痛み止めのはり薬にも要注意ですね。炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン産生と関わるのですから。
こんな簡単な構造のケトカルボン酸でも胎児には危険な副作用を及ぼすのですね。痛み止めですのでプロスタグランジンPGの産生を抑制するわけです。皮膚から吸収され、筋肉、関節などにも作用するので、これらの炎症や痛み(変形性関節症、腱鞘炎、筋肉痛など)の治療にも用いられるという。
アスピリンもPG阻害でしたね(炎症や発熱を引き起こすPGの生合成を抑制。PG合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害。)サリチル酸メチル(サロメチール等の商品名)なども関節痛、筋肉痛、打撲、捻挫に使われますね。
閑話休題 (創薬と治験|公益社団法人日本薬学会)
セイヨウシロヤナギは何のためにサリシンを生合成するのでしょうか?そのヒントは、2008 年に米国国立大気研究センター (NCAR) が発表した報告書にあります。干ばつのストレスを受けたクルミの木の一種が、大量のサリチル酸メチルを大気中に放出することを観察したとの報告。
ケトプロフェン (ketoprofen) Wiki
鎮痛作用および解熱作用を有する非ステロイド性抗炎症薬のプロピオン酸系の一つ。
ケトプロフェンは生体でのプロスタグランジンの産生を抑制する。
1967年にフランスのローヌ・プーラン社(現 サノフィ・アベンティス社)で合成され、内服薬の他、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、液剤、パップ剤、テープ剤等の様々な剤形で発売され、一般用医薬品としても販売されている。有害事象として光線過敏症の報告がある。
ケトプロフェン合成
J. Braz. Chem. Soc. vol.11 n.2 São Paulo Mar./Apr. 2000
J. Braz. Chem. Soc. vol.11 n.2 São Paulo Mar./Apr. 2000
ketoprofen
ecompound.com/drug.php?id=5
医療用貼り薬で胎児に副作用 厚労省、妊娠後期は「禁忌」に改訂
(道新04/30 21:02)
厚生労働省は30日、痛みや炎症を抑える医療用貼り薬「モーラステープ」(一般名ケトプロフェン)を使用した妊婦に、胎児の動脈管収縮や羊水過少症の副作用が5例あったと発表した。いずれも後遺症はなく、回復したという。
厚労省は同剤と副作用の因果関係が否定できないとして、モーラステープなど、ケトプロフェンを有効成分として含む貼り薬や塗り薬を製造する久光製薬などに対し、妊娠後期の妊婦は使用しないよう、添付文書の使用上の注意の改訂を指示。
久光製薬は「禁忌」の項目に妊娠後期の女性を盛り込むなどの改訂を済ませた。
参考文献 rundrink.exblog.jp/285616
痛みの元であるプロスタグランジンを抑える力は、アスピリン(アセチルサリチル酸)を1とすると、第2世代のフェルビナクは10、インドメタシンは20程も違いがあるそうです。
もっとも、インドメタシンは元々皮膚から吸収しにくいものだそうで、それを研究により吸収し易く改良できたことで、湿布やゲル剤に使われるようになったようです。
一方、最近はやりのフェルビナクは、インドメタシンよりも皮膚からの吸収性に優れているようです。(某フェルビナク製剤の広告には、インドメタシンの1.2倍の吸収性と書かれていました。)インドメタシンを主成分とする市販の消炎剤は、その多くが「1.0%配合」なのに対して、フェルビナクの方は「3.0%配合」です。インドメタシンの方が「強い薬」なので、配合率も抑えなくてはならないのでしょうか。
Design of 2-(3-benzoylphenyl)propanoic acid derivatives as dual mechanism drugs based on some potential inhibitors of matrix metalloproteinases and cyclooxygenases
などと称して様々な困ったいたちごっこというかエンドレスな合成研究が今後も展開されるでしょう。(jpbsonline.org)