よくぞ観察したと感心する。私が学生実験で強調しているのは観察、観察、観察である。ファーブルのようになれと!
紫外線は真夏の浜辺で太陽がギラギラする時に見ることができますが赤外線は見るというよりも感じるものと思いますが、どんな根拠で見るというのでしょうか。
2光子励起かな?見えているのはあくまでも可視光線でした!赤外線が見えるメガネはありましたっけ?
人間の目は赤外線を「見る」ことができる:研究結果
新しい研究によると、特別な状況において、人間の目は赤外線の光を検出できるのだという。その研究が医療にもたらすものとは。
TEXT BY SANDRO IANNACCONE
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI
WIRED NEWS (ITALIA) 2014.12.11 THU
千里眼のような絵空事ではなく、「本物の力」を、わたしたちはすでにもっている。
セントルイスのワシントン大学メディカル・スクールの科学者たちの率いる研究者の国際チームは、人間の目が、赤外線の光を「見る」ことができることを発見した。
とはいえ残念ながら、この「超能力」が働くのは、特定の(そして滅多にない)状況においてのみだ。
なかでも、わたしたちが感知できるのは、レーザーの非常に高速なパルス光だけだという。
彼らが『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)のオンラインページで語っているように、研究のきっかけは、研究者たちが赤外線レーザーを使って研究をしている間に、緑色の光の散発的な閃光を知覚したと言っていたという事実からだった。
この現象を解明するために、科学者たちはマウスとヒトの網膜から採取した細胞を、同じ光に曝した。
すると、光受容体の散発的な活性化、つまり、光に対するある種の反応性を記録した。
ワシントン大学の眼下学・視覚科学教授、ウラディミル・ケファロフは説明する。
「可視光線に含まれるのは、波長400~720nmの光です。
しかし、網膜の細胞に波長1,000nmの2つの光子が高速で連続して当たると、これらの光の粒子は、波長500nmの1つの光子による1回の衝撃と同量のエネルギーをもたらします。
これは、十分可視光線の範囲内です。これこそ、わたしたちが『見る』ことができる理由です」
研究者たちは今後、この発見を利用して、新しい種類の眼底検査装置をつくる研究に取りかかる。生理学者が目の内部を検査することを可能にする道具だ。
実現すれば、健康な被験者においても加齢黄斑変性のような視覚の病気にかかった被験者においても、赤外パルス光レーザーを用いることによって網膜の特定の部位を刺激し、その構造と機能を詳細に理解できるようになるという。
microscopy.duke.edu/learn/introtomicroscopy/twophotonex
biomicroscopy.bu.edu/research/nonlinear-microscopy
さて原子1個に1光子1電子励起が原則ですが、レンズやレーザーを巧みに操作して、ピンポイントで二光子の吸収を実現できる。本来一つの光子しか占有し得ない空間に2つ以上の光子(TPA: Two-Photon Absorption)が飛び込むとはなんとも興味深い。
1つの色素分子が同時に2つの光子を吸収する確率は、直線的ではなくて入射光強度の2乗に比例するという。
根本知己さんらが「生体深部を可視化する in vivo 多光子励起顕微鏡法」という研究を展開している。多光子励起過程は、1931 年という量子力学の黎明期に、後にノーベル物理学賞を受賞する Maria Goepert-Mayer によって既に論理的に予言されていたらしい。
以下、話を続けると
しかし、通常の我々が目にするような光で、この多光子励起過程が起こる確率は、宇宙開びゃく以来一度も起こることのないくらい、非常に稀である。
実際に多光子励起過程が存在することが実験的に示されたのは 1961 年、30 年もの長い月日が流れており、それもこの確率の小ささゆえである。
つまり、人類がレーザーという非常に強度が強く、性質の整った光を手に入れるまで待たなければならなかったのである。
そして、この多光子励起過程を用いた生体試料観察の適用までさらに 30 年間の時間がかかっている。1990 年の Webb のグループの報告以降、全世界的に注目を浴びることとなった。
である。