ハス消えた原因はハス 草津の琵琶湖畔で調査
2016年10月15日 中日新聞
国内最大級のハスの群生地である草津市の琵琶湖畔にある烏丸(からすま)半島から、ハスが姿を消した問題で、原因を調査していた県と市は十四日、
四十年以上積み重なったハスの葉や茎が土中の酸欠状態を引き起こし、自身の生育に適さない土壌環境にした可能性
が高いとする調査結果を発表した。
烏丸半島の琵琶湖畔の十三ヘクタールのハスの自生地では、例年七月下旬から八月は湖面いっぱいに葉が繁茂し、ピンク色の花が咲き誇るが、今年はほとんど見られなくなっていた。
市は九月、食用レンコンの生産で有名な徳島県立農林水産総合技術支援センターに調査を依頼。湖底の土壌を分析した結果、酸欠の程度は陸上であれば植物が生育しない状態だった。
水中でも、繁茂する過密な環境下では育ちにくいという。
市の担当者は
「空気の薄い部屋に多くの人が入り、さらに酸欠状態になったもの」
と例える。市によると、過去に一度も水中を調査したり、土を耕したりしたことはなかった。
当初、原因の一つとしてカメや水鳥による食害が考えられていたが、ハスに食害痕が確認されなかったことなどから、主な要因ではないとされた。病気の可能性も低いという。
調査に協力した県立大の小林圭介名誉教授(植物社会学)は
「環境の変化により植物が一斉に消失することは珍しくない」
と指摘。一方で
「土壌改善のために、しゅんせつをしたり耕したりするだけで復活するような単純なことではない」
と話している。
県や市は今後、群生地復活へ向け対策を検討する。市は移植を視野に入れ、種子から苗の育成を始めているが、移植できるまでには最短で二~三年かかるという。
(鈴木啓紀)