上昇過流をうまく捉えシンクロして飛んでいるのですね。しかし、人力で空を飛ぶなんてエネルギー的にはどうなんでしょう。鳥は殆ど羽根程度の重さで空気そのものに等しいので飛べるわけです。
Why do birds fly in a V? Endangered ibis reveals its amazing secret
gigazine.net/news/20140120-birds-v-formation/
◆羽ばたく翼の周りに発生する空気の流れ
鳥は、翼を上下動させることによって空気を押し、体を宙に持ち上げて前に進みます。
この時、空気には翼によって下へと押しやられる流れ(下降流)が生じると同時に、その翼の端には下降流とは逆に上へ向かう流れ(上昇流)が発生します。
これは「翼端渦流」と呼ばれ、鳥と同じように空気の力で空を飛ぶ飛行機の翼でも同様の現象が起こっています。
この翼端渦流が発生させる上昇流をうまく捉えると体を持ち上げる力が発生するため、飛ぶために必要なエネルギーが少なくて済むようになります。
これが鳥がV字編隊を組んで飛ぶ理由となっているのです。
V字編隊を組んで大西洋を渡るペリカンに心拍モニターを取り付けて計測したところ、最前方を飛ぶ個体よりも後方を飛ぶ個体のほうが心拍が低く抑えられているという調査結果がでていることからも、この効果は明らかです。
The Science Of The "Flying V" Formation
https://www.youtube.com/watch?v=SKXUJx2tCdI
https://www.youtube.com/watch?v=SKXUJx2tCdI
しかし、飛行機とは違って鳥の場合は翼を上下させているため、発生する上昇流は翼の動きに合わせて変化(脈動)することになります。
上昇流の力を得るためには、脈動する空気の動きに合わせて翼を動かす必要があるため、なぜ鳥がその力を利用することが可能なのかは明らかにされていませんでした。
その謎を解明すべく、Portugal博士はホオアカトキの編隊飛行を上空で詳細に観察すると同時に、GPSセンサーのデータを活用することで詳細に分析しました
上昇流を生かすためには、脈動する上昇流の波が最大限に達するタイミングで自分の翼を羽ばたかせる必要があります。
いわば、見えない空気の波に合わせて翼を動かす必要があるのですが、そのためには前の鳥との距離と羽ばたきのタイミングを正確に把握する必要があります。
Portugal博士がホオアカトキに装着されたセンサーによって得た高精度なGPSデータと加速度データからは、隊形は約1.2メートルの間隔を常に保ち、翼の羽ばたきの角度は前方(および後方)のホオアカトキに対して平均で45度の遅れを保っていることが分かりました。
Portugal博士は
「前方の翼が巻き起こした上昇流を予測(もしくは感知)する能力と、それを活用して流れに乗るという高い対応能力がホオアカトキに備わっていることを示しています」
と語ります。
先頭を飛ぶ鳥の羽ばたきは一定しておらず、羽ばたいている時もあれば、翼を広げて滑空する時もあります。
後続の鳥はその動きに合わせ、最も効率の良いタイミングで空気の波をつかんで楽に飛ぶという能力が備わっているということが明らかになりました。
Portugal博士は、この結果は鳥形ロボットを隊列飛行させる際にも応用できることになりかもしれないと語っています。