熱さは連続した波? 刺激伝達、京大グループが解明
2017年10月28日 08時37分 京都新聞
コーヒーを飲もうとして「熱さ」に驚く。
よくある出来事だが、どのようにして「熱さ」が神経を伝わるのか、実はまだ分かっていない部分が多い。
京都大のグループはショウジョウバエの実験でこの謎に挑み、感覚神経が強い熱刺激を伝える時に、電気信号が「連続した波」のように発生する過程を解明した。
これまで考えられていたより複雑な現象で、ヒトを含めた動物の神経システムを考える上で重要な知見という。
熱さなどが表皮から伝わる時、感覚神経では電気信号の「波」に変換される。
感覚の強さには、波の高さだけでなく、波が低くなっては元に戻るのを繰り返す現象も関係すると分かっていたが、詳細は不明だった。
京大生命科学研究科の碓井理夫講師と大学院生の小野寺孝興さんらは、赤外線レーザーでショウジョウバエの幼虫の表皮を熱刺激し、神経の活動を調べた。
結果、熱刺激が一定以上加わるとカルシウムイオンが神経細胞内に流入し、細胞膜上のタンパク質とくっついて波が一時的に低くなることが判明。
その後、再び高さが戻って波が繰り返し生じた。感覚神経で連続する波の回数が増えれば、脊髄にある神経の活動が強くなることも分かった。
神経活動に波の連続が起こることは、ヒトの脳神経では知られていたが感覚神経では未確認という。碓井講師は
「ひょっとすると動物の神経全体に共通した仕組みなのかもしれない」
とし、
「熱いコーヒーに驚いた時は、少し神経の不思議さに思いをはせてみて」
と話す。
研究成果はこのほど、英科学誌に発表した。