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ボズ・スキャッグス、最後まで苦しんだ名曲づくり

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米ミュージシャン ボズ・スキャッグス(4)最後まで苦しんだ名曲づくり
 
2016.10.14 06:50更新    Sankei
 
 〈アルバム「シルク・ディグリーズ」の中の名曲「ウィ・アー・オール・アローン」はどのように生まれたのか。メロディーが先か、歌詞が先か、あるいはコード進行からか。インスピレーションはどこから来たのか、作曲の秘密を明かした〉
 
 曲づくりはそのときどきで違います。
 
人生におけるある年齢のときは、他の年齢のときと違うので、方法も、作曲で受ける影響も異なります。
 
イメージ 1 20代や30代のときは、ラジオで聴いたポピュラー音楽や強いリズムの曲のリズムとかコード進行をギターやピアノで弾き、曲のメロディーとリズム、コード進行に自分の声を乗せたときに、その曲がどのような感じになるか、試しました。
 
声は私の第一の楽器です。
 
ギターでもドラムでもなく、私の声こそがミュージシャンとしてのスタイルと個性を与えています。
 
 だから作曲では、リズムとコード進行ができた後に、歌い始めてメロディーをつける。そして、感情を創造し始める。
 
言葉にはなっていなくても感情を込め、この感情が何なのか理解しようと努める
 
「自分は幸せなのか?」
「孤独で誰かが恋しく、あるいは悲しいのか?」
 
とね。
 
そしてストーリーを書く。自分の声やリズムなどからくる感情でストーリーを書く。最初は意味をなさない言葉が、何度も何度も演奏しているうちに、本当の言葉になっていくのです。
 
 ピアノはうまく弾けず、習ったこともないのですが、この曲(「ウィ・アー・オール・アローン」)の場合はピアノに心を注ぎ、ピアノが創作意欲をかき立てました
 
ピアノの音が、ただ素晴らしかった。
 
ギターを愛しているけれど、ピアノの深みを感じました。ピアノをただ弾いて、「ダ、ダ」とか、間違ったときには「オー、間違いもいいね」とか歌いながらね。一つ進むと次へ移り、ピアノのパートがほとんどできたときには、「オー、これはうまくいく」と思いました。

それから声でメロディーをつけた。
 
メロディーとコード進行に沿って、感情を見いだそうとした。でも歌詞は終わらなかった。
 
それで「シルク・ディグリーズ」の制作が始まったとき、TOTOのデビッド・ペイチにアイデアやメロディー、歌詞のわずかな言葉を聞かせた。彼はそれらをすべてかき集めて、曲作りを手伝ってくれました。
 
 バックの演奏を録音した後に、完全にできあがったサウンドを聴いて歌詞を書いたけれど、自分で歌詞の意味を理解しているか、自信がなかった。
 
この曲を歌い、ボーカルを録音するその日まで、作詞はずっとかかりました。作詞が終わっていなかったから、歌うのも遅れた。
 
イメージ 2来る日も来る日も、スタジオに行っては
 
「歌う用意はできたかい?」
 
と聞かれ、
 
「いや、まだ歌詞ができていない」
 
とね。
 
 数週間後にはもう「ノー」とは言えなくなった。
 
ボーカルを録音するその日、スタジオへ向かう車の運転席で、ノートを傍らに歌詞を終えようともがいていました。
 
赤信号は、何秒か歌詞を集中して考えることができるのでうれしかった。
 
スタジオに着いても歌詞はできあがっておらず、それでもヘッドホンを着け、マイクに向かってレコーディングという段になって、いくつかの言葉を付け加えました。
 
最後の数秒で十分な歌詞に仕上がったのです
 
だからこの曲は最後まで生みの苦しみを味わいました。
 
(聞き手 青木伸行)

 

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