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スペインのエル・イエロ島、再生エネで注目 100%自給目指す
2016年05月12日 18:00 発信地:エル・イエロ/スペイン
【5月12日 AFP】
アフリカ北西岸沖にあるスペイン領カナリア(Canary)諸島の一つ、エル・イエロ島(El Hierro)。
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マツ林とパイナップル畑が競うように広がるこの険しく小さな島が今、再生エネルギーによる発電で世界の注目を集めている。
国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の生物圏保護区にも指定されているエル・イエロ島はこれまで、島内の電力をディーゼル発電に頼ってきた。
燃料のディーゼルはカナリア諸島のテネリフェ(Tenerife)島経由で、スペイン本土から運んでくる必要がある。
そのため、脱ディーゼル発電依存は島の長年の夢だったが、今年2月15日に初めて、島民7000人が24時間以上利用するのに十分な電力を風水力発電所で生産することに成功したのだ。
「隔絶した土地では、完全なエネルギー主権を持つことが重要だ」
エル・イエロ島の元トップで、風水力発電事業の旗振り役であるトマス・パドロン(Tomas Padron)氏はそう強調する。
2014年6月に稼働を始めたゴロナ・デル・ビエント(Gorona del Viento)発電所は、丘の上に建つ風車5基と、丘の上下に一つずつある貯水池からなる。
風がないときは上の貯水池から下の貯水池に放たれる水がタービンを通り、水力発電を行う仕組みだ。
スイスにある国際環境研究センター(Centre for International Environmental Studies)のジョエル・ノアイリー(Joelle Noailly)氏は、この風力と水力のユニークな組み合わせについて、連続的な利用ができないという再生可能エネルギーの問題を解決する「非常に有望」な手段だと期待を寄せる。
ゴロナ・デル・ビエント発電所の株式の23%を保有するスペイン電力大手エンデサ(Endesa)によれば、これまでに数千トン規模の二酸化炭 素(CO2)排出量削減につながったほか、燃料油約3000トン、金額にして120万ユーロ(1億4600万円)相当を節約できたという。
もっとも、島内で必要な電力を全てこの発電所で補うという当初の目標は、稼働から2年近くたった現在も実現できていない。発電所のフアン・ペドロ・サンチェス(Juan Pedro Sanchez)所長は
「この種の発電所は前例がないので、軌道に乗るまでに時間がかかる」
と話し、現状では賄えているのは平均で半分ほどだと認める。
電気料金に関しても、スペインの法律でカナリア諸島独自の設定が認められていないため「以前と変わらない」(島民)という。
それでも国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の専門家、エマニュエル・タイビ(Emanuele Taibi)氏は「これは模倣できるモデルだ」と高く評価する。発電所には、セーシェルやインドネシア、日本、カリブ海のオランダ領アルバ(Aruba)といった海外から視察も訪れている。
島の現トップであるベレン・アジェンデ(Belen Allende)氏は、グリーン電力の発電だけにとどまらず、電気自動車や有機農業などによって100%「クリーン」な島を実現したいと意気込み、その過程でこの発電所は「持続可能性モデルの屋台骨」になる
と語った。
(c)AFP/Laure FILLON
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