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国立大を“3類型”へ?旧帝大、旧1期、2期校?

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煩雑な書類の提出ばかりが横行し、研究好きな優秀な教員は嫌気でますます国立大から流失するのではないか危惧?
 
国立大「交付金」の“3類型”化で、機能強化!
 
「地域貢献」型/「教育研究」型/「卓越した教育研究」型の枠組みで評価、予算配分に反映!
旺文社 教育情報センター長 大塚

機能強化の方向性に応じた重点配分 ~「運営費交付金」配分の“3類型”化 ~『中間まとめ』は、国立大の多様な役割や求められている期待に応える点を総合的に勘案し、各国立大の機能強化の方向性に応じた取組をきめ細かく支援するため、予算上、次のような“3つの重点支援の枠組み”を新設するとしている。つまり、運営費交付金配分の“3類型”化である。(注.下記の重点支援①~③の太字、下線、注記は当方で付記)
 
重点支援①
 主として、人材育成や地域課題を解決する取組などを通じて地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界ないし全国的な教育研究を推進する取組等を第3期の機能強化の中核とする国立大を重点的に支援する。

 ここでの「地域」の捉え方は、各国立大の事情に応じて柔軟に設定することができるものとする。この枠組みについては、運営費交付金の重点支援の仕組みを通じて、人材育成や研究力の強化の取組を推進できるような支援を行う。
 
重点支援②
 主として、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で地域というより世界ないし全国的な教育研究を推進する取組等を第3期の機能強化の中核とする国立大を重点的に支援する。

 この枠組みについては、当該分野に重点を置いた人材育成や研究力の強化の取組を推進できるような支援を行う。
 
重点支援③
 主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍して、全学的に世界で卓越した教育研究、社会実装(注.研究開発成果を社会に生かす)を推進する取組を第3期の機能強化の中核とする国立大を重点的に支援する。
 この支援の枠組みについては、国際レベルの競争的な環境下で、人材育成や研究力の強化の取組を推進できるような支援を行う。
 
◆ 高大接続・入試改革等の政策課題の取組支援
 運営費交付金検討会議では、上記のような3つの重点支援枠のほか、国立大に共通する政策課題等に関する取組についても支援が必要であるとしている。
 
 例えば、新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた大学教育や大学入学者選抜の改革等(注.中教審答申『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について』<26年12月>)のように、現在または今後新たに生じてくる国立大に関する政策課題を推進する取組や附属病院の機能強化、共同利用・共同研究拠点の機能強化といった国立大に広く関わる取組を支援する枠組みを設けるという。
 
取組の評価と予算配分文科省は、上述のような3つの重点支援枠ごとに、各国立大学法人が概算要求を行うにあたっての支援の観点や留意点を決定し、各国立大学法人に提示する。その際、文科省は機能強化を実現するための具体的な工夫や方策を盛り込むよう各国立大学法人に求める。
 
 各国立大学法人は、それぞれの機能強化の方向性や第3期を通じて特に取り組む内容を踏まえ、3つの重点支援枠から“自ら1つの支援枠を選択”し、取組構想を提案する。

 ただ、今回の『中間まとめ』では、中期目標期間を通じ、取組の進展に応じた枠組みの変更を妨げないことに留意すべきであるとしている。
 
 取組構想の成果を検証する評価指標は、各国立大学法人が取組構想の内容に応じて、原則として測定可能な評価指標(KPI<Key Performance Indicators>。重要業績評価指標:目標の達成度を測るための鍵となる定量的な指標)を独自に設定するとともに、支援の観点ごとに文科省が提示する複数の指標から関連する指標を選択し設定する仕組みにするという。
 
 文科省は、有識者の意見を踏まえ、重点支援の対象となる取組構想を選定。選定された取組については、原則として、3つの重点支援の枠組みごとにまとめた「機能強化促進係数(仮称)」による財源を活用し、改革の取組内容に応じた重点支援として、国立大学法人ごとの運営費交付金に加えて配分するとしている。なお、28年度の「機能強化促進係数(仮称)」の具体的な割合は、28年度の予算編成過程において決定されるものとしている。

国立大3類型で支援 文科省が概算要求 北海道大学は「世界トップ」型
 
08/28 17:00、08/28 17:18 更新    dd.hokkaido-np.co.jp
 
 文部科学省は28日、2016年度予算の概算要求を発表した。
 
要求総額は15年度当初比9・8%増の5兆8552億円
 
国立大学改革の一環で、各大学を3類型に分け、取り組みに応じて運営費交付金を配分する「重点支援枠」に404億円を計上。20年東京五輪・パラリンピックに向けて、スポーツ関連予算は26・6%増で過去最高の367億円を要求した。
 
 国立大の3類型の中で「世界トップクラスの研究を行う」ことを目指すのは北大など16大学
 
地域に貢献する取り組みを行う」を選択したのは道教大、室工大、樽商大、帯畜大、旭医大、北見工大の道内6大学を含む55大学
 
特定分野で全国的な強みを出す」のは15大学だった。
 
金額配分は今後、各大学の計画を評価して決める。
 
 スポーツ関連予算のうち169億円が五輪・パラリンピックの準備で、この6割を占める103億円を競技力向上事業に充てる。新国立競技場の建設費は現段階では計上していない。
 

 国立大学法人の運営費交付金に関する概算要求はどうなってしまうのか?(1)
 
     nups-japan.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-2cea
 
国立大学法人は、平成28年度から、第3期中期目標・計画期間に入るが、その運営費交付金の概算要求に関して、全体像が見えない状況が続いている。
 
恐らく五里霧中の中で、学内の方針を取りまとめていくことになるが、大学の機能強化を支援する立場の文部科学省自身に、格段の機能強化が必要だと言わざるを得ない。
 
4月30日付けで、「事務連絡」という単なるお知らせ文書によって、「現時点における概算要求の方向性についてお知らせ」がなされているが、その内容は、事態を収拾すると言うよりは、更なる疑問を誘発するものである。
確かに、十分に詰め切っていない中で、概算要求の学内検討の時期が迫っており、何らかの交通整理なしに、司令塔たる文部科学省も相談業務が遂行できないので、可能な範囲で情報を前出ししたのだろう。しかし、混迷は深まり、もはや文部科学省には仕切りを頼れないのではないかとさえ感じる。問題の所在を明らかにしたい。
 
第1に、3つの重点支援の枠組みに関して、1~3の区分ごとに予算の争奪戦を行う=競争させるという作りになっている点が拙いということである。
 
鶏口牛後という言葉があるが、誰しも不利なグループに入りたくない。死のグループに入ってしまえば、相対評価になるだけに予算獲得が難しい。
 
どのグループを選択するかが、重要な作戦テーマになる。むしろ、当初案のように大学法人の性格で定義した方が、国民から理解されやすいグループ分けになっただろう。
特に、第3類型が、「全学的に世界で卓越した教育研究、社会実装を推進する」とされている点には、疑問を呈さざるを得ない。
 
私見では、第3類型に該当する国立大学は我が国には存在しない。強みのある分野の数が多い大学はあろうが、類型の定義を正確に読み取れば、そうした大学でさえ、第2類型にしか該当しないのである。
 
自己評価が肥大化しているために、かなりの部局では世界的な実績が伴っていないにも拘わらず、全学的に世界で卓越していると勘違いしているだけである。そうした妄想の上に立った枠組みの提示は、日本語だから助かっているが、英語で発信したら、世界のもの笑いの種になるだけだろう。

 国立大学法人の運営費交付金に関する概算要求はどうなってしまうのか?(2)
 
第2に、重点支援の概算要求に関して、ビジョン・戦略・取組という3段重ねの全体パッケージの構造によって提出するとされているが、ここでいう戦略が、一般的な戦略と戦術が混同された内容となっている点が拙いということである。戦略には、大学院博士課程をアカデミック分野以外を目指す人材育成の場に転換するとか、学部・大学院を通じてグローバルな場で活躍できる人材の育成を目指すとか、かなり大きな括りの目標がふさわしいと思われるが、例示されている戦略は、ある分野における拠点形成、地域人材育成の戦略推進、地域企業との連携システム構築である。戦略数の上限はないので、例示に従えば、総合大学などでは、20~30の「戦略」を立てるのだろうか?
 
それでは、戦略が部局単位に細切れになりそうである。逆に評価指標を設定するとなると、せめて戦術くらいの小さな単位で設定しないと無理がある。
 
結局、この図式の中での戦略は、少数の、大括りの、部局を越えたものにして、評価指標は、戦略ごとではなく、取組ごとに設定するという整理にすべきではなかろうか?
 
第3に、重点支援に関する法人ごとの概算要求枠がどの程度なのか、まったく手がかりがないため、学内で概算要求を取りまとめる作業が進められず、実務上、大きな支障があるということである。これが、2月くらいの時点であれば問題はないが、5月に入って重点支援の規模感が出てこないのでは、話にならない。
 
財務省からは、運営費交付金の削減方針が示されているのに対して、文部科学省は戦うつもりだというが、どれほどの総枠で運営費交付金を要求していくつもりなのか、大学側には一向に手の内を見せようとしていない。
大学法人からの具体的な取組(教育研究プロジェクト)に関するタマが出てこないと、文部科学省から財務省への予算要求が迫力ある形でできない。本当に勝負をかけるのであれば、交付されている運営費交付金の2~3%程度の枠で重点支援の要望を受け付けるくらいの積極策をとるべきである。
 
期待させておいて予算が取れずに、無駄な作業ばかりさせたくはないと考えているのだろうが、タマがなければ、予算獲得は不可能である。これまでの経緯からは、財務省との「戦い」を局所戦にとどめたいのかと勘ぐりたくなる。
文部科学省のメンツのためにも、せめて何らかの見せ場を作って欲しいものである。

 国立大学法人の運営費交付金に関する概算要求はどうなってしまうのか?(3)
 
第4に、国立大学の共通する課題(入試改革、共同利用、基盤設備ほか)に関して、別途、重点支援を行うとしているのは、運営費交付金という制度の中で、箇所付けを裁量で行うことができる補助金のようなものを作ることを意味しており、好ましくない。
 
教育研究プロジェクトを要求できる仕組みを整えれば、上記の3段重ねの全体パッケージの中に含めて重点支援すればよい。
 
別途の袋予算のようなものは、使途の自由度が高い運営費交付金が、使途特定予算に変質してしまうことになる。これでは、法人化以前の国立学校特別会計時代に逆戻りである。

第5に、学長裁量による経費(仮称)の設定は、運営費交付金の増減には何ら関わりがなく、単に学長のリーダーシップを予算面で見せかけるものに過ぎない。
 
そもそも、重点支援の3類型を設けるのだから、その中で、学長のリーダーシップを十分に発揮すればよい。27年度予算では、5%の経費が学長裁量分だと区分され、それらしい学内予算を積み上げて各大学法人から資料を提出しているが、逆に95%の経費は学長の裁量権が及ばないというのだろうか?
 
人事や財務に関する全権が組織の長に集中しているのが、独立行政法人制度の根幹である。
 
国立大学法人は、広義の独立行政法人の一種でありながら、運営費交付金の5%にしか組織の長の裁量が及ばない法人になってしまったようである。
 
小規模大学の中には、こうした設えがないと学長裁量予算が確保できない事情があるようだが、そのような法の趣旨に反する運営が行われている大学法人は存在してはならないのである。
 
私が勤務している大学では、学長が純粋に自由に裁量できる予算として留保しているのは、運営費交付金の0.25%に過ぎない。
 
5%も留保してしまったら、学内で重点配分する事業予算がなくなってしまう。実態が分かっていながら、猿芝居のような学長裁量経費を設定することはやめた方がよい。財務省も、こんな架空の見せかけを求めないだろう。
 
以上のように、国立大学法人の運営費交付金に関する28年度概算要求に関する制度設計は、混迷の度を深めている。事務連絡のような文書に、いちいち文句をつけるのは大人げないが、この文書は、学長等の会合でも引用され、解説されている。文部科学省には、もっと、堂々と戦いの指揮をとって欲しいが、事務連絡というような中途半端な指示書で軍ができるのだろうか?財務省は、財政制度等審議会という本筋を動かし、交付金の削減、授業料の値上げが必要だと真正面から攻め立ててきている。このままでは、どんな概算要求をしようとも、財務省ペースで、第3期の中期目標・計画期間も運営費交付金の削減が止まらないのではないか?
 

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