美術作品や古本にできるシミはカビが原因
2015.10.30 13:30更新 産経
押し入れや棚に置いた絵画や書、写真などに茶褐色の丸いシミができていることがあります。また、古本を開いた際にも茶褐色の斑点を目にします。
これらはフォクシング(Foxing)と呼ばれます。きつね色をした斑点が語源です。
フォクシングの原因は、鉄化合物や樹脂などいくつか知られていますが、主に好乾性カビがつくりだす酸です。
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The causes of foxing are not well understood.
One theory is that foxing is caused by a fungal growth on the paper.
Another theory is that foxing is caused by the effect on certain papers of the oxidation of iron, copper, or other substances in the pulp or rag from which the paper was made. It is possible that multiple factors are involved. High humidity may contribute to foxing.
コウジカビやカワキコウジカビの仲間であるアスペルギルス・ペニシロイデスやユーロチウム・ハーバリオラムのほか、近縁の数種が知られています。
絵画や書籍には、空気中に浮遊している微細なほこりやカビの胞子が落下して付着し、貯留します。
そこに適度な温度と湿気が加わると、原因となるカビの胞子が発芽して、ほこりに含まれる養分を利用して直径5ミリくらいのコロニー(固まり)を形成します。
増殖する過程で菌糸の周辺にL-リンゴ酸などの有機酸が生成されて、紙のセルロース繊維の間に蓄積。そのうち紙が酸分解して、セロオリゴ糖やブドウ糖が生成されます。また、カビが増殖する際にアミノ酸もできます。
この結果、有機酸とブドウ糖の間に褐変反応が誘起されてフォクシングとなるのです。
フォクシングの原因カビは、他のカビよりも乾燥を好み、湿度70%前後、温度20~35度から成長することができます。
美術館などでも、展示中に空気を通じて付着したカビ胞子が収蔵中にも成長することがあります。
日本は、高温多湿な気候からフォクシングの被害が発生しやすいといえます。
また、紙や木材などカビに汚染されやすい素材が多いため、美術品や文化財の保存を誤ると、被害が大きくなってしまいます。
一般家庭でも絵画や書籍をフォクシングから守るには、空気中に浮遊する原因カビを増やさないことが大切です。
原因カビは一般住宅に普通に存在し、靴やカバンなどの革製品、衣類や敷物などの布製品で発生しやすいのが特徴です。
湿気とほこりのある場所でゆっくりと発育し、表面に黄色または灰白色のカビ集落を作ります。
衣類を数カ月以上しまう際には、必ずクリーニングしてから防カビ成分を含んだ防虫剤とともに防湿効果のある衣類ケースに入れましょう。
好乾性カビはハウスダスト中に多く潜んでいます。
掃除機と空気清浄機で取り除きましょう。ハウスダストを吸うとアレルギー症状を引き起こすことがあるので、寝室内や寝具のほこりの除去を特にこまめに行うといいでしょう。
カビの中にもぜんそくなどのアレルギーの原因になるものがあります。書籍などは天気のよい日に虫干ししましょう。