国国家体育総局はロンドン五輪を控えた2012年2月、食品の安全問題に関する会議を開き、選手らに
 
「外食する際は肉類を避けるように」
 
と通達したほどだ。
 
 国家体育総局内の大食堂で使用される食材はすべて、安全が確認された契約業者から調達。練習拠点での食事についても、食材の追跡調査ができるシステムを構築したと伝えられた。中には天津市の柔道チームのように、選手が安全な肉を食べられるように自前でブタなどを飼育するケースもあったという。。

もっとも、こうした対策も根本的な改善には至っていない。今年、英紙タイムズが、中国水泳界におけるドーピング違反隠蔽疑惑を報じた。WADAが国際水泳連盟とともに調査に乗り出すことを表明すると、中国水泳連盟は3月下旬、競泳選手6人がドーピング検査で陽性だったことを公表。うち3人から検出されたのが、クレンブテロールだった。
 
 WADAによると、中国とメキシコはWADAに対し、汚染食肉問題への対策と、食用家畜にステロイドを与えることを防ぐための法律の執行を約束しているという。クレンブテロールが検出された競泳選手3人は「誤ってクレンブテロールを含む食肉を食べた」と説明しているということは、中国国内では依然として「汚染食肉」が流通しているということだ。
 
 中国はかつて1994年広島アジア大会で競泳チームの大規模ドーピング違反が発覚。その後、陸上女子中長距離の「馬軍団」の組織的なドーピングも明らかになった。2008年北京五輪を契機に「ドーピング大国」のイメージ払拭に取り組んだが、北京五輪終了後は再び、陽性の事例が増え始めた。

WADAは4月下旬、北京にある中国の反ドーピング検査機関が国際基準を満たしていないとして、最大4カ月間の資格停止とした。
 
中国の不透明なドーピング対策に対する不信感が根強いことがうかがえる。信用回復のため、中国が厳格にドーピング検査を実施した場合、新たな違反が発覚し、リオデジャネイロ五輪の代表選考に影響を及ぼすことを懸念する声も出ている。
 

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