山奥の老先生は秋になると白樺の炭焼きをしている。とても繊細な炭ができる。燃料以外の目的に使っている。マキストーブは手間がかかるので、数年で止めたらしい。近所に来たガレージの老人はいつも煙を出している。
宝物は山に沢山あるのに、気がつかない者が多い。皆、町に出て自由時間を売り金を稼ぐサラリーマンになってしまう。
政府・自治体も過疎地伝統技術復活の財政支援を試みてもらいたい。
集落に活気「鞍馬炭」復活へ 京都、ネット販売も検討
2017年09月01日 12時30分 京都新聞
かつて「鞍馬炭」の産地として知られた京都市左京区広河原地区で、住民や出身者のグループが炭焼きを復活させた。高齢化が進む地区内で経験者が少なくなる中、
「技術を途絶えさせてはいけない」
と今春から炭づくりに挑戦してきた。住民たちは
「伝統特産品の復活で、過疎の集落が活気づけば」
と期待する。
左京区北部の山間地にある広河原は、戦前まで林業と炭づくりが盛んで、集落のあちこちに炭焼き小屋があった。住民は約25キロ南の鞍馬まで炭を背負って歩き、良質の炭は飛ぶように売れた、という。
しかし、戦後、ガスの普及で炭の需要が激減し、豪雪もあって集落を去る住民が続出。
1960年に約370人いた住民は現在約120人に減った。
住民によると、炭づくりは約15年前に途絶えた、という。
「このままでは広河原の林業の歴史が消える」
と危機感を持った住民ら5人が昨年8月、「広河原薪炭(しんたん)再生集団」を結成。
炭焼きをなりわいとしていた段下専太郎さん(89)、小畑百さん(81)の助けで、復活を目指してきた。
グループは今春、土と石の炭窯づくりを始め、地元の山から切り出したナラを使った炭づくりに着手。
温度調節がうまくいかず、何度かの失敗を経て、今月28日、ようやく約700キロの炭が完成した。
窯近くの作業場で製品化に向けて小さく切り分けており、全身を真っ黒にしながら、笑顔で作業に追われている。
段下さんは
「昭和30年代までは集落内で多くの煙が上っていたが、炭焼きが廃れると、若者がみな市街地へ働きに出て、寂しい村になった。売れるかどうかは心配だが、グループにはぜひ頑張ってもらいたい」
とエールを送る。
同地区出身でグループ代表の新谷久治さん(69)=大阪府枚方市=は
「採算のとれる見込みは全くないが、地区が大切にしてきた技術を伝承したい。
軌道に乗れば荒れ果てた山林にも人の手が入り、広河原の林業に明るい光が見えるかもしれない」
と話す。
グループでは現在、販路を開拓中で、ネット販売も検討している。