2014/ 9/12 11:34 更新
今朝、CMEによる太陽風の乱れが到来しました。今夜くらいに次の乱れが到来しそうです。
担当 篠原
今朝、12日8時(世界時11日23時)に、
9日に発生したCMEによる太陽風の乱れが、
ACE衛星で観測されました(1枚目に6時間幅の図を掲載)。
太陽風の速度は、370km/秒から450~480km/秒に上がり、
磁場強度は5nTから15nT程度に強まっています。
ACE衛星は、地球から150万kmほど離れた位置にあるため、
太陽風の乱れが地球に到達したのは、
1時間弱遅れた9日8時45分(世界時8日23時45分)頃で、
地磁気観測所の磁場データに急な強まりが
観測されています(2枚目に掲載)。
これは太陽風の乱れが、
磁気圏を急に押したことによる変化です。
同様の変化は静止衛星でも観測されていて、
GOES衛星の磁場データを見ると、
ちょうど9月12日の縦線のところで、
2機の衛星に急な磁場の強まりが記録されています
(3枚目に掲載)。
磁気圏への影響を決める磁場の南北成分は、
短い時間で北を向いたり南を向いたりした後、
現在は北向きになっています。
このため、現時点では磁気圏への影響は限定的です。
AE指数には、まだこの変化の途中までしか見えていませんが、
グラフの最後に700nTくらいの変化が発生しています。
太陽風の磁場は現在も10nTを超えて強まっているので、
この後、再び南向きに振れて、その状態が続くようになると、
磁気圏の活動も高まることになるでしょう。
引き続き注目して下さい。
太陽からは、昨日発生したCMEによる乱れも近づいています。
NOAA/SWPCの太陽風予報では、
今夜、12日22時(世界時12日13時)頃の到来を予測しています。
太陽風速度の高まりは、700~800km/秒に達するとしており、
磁場が大きく南に振れれば、
磁気圏の乱れもかなり強まるでしょう。
太陽では、今日に入って、
東端の向こう側で中規模フレアの発生がありました。
12日0時半(世界時11日15時半)にM2.1、
12日6時(世界時11日21時)にM1.4です。
これからどの様な活動領域が出現するでしょうか。
一方、Xフレアを起こした2158黒点群は
特に活動を起こしていません。
磁場構造の複雑さは一段階下がっていて、
黒点群として弱まる傾向にあるのかもしれません。
しかし、南側の2157群とともに、
引き続き注意が必要でしょう。
昨日、フレアによって増加を始めた太陽放射線は、
20前後を推移して、現在も高まった状態が続いています。
ACEによる、6時間幅の太陽風データ。白線は磁場強度、赤線は南北成分、黄色は速度です。
(c) NOAA/SWPC
太陽風の乱れによる磁場の変化は、9日8時45分(世界時8日23時45分)頃に日本で観測されました。
(c) 気象庁地磁気観測所
GOES衛星の磁場南北成分。12日0時に磁場の急な強まりが観測されています。
(c) NOAA/SWPC
NOAA/SWPCによる太陽風の予報。CMEの乱れは世界時12日13時頃に到来する可能性があります。
(c) NOAA/SWPC
GOES衛星X線カメラによる、太陽の東端のフレアの様子。
(c) NOAA/SWPC、 (動画加工 : 宇宙天気ニュース)
SDO衛星のAIA193カメラによる太陽コロナの様子
(c) SDO (NASA)
SDO衛星による太陽の可視光写真。マウスの矢印を写真に重ねると、黒点番号付きの写真に切り替わります。
(c) SDO (NASA)