寒い地域では毎月の電気代が2万円を超え、灯油代も4万円台で月6万円の出費増大である。11月~4月まで続くので36万円ほどの冬の費用である。
エネルギーをなんとか自活できないものであろうかと思う。
さて電力会社のパンフレットに多彩な酸化還元を示すバナジウムイオン(V(II)、V(III)、V(IV)、V(V)等)利用のRedox-Flow電池の話があった。どこまで実用化されているのか。
レドックスフロー電池 「大容量、安全」な蓄電池 太陽光の電力 タンク内に
東京新聞
電気は便利なエネルギーだが、ためておくのは難しい。太陽光発電の設備を増やしても、雨の日や夜は、従来の発電法に頼らざるを得ない。
もし電気をためておくことができれば、自然エネルギーの信頼性がグンと高まる。
そこで性能の高い蓄電池に期待が集まっている。
(吉田薫)
「大容量で安全。そんな電池が、ここにあるんです」
住友電工の伊藤順司・常務執行役員は、同社横浜製作所(横浜市栄区)構内で、集光式太陽光発電装置の隣に並べられた電池群を指す。
コンテナのような電池本体と、電池の中を循環する液体(電解液)をためるタンクが並んでいる。「レドックスフロー電池」だ。
蓄電池には、自動車のバッテリーに使われている鉛電池や、パソコン、スマホに入っているリチウム電池などがある。リチウム電池は、小型で多くのエネルギーを詰め込むことができる。
しかし価格が高く、発火事故の危険も指摘される。
大型の蓄電池では、ナトリウム・硫黄電池が代表的。
しかし扱いにくいナトリウムを使うことや、高温でないと動かないのが欠点で、火災を起こしたこともある。
■北海道で実証へ
そんな中、太陽光発電ラッシュの北海道で、レドックスフロー電池に白羽の矢が立った。
北海道電力の南早来変電所に、出力一万五千キロワットの電池を設置する工事が進む。
蓄えることができる電力量は六万キロワット時だ。
晴れた日中は太陽光発電で作られてきた電気をため、夜やくもりの日には電気を放出する。
需要と供給に応じて、電力を調節できる。
来年度末に完成すると、出力の十倍、つまり十五万キロワットの太陽光発電所から来る電力を平準化できると見込まれる。千キロワットの「メガソーラー」百五十カ所分に相当する。
来年度末に完成すると、出力の十倍、つまり十五万キロワットの太陽光発電所から来る電力を平準化できると見込まれる。千キロワットの「メガソーラー」百五十カ所分に相当する。
■仕組みと特徴
レドックスフロー電池の中には、バナジウムという金属の電解液が入っている。
バナジウムは、電子を吸収したり放出したり、いろいろ形を変える。その性質を利用して、充電したり放電したりする。
伊藤さんは
「タンクの中に電気をためておくと考えればいい。タンクを増やせば、ためられる電気の量も増える。大きくすればするほど安上がりになります」と
話す。
「電極の劣化がなく、長寿命。温度が高くなることもなくて、安全です」
広い場所と費用があれば、蓄電量はいくらでも増やすことができる。
問題は価格だ。
住友電工は、来年には一般に発売し、海外市場の開拓も狙う。リチウム電池よりは安くできる見込みだが、まだ決まっていない。またバナジウムの産出国は現在、南アフリカ共和国、ロシア、中国に限定されており、供給にやや不安がある。
太陽光や風力発電との相性のよさが注目され、横浜製作所には国内外の視察が相次ぐ。同社ではバナジウムを使わない電池の開発も始める。
<レドックスフロー電池>
レドックスは還元(リダクション)と酸化(オキシダイゼーション)を結びつけた造語。1974年に米航空宇宙局が原理を発表した。
バナジウムを用いた電池は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大のマリア・カザコス教授が初めて作った。住友電工は2002年に事業化したものの、分離膜の材料劣化から販売停止に追い込まれた。改良を重ね、うまくいったのはここ2、3年のことだ。