「デジタル錠剤」米が初承認 服薬モニター 大塚製薬と米社開発
2017.11.16 05:50 SankeiBiz
米食品医薬品局(FDA)は14日までに、患者が処方通りに薬を服用したかどうかをモニターできる「デジタル錠剤」を初めて承認した。
大塚製薬と米企業が共同開発した。
技術とヘルスケアの融合で画期的な決定だが、プライバシーに関する懸念も浮上している。
初のデジタル錠剤は、統合失調症や双極性障害の治療に使われる大塚製薬の「エビリファイ」に、米プロテウス・デジタル・ヘルスが開発したセンサーを組み込んだ「エビリファイマイサイト」。
錠剤の中に埋め込まれたセンサーは、胃液に接することで作動。
患者の体に貼り付けたパッチに信号を送り、情報をスマートフォンなどのアプリに伝える仕組み。
大塚製薬北米法人のカビル・ナス最高経営責任者(CEO)は
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Clik here to view.「患者の服薬状況を客観的に測定する手段はこれまでなかった。統合失調症の患者が指示通りに薬を服用しなかったために緊急治療室に搬送されるといった緊急事態の回避につながることを期待する」
Clik here to view.「患者の服薬状況を客観的に測定する手段はこれまでなかった。統合失調症の患者が指示通りに薬を服用しなかったために緊急治療室に搬送されるといった緊急事態の回避につながることを期待する」
と話した。
ハイテク業界は医薬品開発や保険などあらゆる分野で機械学習や人工知能(AI)、マイクロエレクトロニクスなどの先進技術を検証するため、相次いでヘルスケア分野に参入している。
FDAの医薬品評価・研究センターのミッチェル・マティス氏は声明で
「抗精神病薬の服薬管理は一部の患者に対して有益だ」
と評価する。
医療業界には新技術を支持する意見が多い一方、データ共有の広がりに伴い患者のプライバシー保護を懸念する声も上がっている。米オマダ・ヘルスのルシア・サベージ氏は
「全ての患者がこうしたモニタリングを望むわけではない。精神的な疾患に関する情報は特に慎重に扱う必要がある」
と指摘した。
エビリファイマイサイトの処方に際して、患者は医師との服薬情報共有に合意する必要があるほか、家族など介護者への情報提供の是非を選択できる。
大塚製薬や一部保険会社は患者の同意を得て集計用の匿名データを収集する方針。ナス氏は
「一部の患者の症状が緩和されていないことは把握しているが、その理由が単に患者が定期的に薬を服用していないことに起因するかどうかは分かっていない」
と説明する。
大塚製薬北米法人のボブ・マクウェイド最高戦略責任者(CSO)は
「患者には選択肢がある。当社は通常のエビリファイの販売も続けながら、ジェネリック医薬品(後発医薬品)も販売する」
と述べた。
(ブルームバーグ)