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エアバックのガス発生剤

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エアバックのガス発生部位インフレーターにおけるガス発生剤はアジ化ナトリウム「窒化ソーダ」(アジ化ナトリウムは300℃で分解して金属ナトリウムと窒素ガス)から硝酸アンモニウムが主流になっている。 硝酸アンモニウム(AN、NH4NO3)は火薬です。
 
昔から硝酸系や過塩素酸系の化合物にはかなり注意しています。それでも事故は起こります。

Wiki事故例
 
1921年にドイツ・ルートヴィヒスハーフェン近郊のオッパウにあるBASF化学工場で、吸湿して固化した硝酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの混合肥料を粉砕するためダイナマイトによる発破を掛けたところ、4,500トンあまりが爆発し、死者500 - 600人、負傷者2,000人以上の大惨事となった。現場には直径100メートルのすりばち状の穴ができたという。ただし爆轟に導くことは難しく、事実、この工場は設営時から事故時まで継続的にその方法をとっていたが、この事故まで問題は起こらなかった(オッパウ大爆発)。
 
イメージ 21947年4月16日にはアメリカテキサス州のテキサスシティで、係留中の蒸気船グランドキャンプ号の火災から積荷の硝酸アンモニウム2300トンに引火・爆発して581人が死亡(テキサスシティ大災害)、1.6km以内の建物はすべて倒壊。この時は消火の放水によって硝酸アンモニウムの吸湿・劣化を恐れた関係者が初期消火を渋ったことで、被害を大きくする一因となったと言われている。
 
167人の死者を出したオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件でも爆薬の原料として使用された。
 
場合によっては、水溶液も爆発する。1952年12月22日に名古屋の化学工場で水溶液が爆発した。この事故について、当時の日本では特に研究はなされなかったが、その後、アメリカで研究された結果、スラリー爆薬が開発された。
 

硝酸アンモニウムの融点は442K で、分解反応(化学変化)と熱解離(物理変化)が同じ温度域で起こる。 非常に安価であり,また燃焼時に残渣が生成しない。
 
タカタのエアバック問題では高温説、多湿説、溶接不良説が取りざたされている。
 

ロイター記事

アジ化ナトリウムの使用は2000年代前半にはなくなり、「非アジ化」インフレーターのパイオニアとして、同社製品への需要は大きく伸びた。
 
硝酸アンモニウムは、ガス発生の効率が良く、残滓物も少ない。しかし、湿気にさらされると不安定化する恐れがあるという
 
タカタの工場では、機械でガス発生剤を成型し、それらをインフレーターの内部に組み込む。
 
センサーが事故発生を感知すると、瞬時にインフレーターはガスを発生させてエアバッグを膨張させる。
 
発生剤が破損していると、燃焼が急激になり過ぎ、高圧によるインフレーターの破裂を招く。
 
 
新規インフレーター用ガス発生剤の開発
 
日化,2002, No. 3 市野・横山・小田・岩井?新規運転席エアバッグ(自動車)用インフレータ(98パイロ)の開発
 
ガス発生剤の構成は,基本的に
 
◯?ガス発生燃料成分/◯?酸化剤成分/◯?添加物成分
 
の組み合わせから構成されている.
 

アジ化ナトリウム系のガス発生剤においては,燃焼成分としてアジ化ナトリウムが用いられ,酸化剤成分としては例えば酸化銅が用いられる.

非アジ化ナトリウム系ガス発生剤は,有機化合物の燃焼成分と酸化剤成分を組み合わせたものが一般的である。

Fig. 3 にガス発生剤の化学反応式を示す。
イメージ 1

非アジ化ナトリウム系の特許文献を調査すると多数の組み合わせが開示されている。特に燃料成分の特徴としては,急性毒性が低くかつ一分子中の窒素含有率が高い含窒素有機化合物が多く検討されている。
 
これは発生ガス中の窒素ガス分率をできるだけ高くし,燃料成分中の炭素原子および水素原子の酸化に必要な酸化剤使用量を低下させ,単位重量当たりの全ガス発生効率を高く保つための工夫の一つである。
 
また,化学構造的には分子内に酸素を含有する化合物の方が炭素原子および水素原子を各々CO2 および水に完全酸化するに必要な酸化剤量を少なくできるが,気相CO を発生しやすい構造では接触時間が非常に短く完全酸化が困難なため実用的には直接CO を発生しにくい化合物構造が選択されている。

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