国立6大学、来年度「ゼロ免課程」の募集を停止
2016年08月31日 20時44分 読売
文部科学省は31日、2017年度の国立大学の入学定員予定を発表した。
発表によると、全86大学では前年度比288人減の9万5693人で、4年連続の減少となった。
21大学が23学部を改組。
茨城、
横浜国立、
新潟、
熊本、
鹿児島、
琉球
の6大学の教員養成系学部では、教員免許の取得を義務付けない「ゼロ免課程」の定員計585人分の募集を停止する。
愛知教育、
大阪教育
の2大学はゼロ免課程の定員計157人分を削減する。
文科省は少子化などへの対応として、2012年度以降、ゼロ免課程の廃止を大学側に働きかけており、16年度も15大学がゼロ免課程の定員計1112人分の募集を停止した。
国立大26校 人文系改編へ 目標素案 「ゼロ免課程」9校廃止
国立大86校のうち三重、福井、滋賀大など26校が、2016年度から6年間の教育・研究と運営の指針となる「第3期中期目標・中期計画」に、人文社会科学系学部の組織見直しを盛り込んでいることが、分かった。
20日の文部科学省の国立大学法人評価委員会で素案が示された。三重、静岡大など9校が教員養成系学部のうち、教員免許取得を卒業要件にしない、いわゆる「ゼロ免課程」の廃止を明示した。
計画は評価委の審議を経て文科相が年度内に認可し、その後の取り組み状況が運営費交付金の配分にも反映される。
文科省は13年以降、グローバル化やイノベーション創出に重点を置いた組織改編を国立大に要請しており、今回の計画はそれに沿った内容。文系中心に大幅な改革が進むことになる。
今年6月、国立大に出した文科相通知では、教員養成系と人文社会科学系学部の廃止や社会的要請の高い分野への転換を求め、学会などが「文系軽視」と批判。
文科省は「誤解を招く文章だった」と釈明している。
人文社会科学系学部を見直す26校のうち、滋賀大はビッグデータを取り扱うデータサイエンス学部(仮称)を新設、愛媛大も来年度に文理融合型の社会共創学部を設置する計画。一方で、具体的な見直し内容を記載していない大学も多い。
「ゼロ免課程」を廃止する9校のうち、静岡大は3課程の募集を停止するとともに、小学校免許プログラムの充実を図る「初等学習開発学専攻」を新設するとした。
このほか、学期の区分を増やし留学や海外の学生受け入れを促進しようと、東北大などが「四学期制」を取り入れる。北海道大などは女性教員の増員を掲げた。高知大は地元での就職率を現在の26%から36%以上に向上させることを目指す。
評価委は、各校の計画を一定評価した上で「一部は強みや特色の明示が十分とは言えず、具体的な記述も少ない」として再検討を求めた。
(2015年10月21日 中日新聞朝刊3面より)