透明な紙 より簡単に 京大+日本製紙が新製法
2014年3月19日 朝刊 東京新聞
製紙用パルプに樹脂を加えて透明な紙を開発することに京都大生存圏研究所の矢野浩之教授と日本製紙が成功、十八日発表した。
液晶ディスプレーなどにはガラス基板が用いられているが、重くて壊れやすいため、より加工しやすい代替素材が求められていた。
紙は軽くて折り曲げやすく、電気を通す物質をこの紙に塗ることで、液晶ディスプレーや照明用の素材への活用が期待されている。
日本製紙総合研究所の伊達隆主席研究員は
「これまでも透明紙は開発されていたが、パルプの繊維を細かくほぐすため水分を吸ってしまい、製造が難しかった」
としている。
矢野教授らは、
(1)パルプを化学処理し、水をはじいて樹脂となじみやすい性質に変えて薄いシート状にして樹脂に漬けた。
(2)さらに、紫外線を使ってパルプと樹脂を固め一体化させることに成功した。
同社によると、原料の割合はパルプ30%、樹脂70%。厚さは五十~二百マイクロメートル(マイクロは百万分の一)で、普通のコピー用紙より少し厚い程度という。