国宝・不動明王像、鮮やかに復元模写 京都・醍醐寺
2017年05月23日 22時50分 京都新聞
醍醐寺所蔵の国宝の密教絵画「絹本著色(けんぽんちょしょく)五大尊像」の一つ「不動明王像」の復元模写を、成安造形大(大津市仰木の里東4丁目)の学生らが完成させた。約800年前に描かれた色鮮やかな姿がよみがえった。
絹本著色五大尊像は
不動明王、
降三世(ごうざんぜ)明王、軍茶利(ぐんだり)明王、
大威徳(だいいとく)明王、金剛夜叉(やしゃ)明王
の5幅からなり、鎌倉初期の作と伝わる。
同寺では、国の平和を祈る仁王会の本尊となっている。
印刷事業などを手掛ける廣済堂(東京都港区)の依頼で、同大学が2016年度に授業で取り組んだ。
同寺から提供された写真データを基に、2~4年の学生や教授ら9人が紙に白描画を書き、日本古来の顔料で彩色した。
復元模写は縦185・8センチ、横127・5センチ。20年度までに残り4幅も復元する。
不動明王の体の一部などは、顔料が剥げ落ちていたため本来の姿が確認できなかった。
ほかの五大尊像や同時期の仏画を参考に創作も加えたといい、指導した日本画の模写が専門の吉村俊昭教授は
「時代的に忠実になるよう心がけた」
と話した。