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シリア内戦が強いた、現代の方舟からの「種子引き出し」

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シリア内戦が強いた、現代の方舟からの「種子引き出し」
 
  2015.9.25 FRI     wired.jp
TEXT BY CARA MCGOOGAN
TRANSLATION BY MIHO AMANO, HIROKO GOHARA/GALILEO
WIRED NEWS (UK)
 
ノルウェーの「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」で、初めての「種子引き出し」が請求された。シリア内戦により、同地域の種子バンクでの種子栽培が行えなくなったためだ。
 
イメージ 1 シリアは、世界的な種子バンクからの初めての引き出しを余儀なくされた。内戦の予期せぬ副産物となった今回の「種子引き出し」では、シリアが最初に貯蔵庫に預けた130箱分の種子が中東に戻されることになる
 
内戦勃発前には、シリアの都市アレッポにも種子バンクがあり、種子を栽培して地域全体へ配布する拠点となっていた。
 
この施設ではもう種子の栽培は行われていないが、保管は継続しているため、国際乾燥地農業研究センター(ICARDA)は、世界種子貯蔵庫に預けられていた325箱のうちの130箱の返却を求めた。
 
325箱には合計で116,000のサンプルが含まれている。
 
ICARDAは2012年、内戦により、本部をアレッポからレバノンのベイルートへ移転した。この内戦で1,100万人を超える人々が国外脱出を余儀なくされ、およそ25万人が死亡している。
 
世界種子貯蔵庫は、北極から約1,300kmの場所に位置するノルウェーのスヴァールバル諸島に、2008年に建設された(日本語版記事)。
 
ここには、絶滅を危惧される世界中の4,000種の植物の865,000を超える種子サンプルと、種子の遺伝子データが保存されている。
 
[『WIRED』日本版VOL.17では、この「現代の方舟」への取材レポートが掲載されている。]
 
スヴァールバルの施設は地下にあり、台風や洪水、大規模な地震にも耐えられるように設計されている
 
そこでは、貯蔵庫の種子を100年間にわたって「生きたまま」保存することができる。
 
種子バンクは世界各地にあるが、スヴァールバル世界種子貯蔵庫の種子を請求できるのは、自然災害や人的災害が発生した場合の最後の手段としてのみだ。
 
ICARDAによって預けられていたサンプルのひとつに、レンリソウ属の一種がある。
 
エチオピアや、ソマリア、インド、バングラデシュで食用種として栽培される種で、厳しい干ばつでも生存可能だ。
 
信じられないほど丈夫で、エチオピアでは最も干ばつに強い作物だという。
 
「わたしがエチオピアのある農家に滞在していた2年前、干ばつによって、地面には非常に深い亀裂が入っていました。腕を入れれば肘に達するほどの亀裂です。
 
そのときでさえ、この植物は花を咲かせていました。害虫に強く、洪水にも耐え、すべての食用豆類の中で最もたんぱく質含有量が多い植物です」
 
と、ケーリー・ファウラーは『WIRED UK』誌2010年11月号で語っている。
 
同氏は当時、スヴァールバル世界種子貯蔵庫を運営するグローバル作物多様性トラストの事務局長を務めていた人物だ。
 
「ルワンダやブルンジ、ソロモン諸島、イラク、アフガニスタンの戦争でも、種子のコレクションが破壊されました。
 
ロシア最大の野外コレクションである、サンクトペテルブルクのパヴロス(Pavlos)ステーションは、不動産開発業者の脅威にさらされています」
 
と、ファウラー氏は語っている。
 

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