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武田薬品と京大に降圧剤の「薬品偽装」疑惑

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国民の医療費30兆円を食い物にしている製薬会社や大学医学部などの研究者とそれを許している厚生省。6兆3000億円が医薬品製造で使われ、5000億円がヤミ資金として研究者に流れる。文科省の科研費が1000億円程度であるから、実に5倍ものお金が医学関係者に流入する。
 
武田薬品も臨床試験で「捏造」 、ノバルティスより「悪質」な不正であるという。薬と称して偽薬や毒薬を国民に医者を通じて売るような商売である。大学医学部も加担しているとなると、そろそろ検察も思い腰をあげざるを得まい。
 

武田薬品と京大に降圧剤の「薬品偽装」疑惑発覚――検察は「製薬業界と大学医学部の闇」を徹底追及すべき

2014年03月06日(木)   gendai.ismedia.jp     伊藤博敏
 
東京地検特捜部が、ノバルティスファーマの降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)に絡む薬事法違反で、同社と臨床試験に関わった大学の強制捜査に入った直後、今度は武田薬品工業で疑惑が発覚した。
 
同社の降圧剤カンデサルタン(商品名ブロプレス)の高血圧治療効果を示す宣伝広告のグラフが、元になった臨床試験のグラフと違うというもの。
 
「薬品偽装」の構図はノバルティスと同じ

武田薬品の長谷川閑史社長は、「日本製薬工業協会」の宣伝に関する規約に違反、不適切なグラフを使用していたことを明らかにして謝罪したものの、「臨床研究のデータ改ざんや捏造」はなく、「誇大広告」にも当たらないという認識を示した。
 
ノバルティスの場合は、厚労省がデータ操作された大学の臨床試験結果を広告や記事などに用いた点が誇大広告にあたるとして地検に告発した。
 
これに対して武田薬品は、学会発表時のデータを論文発表後の宣伝に使わないという業界ルールに違反したもので、悪質性はないという主張である。
 
しかし製薬業界が、臨床試験を使って自社製品に都合のいい薬効をPR、販売促進に役立てようとし、そのために臨床試験を行う大学に巨額の奨学寄付金を贈ったという意味では悪質さは同じである。
 
薬品偽装」といって差し支えない。
 
しかもノバルティスの場合、私大の東京慈恵会医大が入っていたために見送られたが、残る4大学は国公立の医学部だったので、
 
「準国家公務員である大学教授らが、『いい報告を書いて欲しい』という請託を受け、奨学寄付金という賄賂をもらったのだから贈収賄罪が成立する」
 
という意見もあった。
 
 武田薬品の場合も怪しい痕跡が残されている。武田薬品は、01年9月から05年12月にかけて、高血圧患者4700人を対象に他社製品との比較を行う「CASE―J」と呼ばれる臨床試験を行った。日本高血圧学会が主体となった医師主導臨床試験で、共同研究の要であるデータセンターは京都大学EBM研究センターに設置された。
 
「京都大学抱え込み」の疑いあり

この臨床試験に疑義を突き付けたのは、会員制月刊誌『選択』(今年2月号)である。指摘しているのは以下のようなものだ。
 
①    データセンターを仕切ったのが武田薬品の社員だった。
②    当該社員が試験後、京大に移籍、論文に京大部長の肩書で名を連ねている。
③   00年から08年にかけて武田薬品から少なくとも25億円の奨学寄付金が出ている。
イメージ 1
 
Wiki
 
 
④    臨床試験終了後、当該の京大部長が、一部の患者を取り出して解析するサブグループ解析を行い、カンデサルタンに都合のいい薬効を発表した。
 
巨額資金を投じた「CASE―J」では、
 
「脳卒中などの発症抑制効果に、(カンデサルタンと他の降圧剤の)差はなかった」
 
という残念な結果となった。
 
しかしながら、武田薬品の広告のグラフでが、脳卒中の発症率が、カンデサルタンを使った方がやや低くなっているうえ、他社の降圧剤より優れているかのような文章表現を使っていた。
 
長谷川社長は、会見で「不適切なプロモーション」と表現したが、それでは済まないだろう。
 
意図的に「カンデサルタン優位」の広告にしたのだろうし、それは『選択』の指摘するような「京大抱え込み」の構図のなかで行われたと疑われても仕方がない。
 
武田薬品から研究チームへの奨学寄付金総額は37億5000万円だった。
 
国内の医療用医薬品の生産総額は約6兆3000億円で、製薬会社から医師・医療機関に流れる資金総額は約5000億円である。
 
クスリをできるだけ多く売るために薬効を競い、そのために臨床試験を行い、それを担う大学医学部(研究者)に巨額資金が、使途を限定しない寄付金として流れる――。
 
生活習慣病のクスリは製薬会社のドル箱

この構図は、昨日今日、始まったものではない。製薬会社と大学医学部の二人三脚は、偽装を引き起こしやすいという意味で薬事法違反(誇大広告)、国公立大学が絡むことが多いという意味で贈収賄罪を構成する危険性を秘めている。
 
なかでもこうした問題を内包するのが循環器内科である。
 
循環器内科は主に、高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈など心臓や血管に絡む病気を扱い、動脈硬化の合併症として起こる病気が多いので、糖尿病、高脂血症なども同時に診療・治療することになる。
 
生活習慣病が多いという意味で、製薬会社にとっては、患者に、一生、クスリを提供できるドル箱だ。カンデサルタンは、2012年度、1696億円を売り上げる武田薬品最大の稼ぎ頭だった。
 
これまで、製薬会社と大学医学部、臨床試験と奨学寄付金の関係は、慣習と捉えられてきた。
 
だが、本コラム
 
「データ改ざん不正論文が次々に発覚! 製薬業界と大学『癒着の構造』に切り込む2人の岡山大学教授の闘い!」
 
(2月13日配信)で述べたように、その矛盾は大学内部からも噴出している。
 
これまで表面化しなかったのは、医局教授が絶対的な権力を持つ医局制度のなかで疑惑が封印され、大学もまた医学部の専門領域だからと見逃してきたからだった。
 
しかし、薬品偽装は患者の健康、時には命に関わるものだけに食品偽装以上に罪深い。
 
検察、厚労省、マスコミが一体となって構造を解明する機運が高まってきた。
 
この機を逃さず、粘り強く「製薬会社と大学医学部の闇」を追及すべきだろう。

 

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