地球磁場弱まると寒冷化、メカニズム解明 立命大などグループ
2017年01月16日 21時40分 京都新聞
地球の磁場が弱まった時に寒冷化が起こるメカニズムを、立命館大古気候学研究センターの北場育子准教授や中川毅教授、神戸大などのグループが大阪湾の堆積物の解析から解明した。
宇宙から届く放射線が雲を作り、太陽光を跳ね返しているという説を裏付けるデータが得られた。英科学誌サイエンティフィック・リポーツで16日発表した。
■「宇宙線で雲増加」裏付けるデータ
地球の磁場は、放射線である銀河宇宙線を跳ね返すバリアーの役割を果たしているが、約107万年前と約78万年前には現在の10%にまで弱まったことが分かっている。
その時期に寒冷化が起こったことを示す多くのデータがあり、その理由として
「地球に届いた銀河宇宙線が大気をイオン化して雲を多く作ったため」
という仮説も提唱されているが、実際に雲が多かったことを示す証拠はなかった。
グループは、大阪湾の海底に両時期に堆積した花粉の化石の種類の構成から、当時の気温、降水量を推定した。
この結果、両時期は、夏より冬の気温低下が大きく、かつ夏の雨量が減少しており、これは雲によって太陽光が遮られるときに起こる場合に特有の気候変化であることが分かった。
中川教授は
「今回は地球磁場の変化が気候変動に及ぼす影響だが、太陽の活動度の変化も同様の影響があると考えられる。
気候変動の議論では、温室効果ガスだけでなく、太陽の影響も大きいことを示唆する結果だ」
と話している。
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