英国では紅茶を飲む人の65%がやかんに水を入れ過ぎている。この余分なエネルギーにイノヴェイションの種があった
これまでの電気ケトルと異なり、必要な量だけ沸かすことができる「Miito」。シンプルなデザインで、掃除も簡単だ。
Miito Is A Redesigned Kettle That Saves Energy And Time By Boiling Water In A Cup
2014.11.26 WED wired.jp
2013年の「TED会議」で、設計コンサルタントのレイラ・アジャラルーは、一風変わった統計を聴衆に示した。
英国では、紅茶を飲む人のうち65%がやかんに水を入れ過ぎており、カップ1杯の紅茶を入れるのに必要な量を超える水を沸かしている。
この余分なエネルギー、つまりあとで捨てられるか、そのまま残される水の加熱に使われるエネルギーは、ロンドン中の街灯を一晩点灯するのに十分な量であることがわかったというのだ。
「Miito(ミート)」を「ケトル(やかん)」と呼ぶのは少し誤解を招くかもしれない。電気ケトルの代わりとして設計されたものだが、実際にはアイスホッケーのパックのような円盤形の、持ち運び可能な誘導加熱式調理器だ。
好きなカップに液体を入れてMiitoの上に置き、付属している棒をその中に入れる。棒が誘導盤と接すると、電磁誘導で棒が熱くなり、それとともに液体も加熱される仕組みだ。
Miitoを考案したニルス・チュディが、ケトルのデザイン変更に初めて興味をもったのは、オランダのアイントホーフェン・デザイン・アカデミーの学生のときだったという。
電気ケトルの問題を検討していたチュディ氏は、TED会議でのアジャラルー氏の講演を聞いて、液体を必要な量だけ加熱し、余分な加熱は行わない製品を設計するチャンスがあることに気づいた。
さらに、電気ケトルはヨーロッパ諸国の台所で一般に見られるが、不衛生になることがある。
ケトルの形状が複雑で、内側にこびりついた石灰などをスポンジでこすり落とすのが難しいためだ。
Miitoはまだ試作品の段階だが、チュディ氏と、設計パートナーのジャスミン・グレースは、今後の展望として、赤ん坊のために粉ミルクを繰り返し加熱しなければならない親たちや、都会に住んでいて台所のスペースを確保できない人たちにとって、Miitoが役に立つと考えている。
※「コップ1杯のお湯を光熱費をかけず安く沸かす方法」を比較したページによれば、最も安く上がる方法は、カップにコイルを入れる携帯コイルヒーターとなっている。海外旅行用などとして各種販売されている。