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リンゴの芯は食べちゃだめ?

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CN-の配位したCo(III)ジメチルグリオキシム錯体を合成していた時期がある。美しい黄色のプレート状の結晶であった。他のNO2などではこのような美しい色は得られなかった。KCNは注意して使っていた。
 
X線構造解析をすると確かにC炭素で配位していた。構造の報告がないので論文にしようと考えていたが雑用が多く、放置したままであった。そのデーターは今はどこにあるのかわからない。
 
イメージ 1その頃、KCN事件が2件続いた。天下のT大教授になったYという助手がKCNのついたビーカーを充分水洗もせずにクロム酸混液に入れたのである。翌日朝、倒れているところを発見された。大量にHCNガスが発生したのであろう。
 
また恋に破れたMCの女性がKCN服毒自殺をした。これからKCNの保管は厳重になった。
 
イメージ 3そういえば、子供の頃にメロンを青いまま食べて中毒死(消化器系の中毒)した友がいた。
 
ウリ科の植物には有害物質「ククルビタシン (cucurbitacin) 」が含まれる。キュウリ、メロン、スイカなどのへたに近い部分に含まれる。通常は含有量が少ないため苦味までは感じないとWikiにある。
 
 
 リンゴは芯まで食べるとカラダに悪い、という科学的根拠
 
リンゴやアンズなどの種には、体内で有毒なシアン化物に変わる物質が含まれている。数個摂取しただけで健康を害することはないが、シアン化物には人を死に至らしめる力がある。
 
TEXT BY JENNIFER CHAUSSEE

TRANSLATION BY MISAKO ASANO, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED (US)     2016.09.15 THU 11:00   wired.jp/
 
 あなたのお母さんが
 
「リンゴの芯は食べちゃだめよ」
 
と言っていたのにはちゃんと意味があった、ということだ。
 
リンゴの種には「青酸配糖体」と呼ばれる物質が含まれている。
 
そのひとつがアミグダリン (amygdalin) で、腸内細菌によってシアン化物に変わる。このシアン化物は、人を死に至らしめる力をもつ。
 
ただし、リンゴ1個分の種では、少し気分が悪くなる程度のシアン化物さえも生成されない。
 
モモやアンズ、サクランボ、アーモンド、ウメ、ビワなどにも、アミグダリンが含まれる。
 
だが普通は、アミグダリンが含まれている果物の種を丸ごと食べることはないし、アーモンドにも、害を及ぼすほどのアミグダリンは含まれていない。
 
青酸配糖体が毒性を発揮するためには、たとえばサクランボの種を、細かい粉状になるまで噛むか、すりつぶさねばならないだろう。
 
アミグダリンを含む種を食べすぎて具合が悪くなる子どもはたまにいる。
 
だが、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院で栄養健康センターを率いる登録栄養士のケイト・スウィーニーによれば、それは極めてまれなことで、一般的な量を明らかに超える量を摂取しなければ問題は起きないという。
 
大量のアミグダリンを摂取したときに体内で生成されるシアン化物は、研究室でつくられるシアン化物とまったく異なる。
 
18世紀の化学者カール・ヴィルヘルム・シェーレは、1782年に配糖体を水に溶かしてシアン化水素をつくり出した。
 
紺色の顔料をつくったり、ある種の金属を硬化したりするのには大変有効だが、非常に有毒な物質だ。
 
果物の種からも青酸配糖体を抽出できるが、現在、工業的に生成されているシアン化物は高濃度の気体や液体、結晶の形になっており、さまざまなものを製造するのに使われている。
 
こうした非常に強力な人工化学物質を吸入したり摂取したりすれば、細胞への酸素の供給が絶たれ、直ちに心臓と脳に悪影響を与える可能性がある。
 
だがリンゴの種を少量摂取する程度であれば、微量のシアン化水素が体内で生成される可能性こそあるが、量が少なく濃度も低いので体が消化の過程で排出してくれる。
 
シアン化物中毒は軽く見てはいけないが、大量に食べたりしなければ起こらないということだ。オバマ大統領はアーモンドを「一晩に7個」食べると報道されているが、そうした習慣に問題はまったくない。
 
イメージ 1illumina-chemie.de/bestimmung-des-amygdalingehaltes-in-bitteren-mandeln-t4065
図1,2
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 2
 
 
 
 
 
hfnet.nih.go.jp/contents/detail678
 
アミグダリンを含む果実を傷つけたり、動物が食べたりした時、アミグダリンは果実の仁に存在するエムルシンという酵素や動物の腸内細菌のβ-グルコシダーゼという酵素によって分解され、シアン化水素 (青酸、HCN) を発生します。
 
シアン化水素は非常に強い毒物で、細胞のミトコンドリアに存在するチトクロムCオキシダーゼという酵素に結合し、細胞の呼吸を阻害します。
 
アミグダリンの多量摂取による有害作用としては、
 
悪心、嘔吐、頭痛、
目まい、血中酸素の低下による皮膚の青白、
肝障害、異常な低血圧、眼瞼下垂、
神経障害による歩行困難、発熱、
意識混濁、昏睡、死亡
 
などが知られています
 
果実が成熟するとアミグダリンは酵素のエムルシンにより分解されて糖に変わるため、果肉中の青酸配糖体は消失していきます。
 
また梅干しや梅酒、梅漬けなどの加工はアミグダリンの分解を促進すると言われ、それらの加工品ではアミグダリンの影響は非常に僅かであると考えられます。
 
一方、仁のアミグダリンは果肉に比べて高濃度で、成熟や加工によるアミグダリンの分解も果肉より時間がかかります。
 
なお、アーモンドには甘味種と苦味種の二種類があり、食用である甘味種はアミグダリンを含みません。
 アンズやモモの仁は、生薬の材料 (杏仁<キョウニン>、桃仁<トウニン>) でもあり、アミグダリンを薬効成分として経口で去痰・鎮咳などの用途に利用されています 。
 
また正常な皮膚に塗布すると局所麻酔 (かゆみを止めるなど) の作用があります 。
 
青酸はごく少量であればミトコンドリアの酵素 (ロダナーゼ) の作用により、毒性が弱く排泄されやすい形に変換されます。
 
これは毒も少量を上手に用いれば薬に転じる典型的な例です。ただし上記のような目的での利用は必ず医療従事者の監督の下で行う必要があります。

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