米国を横断した「皆既日食」の神秘的な瞬間を、日本の太陽観測衛星「ひので」が捉えた
2017年8月21日(米国時間)、実に99年ぶりとなる「米国横断皆既日食」が観測された。
アメリカ大陸を横断するかたちで進んだ日食を観測するために、米国各州には多くの人が集まった。日食を観測していたのは地上の人々だけではない。
太陽観測衛星「ひので」が撮影した画像には、地上から見るのとは異なる太陽の姿が写っていた。
2017.08.22 TUE 19:00 TEXT BY WIRED.jp_IS
2017年8月21日(米国時間)、月と重なることで太陽が隠れる皆既日食が観測された。今回の皆既日食は、米国西海岸のオレゴン州から東海岸のサウスカロライナ州にかけて14の州を横断するもの。
こうした米国横断日食が観測されるのは、実に99年ぶりになるという。
全米各地では、この貴重な瞬間に立ち会うために多くの人が集まり、特に日食の通り道となるオレゴン州やイリノイ州には数万人が集まって観測する姿が見られた。
ワシントンD.C.のホワイトハウスにおいても、トランプ大統領が妻や子どもと日食グラスをかけて観測していたことが話題を呼んでいる。
この皆既日食を観察していたのは、地球上の人々だけではない。
日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立天文台が開発し打ち上げた太陽観測衛星「ひので」も、その様子を宇宙から捉えていた。
8月22日、ひのでが撮影した画像と動画が、公開された。
太陽のコロナが発するX線を観測
ひのでが観測したデータは、世界に点在する受信局に届いたのち、インターネット経由で神奈川県相模原市にあるJAXAに送られた。
これまでも皆既日食や金環日食など、多くの日食を観測している。
今回ひのでから観測されたのは部分日食であり、15分という短い時間にX線望遠鏡によって連続撮影が行われている。
今回は、太陽表面の外側にあるガス層のコロナが発している強いX線を観測した。
地上から皆既日食を見る際もコロナの様子は観測できるが、そのとき見えているのは可視光であり、X線は地球の大気に吸収されてしまうため地上からは観測できないのだという。
一方、米国では市民が参加することで地上から見えるコロナの動画を作成する「Eclipse Megamovie」なる企画も実施されている。
両者を見比べてみることで、コロナの見え方の違いを知るのも面白いかもしれない。