硫化水素H2S中毒か?確かにダンボール紙には特有な硫黄の臭いがある。 メチルメルカプタン(CH3SH)、二硫化メチル( CH3SSCH3)、硫化カルボニル、硫化水素、二酸化硫黄等など?
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ピット内の底部に堆積していた硫酸を含む湿紙が抄紙(しょうし)機の約10日間に及ぶ作業休止期間中に腐泥化し、硫酸還元菌の作用により、硫化水素が生成してピット内に蓄積されていたこと
抄紙機のカラ運転をしたとき、これに連動してピット内底部に設置されている攪拌機が急激に回転し、内部の堆積物が撹拌され、蓄積していた硫化水素(対空気比重 1.189)が外部に流出し、地面を這うように拡散したこと
工場全体には全体換気装置は設けられていたが、災害発生箇所付近は配管や周辺機器等が配置されているため通風が悪く、流れ出してきた硫化水素がその場に滞留するおそれがあったにもかかわらず、効果的な換気設備を設置していなかったこと
硫化水素に関する安全衛生の認識が、関係作業者全員に欠如していたこと
保護具を使用していない
タンク内に下りた男性と助けに行った2人死亡
2018年06月06日 12時55分 読売
6日午前3時45分頃、石川県白山市相川(そうご)新町の製紙会社「中川製紙」から、
「タンクに男性が落ちた」
と119番があった。
タンク(深さ約5メートル)内で男性従業員3人が倒れており、間もなく死亡が確認された。白山署が死因などを調べている。
白山署の発表などによると、事故当時、タンクに何らかの不具合があったため、金沢市三口新町、丸谷圭一さん(57)がタンク上方の開口部からはしごを使ってタンク内に下りた際に倒れた。
助けに行った白山市新田町、飯田弘さん(49)と、同市番田町、中村健司さん(27)の2人も相次いで倒れた。
タンクは容量約80立方メートルで、再生紙を作る作業に使われる「マシンチェスト」と呼ばれる装置。
内部には古紙と水、低濃度の硫酸が入っていた。
タンクの清掃時における硫化水素中毒
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白板紙製紙工場において、本災害は、5号抄紙機用表下マシンチェスト(内容積25m3)内を高圧水で洗浄するため、1人で中に入ったところ、内部に硫化水素が発生していたため、倒れて被災したものである。
当該工場は3基の抄紙機を使用し、白板紙を製造している。
白板紙は、4種類の原料で構成され、表層、表下層、中層、裏層からなっている。
災害発生当日は、5号抄紙機が定期的な清掃等のため、運転を休止し、マシンチェスト(表下層の紙料(故紙パルプ)を抄紙機へ送る際、紙量を調整するタンク)の清掃を行うこととなっていた。
被災者Aは、現場の班長として、当日の午前は薬品の添加状況などの巡視をはじめ、現場を巡回しながら、各種の点検作業を行っていた。
午後、Aは作業者に清掃やパッキン等用具替え作業を指示した後、清掃作業のため、1人で5号調整用マシンチェスト内に入った。
同時に、紙料係Bが事故現場近くでスクリーンの清掃を行っていたが、Aが行っている清掃作業の様子を見に行き、チェスト内をのぞいたところ、出入口真下で頭部を南側にして仰向け状態で倒れているAを発見した。
Bはブロアーでチェスト内を換気し、酸素濃度を測定して安全を確認した後、Aをロープで引き上げ、急いで救急車を呼んで病院へ運んだ。
作業開始前の酸素濃度および硫化水素濃度は不明であり、いずれもこれまで測定したことはなかった。
第二種酸素欠乏危険作業主任者については3人選任されていたが、作業指揮や、作業環境測定など、作業主任者が行うべき職務を遂行していなかった。
Aは酸欠作業に係る特別教育は終了していた。
また、作業標準として、掲示板に手順や注意事項等が掲示されていた。
[1] 第二種酸素欠乏危険作業主任者の職務が、履行されていなかったこと(作業指揮、作業環境測定、換気を行わず)。
[2] 作業の状況を監視し、監視人を配置する等の措置を講じていない。
[3] 関係作業者の酸素欠乏危険作業に対する危険の認識が低かったこと。
[4] 清掃の作業手順(換気し、酸素濃度を測定し、18%以上であることを確認し、その後にチェスト内に入る)を守らなかったこと。
[1] 第二種酸素欠乏危険作業主任者の職務の確実な履行
・ 作業方法を決定し、作業指揮を行うこと。
・ 作業開始前等に異常がないかどうかの確認のため、酸素、硫化水素濃度を測定すること。
・ 換気を行うこと。
[2] 常時、作業の状況を監視し、異常時に酸素欠乏危険作業主任者等に通報する等異常を早期に把握するための措置を講じること。
[3] 酸欠作業に関する作業標準書を作成し、関係作業者に対して周知徹底を図るとともに安全衛生教育の徹底により、危険に対する認識を高めること。