小中高で軽々しく化学実験などは行わない方がベター。硫酸と硫化水素は大学基礎実験でも情けないが省いてしまった。女子学生らに気分不良と事故が続発したためである。
硫黄山などには行けないであろう?
教科書における実験の記述も今後必要最小限にすべきかも知れない。先輩でT大教授になったYさんもクロム酸混液で洗浄した容器に良く水洗しないでKCNを入れて、朝方倒れていたことがあった。私も院生の頃、酔いもさめないうちにエタノールの蒸留を行ない、沸石を入れるのを忘れ、充分冷却しないのに入れてしまい、天井までエタノールを飛ばしたことがある。
院生で今、千葉大准教授のK君は朝方、実験で使用した金属ナトリウムを流しに捨てて、大爆発を起こした。等など皆、恐ろしい事故を起こしながら生きながらえてきた。
新日鉄工場などの爆発事故の続発も若手の経験不足から来ている。
理科実験で体調不良続発、教員の知識不足指摘も
2017年06月15日 12時56分 読売
中学校の理科の授業で、鉄と硫黄を化合して硫化鉄をつくるなどの実験中に生徒が体調不良を訴える事故が、5月に長野県内で3件相次いだ。
県内の多くの中学校で使用する教科書でこの時期、硫化鉄生成の実験を取り上げているために事故が重なったとみられる。
一方、理科教育の専門家からは、若い教員らの実験に対する知識や技量不足を指摘する声も上がっている。
県教育委員会によると、県内の公立中学校で2年生時に使用している東京書籍の教科書「新編 新しい科学 2」に沿って授業を進めると、例年5月頃に鉄と硫黄の化合実験をする学校が多いという。
実験は、アルミニウム箔を丸めた筒に鉄粉と硫黄の粉末を混ぜ合わせて詰め、筒をバーナーで加熱して硫化鉄を生成。
磁石や薬品を使い、できた硫化鉄が鉄や硫黄と異なる性質を持つことを確認する。
その際、筒に隙間などがあると空気が入り、硫黄と酸素が結びついて毒性のある気体の二酸化硫黄ができてしまう。
また、硫化鉄に薄い塩酸を加えると、有毒な硫化水素の気体が発生する。実験では、窓を開けて気体を吸い込まないようにするなどの注意が必要となる。
県警などによると、事故は5月19日に塩尻市で、25日に岡谷市で、31日には長野市で発生。
3校で計26人が救急搬送された。
いずれも生徒たちは班に分かれて実験を行い、窓を開けて換気をしていたとみられるが、発生した気体や煙を吸い込んで、吐き気やのどの痛みなどを訴えた。
事故の起きた中学校の関係者は「実験が正しくできているか逐次確認するなど、細かい配慮を欠いていた」と話す。
事故が相次いだ背景として、先輩教員から実験の注意点やスキルなどを教えてもらう機会が減っている、との見方がある。北信地方の女性教員(28)は
「部活動などに忙殺され、放課後に先輩から指導を受ける時間が少なくなっている」
と話す。
「空き時間を使い先輩の授業を見学するなどして、独学で事故を起こさないための知識を深めるしかなかった」
という。
一方、筑波大の片平克弘教授(理科教育学)は
「若手教員を中心に知識や技量が下がっており、教材研究や指導力不足が事故につながっているのではないか」
とみる。
「理科教員免許の取得に必要な物理や化学などの教科専門科目の履修数が以前と比べて少なくなっている」
と指摘する。
文部科学省によると、かつては中学校の理科教員(大卒)となるため、物理、化学、生物、地学の分野ごとに取得単位数が決められていたが、1998年の教育職員免許法改正で、実験を含めた4分野8科目で最低20単位を取ればいいことになった。
「化学実験」は必須科目となっているが、教員によっては実験の経験が少ないまま、指導しているケースもありうる。
事故を受け、県教委は、実験は教員が行い、生徒はその様子の見学だけにとどめることも検討するよう、各学校に通知している。