極薄の高級織物「天女の羽衣」、米で販路開拓へ
2017年01月20日 07時40分 読売
石川県七尾市国下町の繊維メーカー「天池合繊」が今年、極薄の高級織物「天女の羽衣」の米国への輸出を本格的に始める。
欧州で既に高い評価を得ており、昨年のクリスマス商戦でニューヨークのショールームでスカーフが完売するなど反響があったことを受け、米アパレル業界で販路開拓を図る。
天女の羽衣は、オーガンディと呼ばれる織り目が透けた薄地の織物。
10年前に同社が開発し、商標を登録した。
髪の毛の約5分の1の超極細糸で織られ、軽い羽根のような服地で、1平方メートル当たり約5グラムという軽さが特徴だ。
スカーフは1枚1万1880円(税込み)から。
同社は大手メーカーの下請けとしてプラズマテレビ画面の電磁波を吸収する素材としてこの生地を開発。
その後、家電や医療など産業用から撤退し、服地関連に主軸を移した。
織り、染織、縫製など一貫生産を手掛け、老舗百貨店の店頭などでスカーフやショールの人気を得ているという。
水面のような光沢と透明感が欧州の市場で評価され、パリ・オペラ座の舞台衣装やパリコレクションの衣装にも使われた。
現在、欧州で世界のトップブランドなど約60社と取引している。
従業員約50人の中小企業だが、日本のものづくり技術が海外で評価される事例として高校の教科書にも掲載された。
2013年から毎年、パリの国際見本市に招待され、今年も20日から出展することになっている。
欧州での評価を踏まえて同社は、米国での販路開拓に乗り出す。天女の羽衣のスカーフが完売したニューヨークのショールームは、日本の伝統工芸品などを扱う書店の一角にあり、客の流れは良好という。天池源受社長(61)は
「カジュアル系が多い米国でも高級、上質なファッションを求める需要はある。これまでの人脈を生かして知名度を高めたい」
と話している。